概要
1970年代の始まりは、演歌主体だった日本の歌謡界が、若者向けのポップス主体へと移り変わる歴史の始まりでもあった。
当初、若手演歌歌手としてデビューした野口五郎はそのはしりで、ポップスに転向したことをきっかけにスターとなる。その翌年にデビューした西城秀樹は最初からポップス歌手として売り出し、やがてロックの歌唱法とアクションを取り入れて、直立不動の歌謡曲に革命を起こす。西城の半年後に登場した郷ひろみは、ビジュアルを重視した売り出しで「アイドルの時代」をもたらした。
この3人の若手歌手は当時の10代から熱狂的な支持を受け、それまでの橋幸夫・舟木一夫・西郷輝彦の「御三家」に代わる新たな時代のスターとして、「新御三家」と呼ばれることになる。
「新御三家」の3人は所属事務所も、目指す方向性もそれぞれだった。しかし保守的で非常に上下関係が厳しかった当時の芸能界にあって、年頃も同じな彼らは、ともに新時代を切り開く「戦友」となっていった。