概要
東方Projectの書籍作品の『東方鈴奈庵』(以下鈴奈庵)における、本居小鈴の姿および形態。第50話で登場。なお妖魔小鈴という表記は公式ではないので、暫定的な表記である事を留意したい。
鈴奈庵第49話において八雲紫と出会った小鈴は、「自分で最適な真実」を選ぶため、巻物(後述の最終章補遺も含む)や妖魔本をリュックに詰め、里を出た後に失踪した。二ツ岩マミゾウが言うには、何も痕跡を残さずに消えたことを不自然に思っていた。射命丸文によれば捜索願も出ており、「我々の情報網から逃れる手段なんて限られている」とのことで、「何らかの原因で幻想郷から姿を消した」可能性が高いと言った。
その頃、霧雨魔理沙は鈴奈庵を調べ、妖魔本の一部や「私家版 百鬼夜行絵巻 最終章補遺」といった巻物が無くなっていたことに気付き、その後、博麗霊夢を探しに博麗神社に行ったが霊夢はおらず、代わりに裏の森に誰かがいることに気付いた。
・・・そこには「私家版 百鬼夜行絵巻 最終章補遺」を開けた状態で持っている、道行を着ており、髪留めを付けていない、妖怪の力を得たような異様な眼をした姿の小鈴がいた。後に発売された単行本の7巻の裏には、道行と髪が赤紫に変化していることが確認できる(メイン画像参照)。
小鈴の目的は紫が言っていた巻物で「霊夢も魔理沙も超人として幻想郷を支配しようとしていた」ことから、そのパワーバランスを正すために巻物を詠唱した。すると、辺り一面に異様な妖気を持つ妖怪が現れ、不意を打たれた魔理沙は昏倒させられる。
普段とは異なった異様な姿を見せた事で、界隈には衝撃を与えたといえる。ただし、本質的には単に取り憑かれているだけなので、私情を挟まずに彼女の過失を赦すことなく安否を気にしなければ対抗するのは容易かった模様(その場合、自らの意志で妖怪化した易者を滅した時と違って、霊夢達にとっても非常に後味の悪い結末となっていたであろう)。
最終的にマミゾウの手によって小鈴から絵巻物の妖怪は引き離され再封印。小鈴自身も心身に傷一つなく元に戻り、距離感を間違えた事を悟った霊夢達によって改めて仲間として迎え入れられた。
考察
表向きには小鈴を妖魔本に取り憑かれた被害者と見なして、取り憑いた妖怪を祓う事で解決としたが、実際には小鈴は自分の意思で妖魔本を開いて自身に妖怪を憑依させたものと思われる。
小鈴の失踪直前には八雲紫が現れて入れ知恵をしており、その後に小鈴が何も痕跡を残さずに消えた事には紫の介入を想像させる。紫は小鈴に妖怪が憑依した経緯を見せなくすることで、小鈴を純粋な被害者に仕立てあげたのではないだろうか。
このような工作が必要だったのは、小鈴が妖怪に憧れる不穏分子であったためである。妖怪に憧れて実際に行動を起こした易者が霊夢に抹殺された事は先のエピソードで描写されている。小鈴が同様に行動を起こして抹殺される事がないように、先手を打って今回の事件を演出したものと思われる。
更に、小鈴は事件に巻き込まれることで何も知らない人間の里の住民の立場から、多少は裏側を知るアウトローへと立場を変える事となった。これも小鈴の危なっかしい好奇心を満たすための方策だろう。
ここまでして紫が小鈴を救った理由については、霊夢は小鈴と交流が有る間柄なので、その小鈴を始末しなければならなくなった場合は霊夢のメンタルへのダメージが大きい事が予想されるため、などの考察が有る。