概要
『八咫烏シリーズ』の第一作目、『烏に単は似合わない』の登場人物であり、外伝のはるのとこやみでも登場する。
正式な名称は浮雲の君。
あせびの母。若宮の父、今上陛下こと捺美彦時代の登殿で春殿を受け持った姫。
当時、若宮の父こと今上陛下に寵愛されていた。
容姿
面識のある奈月彦曰く、あせびとは瓜二つ。春の水面のように潤んだ瞳と、血の気を透かしてすぐ桃色に染まる頬、小鳥のように高く澄んだ声を持つ。
あせびとの違いは、つやつやとした黒髪が評判の姫だったこと。
人物
東家系列の東清水家の宮烏。現東家当主の遥人と血の繋がりはない。
生まれながらの位はもっと下であったが、当時の東本家に年頃の姫がいなかったため、登殿が許される階級になるよう、一時的に戸籍上の調整が行われ地位を手に入れた。
あせび同様、長琴をそつなく弾きこなし、東家から妃候補に挙げる姫を選ぶ際は、見事な演奏で正式に東本家に迎えられた。
登殿では風流人だった捺美彦からは最も覚えがめでたいとされていたが……
たおやかで、幼い少女のような無垢な明るさを持っていたがふわふわとして掴み所がなく、何を考えているか分からないところがあった。
余談
小説版の旧カバーイラストにて、あせびと思わしき人物が顔を後ろに向けて描かれている。
が、髪の色があせびの明るい茶色にしては、むしろ黒に近い色に思える。
コミカライズや新カバーイラストで描かれる前なので、あせびのキャラデザがまだ固まっていなかっただけだと思われるが、旧カバーの姫は登殿に向かう浮雲だったりするのでは、という意見がある。
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ネタバレ注意!
宿下りして尚、側室にと今上陛下やうこぎ達から望まれていたある日、懐妊する。女房らは大騒ぎしたが以来今上陛下のお渡りも消えた。産まれた赤子は珍しい香色の巻毛で、父親が誰か分からぬ子であり、その後東本家の当主の側室及び、藤波の宮の教育係になり、ひたすら甘えさせ、藤波の女房だった滝本からは不信感を抱かれる。
短編「はるのとこやみ」にて、下男であった倫と音楽を通じて親しくなる。ただ、倫の兄であった伶は弟を堕落させていく浮雲に不信感を抱いていた。
登殿で南家の姫に一杯食わされ、東領に戻った浮雲は「好いた人がいるから」と周りに語っていた。
それは弟のことではないか、と気にしていた伶だったが、ある日倫が入水する。事情が分からぬまま彼と彼の母親は半ば追い出される形で東領から秋領に移住。
その後、娘を産んだ浮雲と再会するが倫そっくりの伶をみた第一声は、
「あなた、だぁれ?」
後に弟の最期を悟った伶に、桜を見に出たところを包丁で刺殺された。