概要
中国で古くから伝わる民謡に登場する女性の英雄。
現存する最古の伝承は、6世紀に書かれた詩「木蘭辭」。
中国語では花木蘭をファ・ムーラン、ホア・ムーラン、ホワ・ムーラン、ホァー・ムーラン、ホヮー・ムーラン(Hua Mulan)と読む。
木蘭辭
時の中国では、北方から襲来する異民族に苦しんでいた。
木蘭は老いた父と幼い弟の代わりに皇帝の徴兵に応えることを決意し、馬を買い戦場に向かう。
そして木蘭は戦場で多くの手柄を立てたため皇帝から褒美を与えられるが、木蘭は地位を望まず故郷へ帰る許可を求めた。
こうして故郷に凱旋した木蘭は家族と再開し喜びを分かちあった。しかし、彼女が鎧を脱いで女性の服を着た時、彼女の戦友たちは大層驚くことになった。彼らは木蘭が女性であることにこの時まで気づいていなかったのである。
この短い詩が木蘭の最初の伝説である。
親孝行をテーマとしたこの物語は、男装の戦士というロマンある設定もあって中国の民衆に愛される様になった。
以後も古くから現在に至るまで多くの物語に登場している。京劇では定番の演目であるほか、ゲーム、映画、小説、マンガでも人気の題材である。
近年、ディズニーの映画「ムーラン」で世界的に有名となった。
そんな彼女だが、実は漢民族ではなく鮮卑など北方の遊牧民にルーツがあると言われている。
原詩では皇帝の呼称が「可汗(ハーン)」という遊牧民族の王を指す言葉であるうえ、鮮卑族には女性が従軍する習慣があった。
描かれ方
描かれ方は様々だが、以下のような特徴のいずれかを持つ描かれ方がポピュラーである。
- 鎧を纏った兵士の姿と、婦人服を纏う女性らしい姿の二面性が表現される。ちなみに鎧は青や黒で描かれることが多かったが、20世紀以降は赤色に描かれることが多い。これは中国共産党の影響であるとも言われている。
- 馬を供にしている。龍を連れているのはディズニーの創作。
- 勇猛果敢な戦士でありながら、家族思いの孝行者である。
- 遊牧民ルーツという解釈を意識し、巧みな馬術と弓術を披露する作品もある。