概要
性的指向とは、性的な関心や魅力などを"どの性別に対して感じるか"を現したものを言う。
例えば異性に対して、同性に対してなど。
英語では「sexual orientation」と言う。
なお「趣味」「性癖」「性的嗜好」などと混同されやすいが、異なる概念である(※)。
※性的指向と性的嗜好は区別するべきでないという考えもある。
主な性的指向
主な性的指向は以下の表の通り。
このうち異性愛と同性愛は自身の性自認に基づいた相対的な表現である。
対して男性愛や女性愛は対象の性別にのみ基づいた絶対的な表現である。
異性愛 / ヘテロセクシャル / ヘテロロマンティック | 自分にとっての異性に恋愛感情や性的願望を抱く |
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同性愛 / ホモセクシャル / ホモロマンティック | 自分にとっての同性に恋愛感情や性的願望を抱く |
両性愛 / バイセクシャル / バイロマンティック | 男女両方に恋愛感情や性的願望を抱く |
全性愛 / パンセクシャル / パンロマンティック | 男女両方の他に、トランスジェンダー、両性具有(性分化疾患)などを含め、あらゆる人々に恋愛感情や性的願望を抱く |
非性愛 / ノンセクシャル / ノンロマンティック | 恋愛感情は抱くが性的願望は抱かない |
無性愛 / アセクシャル / アロマンティック | いかなる性別をも恋愛・性的対象としない |
男性愛 / マンセクシャル / マロマンティック | 男性に恋愛感情や性的願望を抱く |
女性愛 / ウーマンセクシャル / ウーマロマンティック | 女性に恋愛感情や性的願望を抱く |
性的指向の変化
性的指向は本人の意思や周りの説得などで変わるものではない(※1)。
例えば「同性愛は治療できる」などというのは誤りである(※2)。
しかしそれは「選択できない」だけのものであり「変化する」ことはあるとも言われる。
尤も性的流動性はいまだ議論の続く概念であり、現時点では一概にどうであるとは言い切れない。
※1 例外として「機会的同性愛」が挙げられる。異性愛傾向の個人が男子校や女子校などの同性しかいない環境で過ごしていると同性に対し関心を持つというもの。あくまで代償行動であり、環境が変わって異性と接する場面ができるとその関心は薄れていく。
※2 かつて電気椅子などで「同性愛治療」が行われたことがあったが、その効果について現代では否定されている。治療できたとされたのは被験者が両性愛者であった、ないし治ったふりしたなどに過ぎない。
生物学見地の性的指向
身体的性成熟とは違って脳の性成熟は目に見えない為、性欲対象に対する反射reflexで性的指向を確認する研究がなされている。
目の瞳孔反応や唾液分泌などから脳の視床下部近辺の反応を推測する。