賢者の黄金
此度語りますは科学者の物語。
魔法の無い世界に生まれなお、神秘を求めた錬金術師の物語でございます。
むかーしむかし、そのまた昔。
世界にはなんと魔法が存在しませんでした。
世界は武力と権力と富で動いていたのです。
中でもその強さの象徴は黄金でした。
金を多く持つ者はその分えらくなれました。
ある王国は金を生み出せたものに褒美を授けると言いました。
人々は競うように、石を金へ変えるため、錬金術師になりました。
でも、いつまで経っても金を作れる者は現れません。
そんな折、天才錬金術師の噂が流れ始めました。
天才錬金術師は国のために町外れで日夜研究に没頭する好奇心旺盛な若者でした。
人造人間を作り出し、日がな連れ歩いては人々を驚かせていたのです。
天才錬金術師は「賢者の石」と呼ばれる、金を作るために
必要な道具を作り出す理論を生み出したと言うのです。
噂は噂を呼び、たくさんの貴族の子女たちが天才錬金術師の元を訪れ、弟子になりました。
……しかし、その錬金術師の弟子になったものは、誰一人と帰らなかったのです。
あるものは研究に没頭しているから帰らないのだと言い、
あるものは錬金術師が賢者の石の材料に人間を使っているのだと言いました。
また、賢者の石なんてものは嘘で誰も金など生み出せないとさえ言われました。
噂が大きくなり、また金を欲した王国は、天才錬金術師の屋敷を訪れ、
「虚偽を流布した」という名目で天才錬金術師を追い詰め石と技術を没収しようとしたのです。
「そんなに欲しいというのであれば金などくれてやる」
追い詰められた錬金術師は手にした賢者の石を飲み込むと自身の身体を黄金に変えてしまいました。
それから錬金術師の弟子たちは続々と戻ってくるようになりました。
ただ、誰一人として「黄金を作ろうとしていた気持ち」を覚えているものはいませんでした。きっと賢者の石の材料は弟子たちから集めた気持ちだったのだろうと誰かが噂をしました。
しばらくして王国は錬金術師が残した黄金でわずかに栄えましたが、
そう長くは続かず没落して滅んでしまいました。
パラケルスス・ロア
MMORPG「エミルクロニクルオンライン」の中で、大都市アクロポリスに旅の錬金術師として現れた謎の人物。その正体は紙芝居が語られたことによって生まれたロアと呼ばれる存在だが、その紙芝居がいつどこで語られたかについては言及されていない。
物語の錬金術師がモチーフになっており、紫の髪に橙の瞳、黒のタイツにタイトスカートをはき、肩にはケープとマントを羽織っており、楕円メガネとステッキを装備している。
その傍らには自らが創りあげたピンクスライムのような下半身と人型の上半身をもつホムンクルスの「ホム子」を連れている。
名前の由来は元ネタとなった「テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム」の通称から。
ちなみに「テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム」はスイスの流浪の医師であり、錬金術にも精通していたという。
特に錬金術方面で業績を残し、四大元素(火、風(空気)、水、土)の再発見、アラビアの三原質(水銀、硫黄、塩)の再発見、亜鉛元素の発見などをした。
またいくつかの著名な哲学書も残している。
伝説ではホムンクルスを最初に製造した錬金術師であり、賢者の石を錬成した数少ない錬金術師の一人であるともされている。
性格は根っからの研究家であり、クールで知的な反面、目的のためなら自身の犠牲すら厭わないマッドサイエンティストな一面も有する。
その天才的な頭脳とは裏腹に、鍵をティースプーン代わりにしてそのまま忘れ、鍵をなくしたと探し回したり、ホム子を溺愛して親バカをみせるなど、天才と~は紙一重……
大の甘党であり、甘いものには非常に目がない。だが家事はできない!
また高所恐怖症である。
下腹部に書かれたロアの証の数字は「Ⅷ」
ロアとしては初めてロアたちの関係に家族感を持ちだした人物であり、先達のロアたちを姉、生みの親ともいえる紙芝居屋ことアイリスのことを母を慕う。
「空飛ぶ工房と不思議な武器」ではほむ子を自身の技術で成長させたはいいが見事に反抗期に突入されてしまい、寂しさを紛らわすためにさらに「ほむ吉」という小型ホムンクルスを作る始末。
その前の月のサブイベントではアルマ・モンスターの自由研究の手伝いで花火を作ることになったが、子供相手に本格的な花火の仕組みの講釈を開始して冷や汗をかかれてしまう。