「見せてやろう。君を低次元へ送るモンスターを!現れろ!方界胤ヴィジャム!!」
概要
劇場版「遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」で登場し、のちにOCG化されたモンスター。
劇中では藍神により使用され、彼のデッキの主軸として運用されている。
双翼を備えた黒く丸い体と、一際大きな眼球が特徴的。
頭上(?)から延びるアンテナにはもう一つ小さな眼球が付いていて、瞳の色は持ち主と同じ金色。体の眼球の周りには同じ色の文様が描かれている。
不気味ながらもどこか可愛らしい見た目をしているが、劇中で召喚された際には非常に野太い唸り声をあげていた。
(クリボーの様に「ヴィー」とか言わないのが非常に残念な気もしなくもない)
テキスト
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):このカードは戦闘では破壊されない。
(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動できる。
モンスターゾーンのこのカードを永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置き、その相手モンスターに方界カウンターを1つ置く。
方界カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。
(3):このカードの効果でこのカードが永続魔法カード扱いになっている場合、自分メインフェイズに発動できる。魔法&罠ゾーンのこのカードを特殊召喚する。
OCG解説
「方界」デッキの中心となるモンスターで、このテーマはこのモンスターなくしては成立しないと言えるほど重要なカード。
方界デッキでは、通常召喚できる「方界」モンスターが基本的にこのカードと「流星方界器デューザ」しか存在しない。このカードは他の「方界」カードの効果対象にもなっていることから、いかに早くこのカードをフィールドか墓地に3枚揃えられるかがこのテーマの勝敗のカギとなる。つまり、「方界」デッキはこのカードの引きが勝敗に直結すると言っても過言ではない。
素のステータスは攻撃・守備とも0だが、戦闘では破壊されないためかなりしぶとい。加えてバトルを終えると相手モンスターを「方界カウンター」によって無力化することができ、この時点で壁役モンスターとして優秀である。
バトルした後は永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに逃げることができ、モンスターを対象とした効果を受けなくなる。
サポートカードは、デッキからピンポイントでこのカードを墓地に送る上記《デューザ》の他、相手の攻撃によりこのカードを呼び出してバトルさせる罠カード《方界降世》や、他の「方界」モンスターの攻撃力をアップさせつつこのカードを墓地へ送れる魔法カード《方界業》などがある。
上位種である「方界帝」「方界獣」モンスターは、フィールドの「方界」モンスターを指定された数だけ墓地送りにしなければ出せないという召喚条件を持っているため《デューザ》と合わせてできるだけフィールドに数を揃えたいところである。
さらに「方界帝」モンスターはバトルした後に墓地へ送ることにより、「方界獣」モンスターは相手により墓地に送られたときに、それぞれのモンスター自身のレベルに応じて墓地から最大3枚までこのカードを特殊召喚でき、追加で指定のカードをデッキから手札に加えられる。
デッキ構成により、手札に持ってくるか墓地へ送るかを決めていく必要がある。
「攻守0」「悪魔族」「レベル1」など意外なところで対応しているカテゴリが多く、思いがけないカードがサポートカードになりえることもあるかもしれない。
その他
劇中では特殊ルールで行われる「次元領域デュエル」で登場し、前述の方界カウンターをおいて無力化する効果は「アンディメンション化」、魔法カード扱いになる効果は「モンスターが手出しできない領域に消える」と呼ばれた。
また「方界帝」「方界獣」においてこのカードを墓地に送って特殊召喚する効果は「ヴィジャムを組み込む」と表わされた。劇中ではこれらの上位種モンスターはこのカードを墓地に送るのではなくこのカードの上に重ねることによって召喚するとされており、さながらエクシーズ召喚のような動きをしていた。
以上のことから劇場版の時点では墓地へ送る必要性は薄かったと思われるが、現在では除去手段が増えたり、カード性能のインフレで上位種に進化しても上から殴られたりと逆風が吹いている。
総じてこのカードを含めた「方界」デッキは場面に応じ最適な行動が要求される上級者向けのテーマであるといえる。
このモンスターは高橋和希氏が映画のためにデザインしたモンスターであり、Vジャンプ2016年2月号でデザイン画が公開されている。
その為か、デューザやクリムゾン・ノヴァを除く殆どの方界モンスター達は全てこのヴィジャムが体のどこかに組み込まれたデザインとなっている。
胤とは訓読みで「たね」と読み、「血統を継ぐ者」を意味している。
藍神達プラナの設定を顧みると、このカードには方界デッキの起点としての意味と同時に血の繋がりがない自分達を家族同然に扱ってくれたシャーディーへの思いが表れているのかもしれない…。(あくまで筆者の憶測です)
名前はヒンドゥー教の神「ヴィシュヌ」がモチーフか。
ヴィシュヌはシヴァ、ブラフマーと共に三神一体(トリムルティ)の1柱を成す重要な神格で、最高神として信仰を集めている。
又、世界に何らかの脅威が現れた際には「維持者、守護者」として様々なアヴァターラ(化身)を使い分け、地上に現れるとされている。(「マハーバーラタ」のクリシュナや「ラーマーヤナ」のラーマが有名。)
この事から「維持神」とも呼ばれ、ヴィジャムの戦闘破壊耐性はここから来ていると思われる。