概要
男子トイレと女子トイレに分かれていない、男性も女性も共に使えるトイレのこと。
形態は様々だが昭和頃まで一般的な存在であり、現在でも保育士が排泄指導をする必要があり、男児・女児・男性保育士・女性保育士が入り乱れる幼稚園や保育園のトイレ、トイレに使えるスペースの限られるコンビニや小規模飲食店、電車やバス、あるいは使用頻度の低い障碍者用トイレではよく見られるシステムである。
一方、これらのトイレは『出入りだけなら誰であろうと不自然ではない』という性質があるため、コンビニエンスストアやファーストフード店など、成人男性も利用するトイレでは盗撮をはじめとした性被害に遭うリスクが専用トイレに比して格段に大きい。このことから、女性のために男女共用の個室だけでなく、女性専用の個室も設置されていることが多い。
個室と小便器があるタイプ
もっとも代表的な、いわゆる「男女共用トイレ」。
男女共用の個室と男性用の小便器があり、普通の男子トイレと同じような構成となっている。
昭和の頃までの日本では、男女でスペースを区別しないこのようなトイレは珍しくなかった。
特にスペースや予算が足りない場合に採用される傾向があり、学校や駅などをはじめとするさまざまな場所に建てられていた。
小便器も、現在のような一人用のものではなく、壁と溝があるだけというような簡素なものが多かった。
現在でも、公園や小さい駅、地方の古い役場や公民館等の公共施設、それに飲み屋などといった場所では、このタイプの男女共用トイレが現役であることが多い。
また幼稚園や保育園のトイレも、保育士が管理・指導しやすいように通常この形である。
ただし、このような男女共用トイレでは当然、小用を足している男性の姿が女性の視界に入る。
それどころか、小便器が壁型や朝顔型などの場合は、角度次第で男性の大事なアレすら見えてしまうので、女性は小便器の後ろを伏目がちに通り過ぎる必要があった(逆に好奇心から、知り合いのイケメンや可愛い男子が用を足しているときに、突然覗いてアレを見てしまうイタズラをしていた女性もまれにいた)。
しかし、時代の変化とともにこうした環境を嫌がる女性が増えるようになり、また短小や包茎などを気にして女性に陰茎を見られたくないという男性も増えたため、そのような男女共用トイレはここ数十年で減少している。
とはいえ最近では、人を男女に二分せず多様な性を受け入れるべきであるという観点から、このタイプのトイレに再び注目が集まっており、実際に台湾の学校などで、配置を多少工夫した上で新しく採用されている。
性別に関係なく同じトイレを共有し、個室を使いたい人は個室を、小便器を使いたい人は小便器を使えばよいという発想である。
場所をとらずに女子トイレの混雑を緩和できるというメリットがあることも評価されている。
一方で、性被害を避けるという観点からもトイレや更衣室などプライベートな場は心の問題には目をつぶって、明確に分離されるべきという意見もまた多い。また、異性が同室することを気にしてトイレに行くことを避け、健康面に問題が出ることも危惧されている。
そのため、日本においてこうしたトイレが設置される場合は、同じ施設内に通常の男子トイレ・女子トイレも併設することを前提とすることが多い。
個室だけがあるタイプ
コンビニエンスストアや個人経営の飲食店や理髪店など、規模の小さい施設でよく見られるほか、障碍者用トイレも一般的にはこの形態である。
男性には小便器と個室が存在するが、別に個室で小用を足せないこともないため、この設備でも機能的には両性にとって何ら問題のあるものでは無い。
また、上記のような共用トイレで問題となっていた、女性が小用を足している男性と出くわしてしまうという問題からは解放されるため、現在共用トイレを設置する場合はこちらが一般的である。
一方、盗撮などの性被害に遭うリスクはこの形態でも何ら変わらないため、これを危惧する女性のために男女共用の個室だけでなく、女性専用の個室も設置されていることがある。
近年、男子トイレや女子トイレとは別に設置されることが多くなった「だれでもトイレ」は、障害のある人や小さな子どもを連れている人など様々な人にとって使いやすいトイレを志向しており、男女共用トイレとは少し異なる概念である。
一方で、男女複数人で利用していても不自然でないことから重大な性犯罪や不倫の現場、あるいはハッテン場となることもあり、特に芸能人がかかる目的で利用していたことが報道されてからは問題視する声も無視できなくなっているため、施設の性質次第では施錠しておき、使用する場合に管理者へ申告して開場してもらうという場合もある。