概要
他人の作品を自分で作ったものだとして発表してしまうこと。元絵のトリミングや他人の下絵に加筆するなどの加工をした作品などもこれに当たる。
明らかな著作権侵害であり、著作者名詐称罪(著作権法第121条)という犯罪となる。フリー素材や作者が著作権を放棄する旨を明言している作品などを使った場合でも、自作と偽って発表するのは著作者名詐称罪に該当し、著作者人格権の侵害になる。
作品中に必ずサインを入れる、ネットに上げる際はウォーターマーク(透かし)を入れる、などの自衛策をとっているユーザーもいるが、ウォーターマークを除去するツールもあるので完璧ではない。
AI自作発言について
生成AIの使用を伏せて作品を発表する行為や、AIイラストを自作として発表する行為についても、「AI自作発言」と称して貶められることがある。pixivではAIを使った作品の投稿は許されているものの、「制作過程のすべて、もしくはほとんどをAIによって生成された作品」については、AI生成作品のチェックを付けずにAIイラストを投稿することは禁じられている。
AI生成作品を自作と称して発表するAI絵師に不快感を覚えるクリエイターは多いが、文化庁の見解ではAI利用者が著作者となることも認めている。もっとも、AI生成物(AIが生成したコンテンツ)がどこまで著作物(思想又は感情を創作的に表現したもの)に該当するかについては、まだ裁判所の判例などがなく、議論百出で紛糾している状態である。
既存の学習モデルを使って単に「〇〇の絵を描いて」と生成させた、いわゆる「ポン出し」のものから発表する画像を選ぶ行為や、棒人間程度のラフからi2iで画像を生成する行為は「創作的行為」には当たらないという議論もあるが、そのようなユーザーであっても「AIを道具として使った」「〇〇の思想や感情を込めた」と主張することは可能であり、一方でAIを使っていない創作物であっても偶然性を生かした「無意識のアート」も存在するため、線引きは困難である。
AI生成物と人間による創作物が区別がつかないという理由で、AI生成物を創作物と見做して同等の保護を与えるのは過剰保護であるとの批判がある。ところが現状では、AI生成作品を発表する際、プロンプトや利用したモデルなどを公開する義務はないし、そもそもAI生成物を明言する義務も(法的には)無いため、生成AIの登場以降は、作品だけ見て創作性の有無を論ずること自体が困難になってしまっている。AI生成物であることを伏せて、あるいは「人間が創作した」と偽って発表されるAI生成物を「僭称コンテンツ」と称し、AI利用の表示を義務化する必要があるという議論もある。
なお、サイトによっては生成AIを利用した作品の投稿を規約などで禁止していることがある。pixivFANBOXでは、個別規約でAI生成コンテンツの投稿は禁止である。