輪廻の魔女
むかーしむかし、そのまた昔。
とある人里離れた森の奥、
そこにどんな病をも治す常若のりんごがあるという伝承がありました。
しかし、森の中へは誰一人入ろうとしません。
森には悪い魔女が住み、人を迷わせては二度と返さぬと伝え聞いていたからです。
ある時、勇敢な3人の兄弟が常若のりんごを探して森に入りました。
歩けど歩けど木しかなく次第に辺りは暗くなっていきました。
兄弟が困り果てているとそこになんと魔女が現れました。
怯える兄弟に魔女は言いました。
「夜の森は危ないから私の家に泊まっておいきなさい」
兄弟はおそるおそる魔女の後をついていきました。
しばらく歩くと泉がありました。
魔女は水を兄弟に勧めます。
一番上のお兄さんは
「こんな美味しい水は飲んだことが無い!」
と、すっかり魔女を信じました。
しばらく歩くと畑がありました。
魔女は苺を兄弟に勧めます。
二番目のお兄さんは
「こんな美味しい苺は食べたことが無い!」
と、すっかり魔女を信じました。
魔女は家につくと今度は3つのりんごを兄弟に渡しました。
「疲れを癒したいなら、この常若のりんごを食べなさい」
しかし末っ子は水と苺でお腹がいっぱいになっていて、
りんごを食べることが出来ません。
末っ子の分のりんごはお兄さんたちが争うように
ぺろりと平らげてしまいました。
すると、2人はあっという間に眠ってしまったのです。
揺すっても起きない2人を不思議に思った末っ子は
魔女の様子を見に行きました。
魔女は人がすっぽり入るほどのとてもとても大きな鍋を
かまどにかけていました。
「本物の常若のりんごをこんな子供たちに渡すわけが無い」
それを見ていた末っ子は
「やっぱり悪い魔女なんだ。さっきのりんごは毒りんごで
お兄さんたちはだまされたんだ!」
と、意を決します。
末っ子は、かまどの前に立つ魔女にそろりそろりと近づいて
魔女をかまどに突き飛ばしたのでした。
魔女は焼かれて死んでしまいました。
末っ子は魔法が解けて目覚めた兄弟と一緒に魔女が隠していた
常若のりんごを腕いっぱいに持ち帰り、末永く幸せに暮らしましたとさ。
ル・フェイ・ロア
MMORPG「エミルクロニクルオンライン」の農村ファーイーストで、紙芝居屋によって語られた上記のストーリーの紙芝居から生まれたロアである。
物語に登場する魔女その人であり、明言された結末、自らの死を記憶しているという矛盾から、自身がロアであるという事に勘付いていたロア。
由来はケルト神話の魔女モーガン・ル・フェイから。
気さくで年上のお姉さん然とした、落ち着きと茶目っ気を兼ね備えた雰囲気を持ち、「フェイ姉さん」の愛称で名乗る。
一方で、付き従う主人への挨拶など、キメる所ではしっかりした態度で臨める等、メリハリをつけた対応もできる。
職業としてではなく、種族として魔女と定められている為、魔法の扱いが上手い。
また物語上の魔女として、「毒りんごを食べさせるもの」という定めから、人々にりんごを配って歩く。
しかも、「ル・フェイ(魔女)が与えたりんご」というプロセスが、普通のりんごを眠りの毒りんごにしてしまう等、物語の影響は先の二人の比ではない。(その二人は、精々自身の行動理念や能力への影響までであった)
自身が語られた紙芝居の物語を知っており、魔女の行動を履行する傍ら、「良い魔女を演じられないか」「火炙りの結末を変えられないか」と運命に抗う道も模索していた。
イベントでは結局呪いが発動してしまいファーイースト中の人々が眠ってしまったために運命に抗うことを諦め、取り返しのつかない事態に陥る前に物語を終わらせてほしいとプレイヤーたちにお願いする。
選択次第ではプレイヤーがおそらくロアと共生関係にあることから生じた力を行使し、魂を同化させる儀式をしないまま多くの人々のイリスが生み出した運命を自分一人のイリスで覆し、物語の結末を直接書き換えるという離れ業を成し遂げる。
右肩に書かれたロアの証の数字は「Ⅲ」
以降のイベントでも時々現れては、サラリととんでもない魔法でプレイヤーを助けてくれたりする。