概要
「真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE-」の主人公の成長には経験値取得によるレベルアップ以外に、悪魔の力が込められた“マガタマ”を装備しその力を引き出すという他のメガテンシリーズとは一線を画すシステムが存在する。
マガタマによって各種スキルを修得して行くのが特徴だが、作中ではそれ以外に力を完全に引き出したマガタマの個数に応じて主人公の種族名(魔人など)が変動して行く。
そして計25個あるマガタマ全ての力を解放すると得られる種族名こそが混沌王である。
単純に全てのマガタマをマスターするのも苦労するが、それ以上にマガタマ自体を集める過程が難しく、また上位のマガタマになるほど強力なスキルが実装されていることから、主人公が混沌王の種族名を戴く頃には実質的に作中最強の悪魔になっており、その名は伊達ではない。
「真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE-マニアクス」以降は主人公が完全に悪魔となるアマラ深界EDでなければ全てのマガタマをマスター出来ないことも、その肩書きに秘められた意味の重さに拍車をかけているといえる。
なお、主人公が最初に所持しているマガタマ“マロガレ”は、まろぐ(一つにまとまった状態)、天地開闢以前の混沌とした様相を表す言葉であり、東京受胎と混沌王との照応がされている。
ちなみにジョン・ミルトンの「失楽園」第二巻には“混沌王”という存在が登場する。
作中、サタン(ルシファー)は神の創造した人間の住む世界に向かう途中にある地獄と天国の間にある深淵において、その支配者である混沌王(アナーク)と会見する。
混沌王は夜やハデス、オルクスなどを伴っているが臣下共々年老いており、己の領土が自身の臣下の紛擾や天国と地獄の拡大に伴って縮小していること憂いている。
深淵を渡ろうとするルシファーに対して道を示し、また物語の最後で再び立ち上がる描写があるなど両者には浅からぬ因縁が存在する。
真・女神転生Ⅳの混沌王
種族が“混沌王”の悪魔サナトが登場。
サナトはDLC「永遠の若者」において対決することになる存在で、アキラが東京王になった後の“爆炎の東京”に来襲して猛威をふるい、各地に破壊をもたらして市ヶ谷駐屯地を占拠した。クエストでは、主人公が進退極まったアキラに半ば強制される形で市ヶ谷駐屯地に行き、無限発電炉ヤマトの前で交戦する。
自身をかつて地球上に混沌の種をまいて人類の進化をうながしたと存在と称しており、また主人公たちを“第五の人類”と呼ぶなどホワイトメンや神と関わることを匂わせる発言をしている。
悪魔の思惑によって混沌王の位階へ向かう人修羅とは違い、進化を至上命題にして混沌を播種・収穫する「既に混沌王になっている存在」として超然的にふるまう神智学におけるサナト・クマーラ寄りの立場に身を置く。
一方で、戦いの中で主人公の力が高まり行くことを喜ぶ、『真なる戦争』『宇宙の摂理を破壊する戦争』という発言、悪魔全書における『ルシファーと混同』という解説、銃・万能以外を無効化する耐性とスキル“地母の晩餐”“死亡遊戯”“物理貫通”等、真・女神転生Ⅲにおける人修羅を思わせる設定も多い。