概要
※以下、原作12巻以降の重要なネタバレを含みます。
金剛の機能と記憶を引き継いだフォスフォフィライトは、金剛の創造者であり最後の人間であるアユム博士を夢に見る。
アユム博士は「無機体のための世界が来る」と語り、人間が絶滅した遠い未来では鉱物が生命体となることを予見した。
やがて地球には鉱物生命体である宝石たちが生まれるのだが、彼らも人間を内包した存在であり、また金剛が人間の知識と文化を彼らへ教えたために、人間と同じように悩みや苦しみを抱える存在となってしまった。
そして更に歳月が過ぎ、フォスフォフィライトの成れの果ては人間のために祈り、全ての月人を無に還すのだが……
おーい
おーい
岩石生命体
※以下、原作99話以降のネタバレを含みます。
岩石生命体とは、人間を内包した存在が全て消滅した後、新しく地球に誕生した生命体である。
見た目は自然のままの石ころ。かつての宝石たち以上に個体差が大きく、多様な形や性質を持つ。
また人間よりもずっと長い時間感覚を持っている。相手の反応を待っている間に季節が一巡することもある。
それぞれ独自の言語を持っており、互いに直接意思疎通を図ることが困難。フォスは各自の言語を解読できるため、もっぱら通訳を勤めていた。
・歌う石ころ
卵形の石ころで大きさはフォスの掌に乗るほど。フォスが最初に出会った岩石生命体。
独自の言語を獲得しており、外部に呼びかけて応えてくれるものを待っていた。
何も見えず自力で動くこともできないが、今の自分に満足しているという。
光や音、震動を感じ取ることはできるようだ。
石ころの中では(読者視点で)最も流暢に喋り、歌を作ることができる。
・踊る石ころ(たすたす)
角の取れた黒い石ころ。たすたす音を立てながらフォスと歌う石ころのそばに転がってきた。
地磁気を利用して動けるのが特徴。転がって長距離を移動したり、その場で踊るような動きもできる。
離れた場所にいる他の岩石生命体を複数発見しており、彼らの元へフォスたちを案内した。
フォスたちと共に行動するうち、歌う石ころの言語を断片的ながら習得した。
・書く石ころ
平べったい石ころ。たすたすの友だち。
ある程度の自力移動が可能で、体を引きずったり起き上がっては倒れたりして、砂の上に複雑なパターンを描く。
このパターンは彼の言語であり、フォスが解読したテキストは美しい詩になっていた。
・みず、みうた
たすたすの友だち。水玉模様の石ころと横縞に斑点模様の石ころ。命名はたすたす。
・ぷーぷ
単眼に藻屑状の触椀を持つ謎の存在。たすたすは「ぷーぷ」と呼んでいる。みずとみうたのいる島付近の海で浮き沈みしていたのが由来のようだ。
英単語混じりの言い回しでやたらフランクかつ饒舌に喋る。岩石生命体たちの言語も理解できる。
足に丸い水草(?)が絡まっており、重くて移動に困難を抱えている。しかし彼曰く「SUSHI CREAM CHIPSのFlavour」がするので手放すつもりはない。
フォスから人間の匂いを感じ取っているようだが……。
その正体はかつて人間に造られた機械の成れの果てであり、フォスをそそのかして腕を折った流氷であり、金剛の兄機にあたる存在。不気味な単眼や触椀は破棄される前の機体に搭載されていた部品である。
彼は金剛と違って人間を内包していないため、フォスの祈りで消滅しなかった。
岩石生命体たちをとても気に入っている一方、今でも人間の事は嫌っている。
ちなみに兄機のいうSUSHI CREAM CHIPSとは97話でアユム博士が食べているチップス(ポテトチップスのようなスナック菓子)である。
13巻特装版の特典によると、本名はミョウケン。同紙ではアユム博士の姓を付けた「ミョウケン・イビヒューム」とも名乗っている。
余談
かつてフォスは宝石たちのコミュニティ内で重要な仕事を持てないことをコンプレックスにしていたが、無機体のための世界が来たことで、かつての仲間たちを全員失った代わりに、ようやく「岩石生命体たちの言語を翻訳する(読む)」という仕事を持てた、といえるのかもしれない。