傾国の妖女
むかーしむかし、そのまた昔。
さる異国の地に見るもの皆が振りかえるような絶世の美女がおりました。
その女は明るく、気だてもよくいつも人々の人気者でした。
常に笑顔を忘れず、
困っている人には手を差し伸べたくさんの人の手助けをしていました。
助けを必要とする人がいれば西へ東へ、国中の人々を助け楽をさせているうちに、
人は怠けることを覚え、彼女が去った土地からは働く人が減っていきました。
働く人は瞬く間にいなくなり気がついたときには女はいずこかへ消え失せ、
国の産業はみるみる内に衰退しました。
女はその様子を見ると心底楽しそうにほくそ笑みました。
女の善意は緩やかに国を滅ぼすための作戦だったのです。
女は最後の仕上げと、九つの尾を持つ狐へと姿を変え、国の中心に向かいます。
辿り着いたその土地で、一仕事終えたとばかりに欠伸をし、自らを殺生石という、瘴気を撒き散らす石に姿を変え、長い眠りにつきました。
殺生石からは絶えず瘴気が溢れ、少しずつ、少しずつまわりの土地を枯れさせ、遂には国中の土地が不毛の荒野に成り果ててしまいました。
そこに異国より高尚な僧侶が現れ、荒れ果てた土地を見て、悲しみに暮れ、せめてこの石だけでもと、石に御札を貼り、眠りについた狐ごと石を砕きました。
国を滅ぼすほどの親切を振りまいた魔物はこうして最後を迎えました。
おしまい♪
玉藻・ロア
MMORPG「エミルクロニクルオンライン」の鉱山都市アイアンサウスにて紙芝居屋によって語られた、上記のストーリーの紙芝居から生まれたロアである。
モチーフは能の「殺生石」などで有名な九尾狐「玉藻前」。
容姿は長い銀髪にピンと立った大きな狐耳、胸元の露出したフリルのついた和装をしており、同じく銀色でふさふさの9本の狐尻尾が特徴
左太ももに書かれたロアの証の数字は「Ⅵ」
性格は非常に明るく朗らかであり、気さく。
人を手伝ったり甘やかしたりするのが好きで、物覚えも早いので大抵のことをすぐにこなしてしまう才女である。
人助けは趣味(というより物語の根幹である)であるため、自身を省みない行動が目立つものの、全く苦にしていない。イベント後の会話ではハウスキーパー(お手伝いさん、使用人の意)を熱く語るなど滅私奉公の精神を掲げており、理想的なメイドとも言える。
逆に自己犠牲が当たり前になっているためか、物語の影響で殺生石になりかけた時は一人でひっそりといなくなろうとしたり、自身を破壊する布石を用意するなど他者を思いやるあまり他者にあまり頼ろうとしない節がある。
イベントではル・フェイ・ロア以上に人々のイリスが強すぎて一人で物語を書き換えることができなかったため、アイアンサウスシティの人々全員に協力を呼びかけ、力を合わせて物語を書き換えている。
人を甘やかせたり慰めたりするときに自慢の尻尾で相手を包み、もふもふさせるのも趣味の一つである。
ちなみに外見・精神年齢的にはプレイヤーと大差ない(誕生経緯を考えるとむしろ年下)が、個人的には「頼られるお姉さん」でありたいと意識しているらしい。