仔猫の神様
むかーしむかし、そのまた昔。
とある農家の旦那様が病に倒れ、亡くなってしまいました。
旦那様には3人のこどもがいました。
3人のこどもはそれぞれ旦那様の遺産を1つもらいました。
長男は麦引き小屋、次男は山羊。
そして末っ子は、彼がずっと可愛がっていた猫をもらいました。
猫は粉を引けないし、山羊のように乳を出すこともない。
それでも猫を選んだ末っ子を、上の兄弟たちは馬鹿にします。
それでも末っ子は可愛い猫をもらえたことに満足してのんびりと日々を過ごしていました。
しかしあまりにのんびりしていたものですから、
次第に貧しくなりついには食うにも困る暮らしになってしまいましたが、末っ子は猫を手放そうとはしませんでした。
そんなある日の夜、末っ子の夢の中に猫の耳が生えた少女が現れました。
明日の朝、家の横にある土を掘り返してごらんなさい。
いい事がありますよ。
翌日、末っ子がその通りに地面を掘るとこんこんと水が沸き、立派な井戸になりました。
あくる日の夜の夢にも、再びあの少女が現れました。
明日の朝、猫がとって来た薬草を煎じて、大地主のもとに持っていってごらんなさい。
きっといい事がありますよ。
翌日、目が覚めると、枕元には数種類の薬草と、得意げな顔をした猫が座っていました。
末っ子は夢の話を信じ、薬草を煎じて大地主の屋敷へ持って行きました。
煎じた薬草を差し出すと、大地主は喜んで受け取り。彼の寝たきりの父に飲ませました。
すると、みるまに元気を取り戻し、末っ子はとても感謝され、大きな屋敷と畑をもらいました。
その日の夢にも、あの少女が現れたので、末っ子は少女にお礼を言いました。
すると少女は猫に姿を変え、今まで猫を大切にしてくれたお礼です。と言うと走りさっていきました。
それから末っ子は、これまでどおり猫を大切にし、末永く幸せに暮らしました。
猫のありがたさを知った末っ子は猫の素晴らしさを皆に伝え、その町の皆は、猫を可愛がり、大切にするようになったのです。
その後その町では時々、猫の耳を生やした少女が現れ皆に可愛がられていたそうです。
バステト・ロア
MMORPG「エミルクロニクルオンライン」の工業都市トンカにて紙芝居屋によって語られた、上記のストーリーの紙芝居から生まれたロアである。
モチーフはエジプト九栄神の一人でもあるエジプト神話の月と豊穣の女神バステトから。
物語の猫そのものであり、街の皆に愛される結末で締めくくられていたが、ロアとして生まれて以降、街の人達の態度が違う事に戸惑い、ひと騒動起こす事になった。
前提としてこの世界では、猫という存在は遥か昔の戦争で絶滅しており、ネコマタという存在を除いて知っている者は誰一人居ない。
その為、猫に対する愛情など持っている筈のない街(バステト・ロアにとっては、ついこの前まで皆が猫を愛してくれた街)に戸惑い、再び猫への愛情を思い出してほしい…と、街の至る所に猫の彫像を乱立させる。
街中が猫を愛したという物語の設定に影響され、急に乱立したソレに対し違和感を持つ住人はごく少数…と、ル・フェイ・ロアに続く大規模な影響を及ぼした。
猫耳の生えた修道女のような姿をしており、常に猫のパペットを抱えている。
そのパペットも時々、明らかにバステトの手と関係なく動いたり、自立したり…と、密かに別生命体疑惑がある。
大本のモチーフの名残か、衣装にアンク模様のアクセサリがあしらわれている。
ミステリアスな雰囲気を持つが、性格は猫そのもので、束縛を嫌い、程よく自由にさせてくれる人を好む傾向がある。
言い回しが尊大な所があり、猫が好きなものを「尊い」と言ったり、猫を愛でる人の行動を「あがめる」と言ったりする。
やや言葉足らずな所もあるが、猫の周知・布教に余念がない。兎にも角にも猫、可愛いよ?
余談だが、このイベントに登場した行商人のトトの名前もエジプト九栄神の一人でもある書物の神トトから来ている。