概要
主に以下の意味が存在する。
いずれも主に「なっちん」と読まれ、これは「なついん」から転じたものとされる。
「のういん」「のうおん」とも読まれる。
1の納音
六十干支に五行を当てて30組に分類し、各々に「漢字2文字+五行」の形の名前を付けたもの。
以下が存在。
名前 | 読み | 干支 |
---|---|---|
海中金 | かいちゅうきん | 甲子・乙丑 |
爐中火(炉中火) | ろちゅうか | 丙寅・丁卯 |
大林木 | たいりんぼく | 戊辰・己巳 |
路傍土 | ろぼうど | 庚午・辛未 |
釼鋒金(剣鋒金) | じんぼうきん(けんぼうきん) | 壬申・癸酉 |
山頭火 | さんとうか | 甲戌・乙亥 |
澗下水 | かんかすい | 丙子・丁丑 |
城頭土 | じょうとうど | 戊寅・己卯 |
白鑞金 | はくろうきん | 庚辰・辛巳 |
楊柳木 | ようりゅうぼく | 壬午・癸未 |
井泉水(泉中水) | せいせんすい(せんちゅうすい) | 甲申・乙酉 |
屋上土 | おくじょうど | 丙戌・丁亥 |
霹靂火 | へきれきか | 戊子・己丑 |
松柏木 | しょうはくぼく | 庚寅・辛卯 |
長流水 | ちょうりゅうすい | 壬辰・癸巳 |
沙中金 | さちゅうきん | 甲午・乙未 |
山下火 | さんげか | 丙申・丁酉 |
平地木 | へいちぼく | 戊戌・己亥 |
壁上土 | へきじょうど | 庚子・辛丑 |
金箔金 | きんぱくきん | 壬寅・癸卯 |
覆燈火(覆灯火) | ふくとうか | 甲辰・乙巳 |
天河水 | てんがすい | 丙午・丁未 |
大駅土 | たいえきど | 戊申・己酉 |
釵釧金 | さいせんきん | 庚戌・辛亥 |
桑柘木(桑拓木) | そうしゃくもく | 壬子・癸丑 |
大溪水(大渓水) | だいけいすい | 甲寅・乙卯 |
沙中土 | さちゅうど | 丙辰・丁巳 |
天上火 | てんじょうか | 戊午・己未 |
柘榴木(石榴木) | ざくろぼく(せきりゅうぼく) | 庚申・辛酉 |
大海水 | たいかいすい | 壬戌・癸亥 |
自由律俳句で知られる俳人、荻原井泉水や種田山頭火の号も納音にちなむ(ただし山頭火の生年の納音は楊柳木で、「山頭火」を号とした理由には諸説ある)。また、声優の瑞沢渓の芸名も生年の納音である大渓水をもじったものだと思われる。
中国古代の音韻理論を応用したものであると説明され、「納音」の名はそこから来ているとされるが、具体的にどのように応用しているのかは情報求む。
30という数については、中国の音楽が五声六律の30の音により成っていることに由来するとされ、この五声には五行が、六律には陽の十二支が当てられている(「呼・言・歌・哭・呻」も五声と呼ばれるが、ここでの五声は音階の意味合いを持つ「角・徴・宮・商・羽」を指す)。
名前の最初の二文字は、沙中金と沙中土が「沙中」で被っている以外はばらばらである。
五行でまとめると以下のようになる。
五行 | 納音 |
---|---|
木 | 大林木(戊辰・己巳)、楊柳木(壬午・癸未)、松柏木(庚寅・辛卯)、平地木(戊戌・己亥)、桑柘木(壬子・癸丑)、柘榴木(庚申・辛酉) |
火 | 爐中火(丙寅・丁卯)、山頭火(甲戌・乙亥)、霹靂火(戊子・己丑)、山下火(丙申・丁酉)、覆燈火(甲辰・乙巳)、天上火(戊午・己未) |
土 | 路傍土(庚午・辛未)、城頭土(戊寅・己卯)、屋上土(丙戌・丁亥)、壁上土(庚子・辛丑)、大駅土(戊申・己酉)、沙中土(丙辰・丁巳) |
金 | 海中金(甲子・乙丑)、釼鋒金(壬申・癸酉)、白鑞金(庚辰・辛巳)、沙中金(甲午・乙未)、金箔金(壬寅・癸卯)、釵釧金(庚戌・辛亥) |
水 | 澗下水(丙子・丁丑)、井泉水(甲申・乙酉)、長流水(壬辰・癸巳)、天河水(丙午・丁未)、大溪水(甲寅・乙卯)、大海水(壬戌・癸亥) |
納音の五行
「甲」と「乙」が木行であるにもかかわらず、甲子と乙丑は海中「金」、甲戌と乙亥は山頭「火」となっているが、これは十二支も含めた特殊な計算による。
計算の方法は、まず十干を「甲・乙→1、丙・丁→2、戊・己→3、庚・辛→4、壬・癸→5」と置き換える。
次に十二支を「午・未・子・丑→1、寅・卯・申・酉→2、辰・巳・戌・亥→3」と置き換える。
これらを足し合わせた値(6以上ならば5を引く)が、1なら木、2なら金、3なら水、4なら火、5なら土、という具合となっている。
この最後の五行の順番は、五行の納音数(老数)(木:9、火:3、土:1、金:7、水:5)の大きい順となっている。
2の納音
算命学における表現で、十干が同じで十二支が(円状に配置した際に)対極となっている干支の組み合わせ。
例えば、甲子と甲午、乙丑と乙未の関係がこれに該当する。
「十二支が対極となっている」は「宇宙盤上で対冲する」と表現される。
生まれた年・月・日・時の干支の内、いずれかが納音の関係となっている人は用心深い傾向があるとされる。
また、生まれた年または日の干支と、現在の年の干支が納音する場合、停滞などの作用をもたらすとされる。
対して、十干と十二支が共に同じである干支(即ち同じ干支)同士の組み合わせは「律音(りっちん)」と呼ばれる。