明星真里亞
あけぼしまりあ
本作の主人公。
旧名は「流真里(ながれ まり)」。37歳。
本編の2年前までは夫の流諦一郎や息子の流桐崇と暮らす、ごく普通の専業主婦だった。
一人息子である桐崇のことを「キリくん」と呼び溺愛している親バカ。
しかし息子の14歳の誕生日に起きたある事件によって、最愛の息子を目の前で失ってしまう。
その後、桐崇が学校で岡谷望を中心としたグループからいじめを受けていた事実や、息子の死の真相を知ると、息子を死に追いやった元凶である五人への復讐を誓う。
復讐を決意してからは夫に離婚を切り出して旧姓に戻り、更には名前の改名、全身の美容整形によって別人の風貌を手に入れ、保持していた養護教諭の資格を利用し、「明星真里亞」として聖春高等学校に潜入。
表向きはどんな生徒にも優しく接する「保健室のマリア様」を演じ、その裏では着々と復讐を遂行していく。
元々は気の小さい性格だったが、最愛の息子をいじめで失った怒りや悲しみ、桐崇を死に追いやった岡谷たちへの憎しみから、復讐のためなら手段を選ばない冷酷な復讐者と化す。
しかし襲撃対象はあくまでも岡谷たち5人のみであり、第二の復讐のターゲットである式見くみるとつるんでいる飯島晴人の襲撃を受けても、彼を調教して籠絡する上で式見共々始末しようとしたが、桐崇の幻影に引き止められて(殺さずとも、懸念は取り除くべきとして)思い留まっている。
それでも人間性を完全に失った訳ではなく、最初の復讐のターゲットとなる小和瀬翼に脅されていた女子生徒の八島を励ましたり、自分と同じように学園の腐敗した教師陣に不信感を抱く男性教諭の厚木を気にかけたりしている。
また、夫と離婚してからはある山中の古い家で暮らしており、桐崇の遺影をはじめ、桐崇の生前の写真や桐崇によく似た自作のぬいぐるみを囲みながら、荒んだ生活を送っている。
決意からの2年間である程度の格闘術を身に着けたものの、練度が浅いせいか、他作品の復讐もの主人公に比べると平凡なレベルである。鬼怒川強の殴打も抑えきれず、床に転がってしまう事もあった。
だが真に恐ろしいのは心の掌握術。養護教諭という立場を利用し、ターゲットや他の人間の行動を思い通りに操ってしまう。力づくで解決しがちな一般的な復讐ものと異なり、ターゲットの人間関係を徐々に奪い、孤立した処を仕留める。
なお、養護教諭の資格を有している理由は、かつて孤児でいじめられていた自分を受け入れてくれたのが保健室の先生だったことから。
元々は誰かを守りたいが故に教諭を目指していたが、結果としてそれら全てが傷つける手段に向いてしまったのは皮肉である。