概要
他に治療法のない心疾患の患者に対して行われる。心臓は脳死状態の患者から摘出されることになっている。
世界最初の心臓移植は1967年、南アフリカ共和国で行われた。翌年には日本でも札幌医科大学で行われた(和田移植)が、手術の正当性や臓器提供者が脳死に至っていたかで物議を醸し、それから日本では臓器移植そのものが長い間停滞することになる。
1997年に臓器の移植に関する法律(臓器移植法)が施行され、1999年に同法の下ではじめての心臓移植手術が行われる。現在日本では年間数十件の心臓移植手術が行われているが、それでも提供者は慢性的に不足しており、海外で移植を受けようと募金を募る例も多い。
尚、日本での心臓移植は5年生存率は約90パーセントだが海外では55パーセント程度に留まる。
また、拒絶反応が強く出やすい組織なので免疫抑制剤を常に使用しなくてはならず癌や感染症に罹患するリスクが非常に高くなる。
このため刺身などの生食やペット飼育は厳禁となる。
また、免疫抑制剤の副作用として糖尿病、高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクも増大する。
根本的に1人を救うために1人の犠牲が必要となる手法のため、根本的に倫理や感情の問題を差し引いてもドナーが足りる事はない。
しかし近年では大幅に補助人工心臓の性能向上があり人体に埋め込む事も可能となった為、以前では心臓移植までの繋ぎに過ぎなかったがこちらを代替手段とするケースも増加している。
さらに、IPS(人工多幹)細胞による再生医療も近年飛躍的に発展し、心臓に関しては大阪大学を拠点として研究が進んでおり心筋の修繕に関しては既に治験も開始されている。
これらの研究が進み、低価格化・高信頼化が成し遂げられたのなら誰かの犠牲を前提にせず、病に留まらず負傷者もより救われ臓器売買といった犯罪も駆逐される未来が訪れるだろう。