概要
立小便に使う便器のこと。性器の構造上、一般的には男性用である。
使用者はズボンを脱ぐことなく、男性器を社会の窓から出すだけで用を足すことができる。そのため、個室内ではなく男子トイレや男女共用トイレの共用スペースに設置されるのが普通である。まれに、屋外に設置されていることもある。また、女子トイレにも男児用の小さな小便器が置かれていることがある。
用途は男性の小用に限定されるものの、スペースを節約できる上に回転率が高いというメリットが大きいため、普及している。一般的に男性用トイレが女性用トイレより少ないスペースでも混雑しにくいのは、小便器のおかげだといえる。
使い方
- 小便器の前に立ち、社会の窓を開けて陰茎(男性の竿)を出す。
- 指で陰茎を持って向きを定める。仮性包茎の場合は、包皮を剥いて亀頭を露出させるのが普通。
- 放尿する。
- 手で陰茎をよく振って、残った尿を飛ばす。
- 陰茎をしまう。
- 水を流す。現在では、その場から離れると自動で流れるタイプが多い。
女性とは異なり、男性は小便器を使った後に亀頭を紙で拭いたり水で洗ったりはしない。
プライバシー
小便器は男性だけが使用するため、プライバシー面はあまり重視されておらず、男性器が横から丸見えになるような形状の小便器も少なくない。特に、海外で多いアサガオ型の小便器では、使用中に隣の人の陰茎が自然と視界に入るレベルである。
イラストのように小便器のサイドが張り出す深い構造になっているタイプであれば見えにくいが、近年では掃除の手間を減らすことやスペースを確保することを目的として、むしろ逆に浅く小さいスタイリッシュなタイプの小便器が採用されることが増えている(同じ理由から、小便器の間に仕切りが設けられていることも少ない)。
このような新しいタイプでは陰茎が他人から丸見えなのだが、ほとんどの男性は特に気にしていない。男性同士、お互いに弱点を晒し合うことで信頼関係を築いているのだ……という説もあるが真偽は不明。ともかく、見られることを恥ずかしがっていては使えないので、男の子は小さいうちから慣れておいたほうがよい。
女性による使用
サニスタンド以外の一般的な小便器は、女性の使用には向いていない。
使用が不可能というわけではないが、かなり難しい。前向きに放尿する方法と後ろ向きに放尿する方法があり、どちらがやりやすいかは人によって(女性器の付き方によって)違ってくる。
やり方は立ちション・ずらし放尿・スタイリッシュ放尿の記事で詳しく解説されている。そのほか、少女と小便器というタグがメジャーである。
種類
ストール型
縦長になっているタイプ。現在の日本ではこれが一番多い。
アサガオ型
お椀が斜めに置かれているような形状のもの。日本にもあるが、特にヨーロッパなどに多い。
ダダイスト芸術家のマルセル・デュシャンが、このタイプの市販の便器に架空の人物のサインを施して「泉」とタイトルを付け、ニューヨーク・アンデパンダン展(1917年)に美術品として出展し物議を醸した。
壁型
コンクリートや陶器の壁があるだけという、とても簡素なタイプ。複数の人が横に並んで同時に用を足すことができる。
昔は学校や公園、駅、ドライブインなどに多数存在した。特に田舎の学校では、このような壁型の小便器を備えた男女共用トイレが多かったのだが、目線を遮るものが何もないため、男子のイチモツが女子からも丸見えであった。
悪臭・汚れ・不衛生感が大変酷いタイプで、衛生的なトイレに慣れた現代人にとっては旅先での一時の使用ですら躊躇わせるタイプ。
このタイプは女子も使うことが出来る小便器である。現在では減っているが、皆無ではなく、地方の古いトイレに残っていることが多い。
また類似したタイプに溝トイレという主に女子用・大便用のトイレがあり、かつては中国の劣悪なトイレ文化の代表だった。
サニスタンド
かつて存在した女性用の小便器。
詳しくは個別記事へ → サニスタンド
屋外設置型
フランスやオランダの一部の都市では、立ちション対策として小便器が街中に何の囲いもなく設置されており、人々が行き交う街路で堂々と用を足す男性たちの姿を見ることができる。
中世都市から続く路地を作らない都市設計が背景にあり、街路にしばしば糞尿がそのまま投げ捨てられていた史実があるので、そう言った歴史を感じる場面…かも知れない。