概要
仏教における女神の一柱であり、世界の四方を守護する四天王の主である帝釈天を夫にする女神。
また、阿修羅王の娘でもある。
説話
力を司る帝釈天と正義を司る阿修羅王は共に武神であり、それぞれが神の軍勢を率いる世界の王でもあり、世界の均衡を守るために同盟を結ぶことにする。
その同盟の証として、阿修羅王は自分の娘である舎脂を帝釈天の妻として政略結婚をすることとする。
しかし結婚前夜。女好きである帝釈天は絶世の美女としても知られる舎脂が妻になると言う事に我慢しきれず、結婚前であるというのに舎脂の寝床に入りこんで無理矢理彼女の処女を奪ってしまう。
この事を知った阿修羅王は怒り狂い、帝釈天に対して戦争を挑むことになり、世界を二分する戦いが始まる。
その後、阿修羅王は修羅道を治める神となり、帝釈天は天界を治める神となった。
解釈
基本的な大筋は説話の項に書いてある通りだが、この後の展開は話によって大きく変わり、それによって解釈も大きく変わる。
一見すれば、この話は力の神である帝釈天が正義の神である阿修羅王を一方的にやり込めているように見えるが、仏教は中庸を貴ぶ宗教であり、悪事を行うことは当然ながら、同時に強すぎる正義感も忌み嫌うことが多い。
パターン1
帝釈天はこの後舎脂婦人に許しを乞い、帝釈天の反省を見て取った舎脂婦人は帝釈天を許すことにする。
しかし、正義を司る阿修羅王は、舎脂婦人が帝釈天を許しても阿修羅王は帝釈天を許さず、それ故にいつまでも帝釈天を憎み続けて戦争を繰り返す。
この場合、力を司る帝釈天は自分の悪事を反省し、敵を許す寛容の心を手に入れたが、正義であるがゆえに敵を憎むことしかできない阿修羅王は、悪魔の一種にまで落ちてしまったというもの。
パターン2
舎脂婦人との件が切っ掛けとなって、阿修羅道と天界とができたというもの。
『聖伝-RG VEDA-』における舎脂
帝釈天の妻(天妃)で、阿修羅と天王の母。絶世の美女。元は人間だったが、巫女として優れた才能を認められて、双子の姉・迦羅と一緒に阿修羅族の巫女にとりたてられて神格(神と同じ寿命)を与えられ、やがて阿修羅王の妻となった。しかし帝釈天が天帝に戦いを挑んだ際、『天界の守護闘神(阿修羅王)の妻より天界の王の妻がいい』という理由で、敵側である帝釈天と通じて、阿修羅軍の情報を提供することで帝釈天の勝利に貢献し、帝釈天の妻となった。帝釈天との子である天王は可愛がっているが、阿修羅王との子である阿修羅のことは忌み嫌っている。夫である帝釈天同様、残虐非道な性格で野心家。失敗した侍女の両眼をえぐりとるなど、侍女たちからは恐れられている。四天王(増長天と広目天)からは「天妃だとえらそうなツラしやがって」と陰口をたたかれていた。
最終決戦時に『破壊神』の人格で現れた阿修羅に修羅刀で刺し貫かれ、自身の額にある修羅刀の封印の鍵(赤い石)を剥がされ、自業自得ともいえる最期をとげた。