概要
古代中国を舞台にした物語で、中国の伝説『花木蘭』をモデルとしており、ストーリーは一部異なるものの京劇「木蘭」に基づいている。
2004年12月には続編のビデオ作品『ムーラン2』も発売されている。
日本では興行成績が振るわず知名度は高くないものの、ミュージカル場面の軽快さや圧巻のヴィジュアルセンス等、ディズニールネッサンスと呼ばれるに相応しい評価を得ている。
アニー賞作品賞受賞。
ストーリー
昔々のある日、中原侵略を目論む北方騎馬民族、フン族が侵攻してきたため、国中に各家男子一人の徴兵令が下った。これによりファ(花)家も男子一人を軍に入隊させなければならないが、ファ家の男性は高齢で病を患っている父のファ・ズーしかいなかった。父想いの一人娘ムーランは美しく長い髪を切り男装し、父に代わり軍隊に入隊した。物慣れない男装と想像を超える厳しい訓練によって、当初は失敗も多く、仲間達の意地悪もあったが、努力によって力をつけ、周囲の仲間達もムーランに一目置くようになる。行軍を続ける中、ムーランは司令官シャン隊長に淡い憧れを抱くようになる。
登場人物
ファ家の一人娘。おてんばで明るい少女。父に軍からの招集命令が来ると、足の悪い父に代わり、男装して従軍。少年姿のときは「ピン」と名乗る。慣れない男装で当初は四苦八苦していたが、訓練でめざましい成長を遂げ、戦闘時には大活躍した。正義感に溢れ、父親想いの優しい性格。
(吹き替え声優:山寺宏一)
ファ家の守り神である龍。身体が小さく、トカゲと見分けがつかない姿ながら、長年ファ家を守っていた。ムーランと旅を共にし、いつも傍で支えては、茶目っ気いっぱいである。
(吹き替え声優:原語流用)
ムーランの祖母が「お守り」と持たせてくれた幸運のコオロギ。ムーシューとは名コンビ。
(吹き替え声優:園岡新太郎)
ムーランが配属された隊の隊長(画像左)。正義感が強く素晴らしい体力の持ち主。若さ故に少々自信過剰な面もあるが、リーダーシップもある頼れる男。
(吹き替え声優:藤岡弘、)
フン族(匈奴)の頭。万里の長城を越え、中国侵略を企む。残忍で必要のない者や気に入らないものは迷わず始末する。
(吹き替え声優:大塚周夫)
ムーランの父。家のしきたりを重んじる娘想いの厳格な人。先の戦争で足を負傷し、杖を突いている。
(吹き替え声優:小林修)
中国の皇帝。国を守ったムーランに勲章と剣を与える。
実写版
監督は、『モアナと伝説の海』に影響を与えたとされる『クジラの島の少女』を監督したニキ・カーロ。
当初は3月27日に公開日が設定されていたがCOVID-19の影響から4月17日から5月22日から9月4日に延期したが劇場公開を断念し、9月4日から独占配信を行った。それに対し映画館側はディズニー映画の上映自粛が起こった。
実写映画版ではリー・シャンが登場しない。司令官という上司として登場するリー・シャンと部下であるムーランが恋仲になる、という展開を、MeTooの世界的展開を踏まえて除外したという。
職場での性犯罪、セクシャルハラスメントの多くが男性上司と女性部下という構図で起こるこの社会において、「上司と部下」が恋に落ちるのはNG、と判断したことが関係者側から明かされている(ディズニー実写版「ムーラン」にも「MeToo」の影響、“上司と部下の恋”はセクハラ連想でNG)。
この方針については、「上司と部下」であるだけで十把一絡げで否定する事はMeTooの理念に反するという声も強い。
このほかコオロギのクリキー、赤竜のムーシューもいなくなっている。
なお、中国側の意見を取り入れて作ったのに、肝心の中国市場での興収は壊滅的な結果となった。
また直接の因果関係は不明だが、本作の興収が残念な事になって以降、ディズニーおよびその系列会社の作る映画は「中国出身だが中国政府批判を行なった事が有り中国当局に目を付けられてる人物を監督に起用する」「『ポリコレ準拠』でありながら『中国の映画検閲を絶対に通らない』ような描写・設定をどんどん入れる」など中国市場を捨ててかかっている作品が妙に多くなった。
関連イラスト
キングダムハーツシリーズ
ムーランのキャラクターが登場している(ただし『キングダム ハーツ』『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』ではムーシューのみ登場)。
続編ではムーランを題材としたワールドが登場したため、シャン・ユーや皇帝なども登場している。
シュガー・ラッシュ:オンライン
シュガー・ラッシュ:オンラインにて、実在の公式ジョークサイト「Oh My Disney」のプログラムキャラクターとしてディズニープリンセス枠で他のプリンセスと共に登場。(彼女は王女ではないものの、今回も含め度々公式から広義のディズニープリンセスとしても扱われている)
インターネットサイト内のプログラムとして登場したため、現代的な部屋着姿を披露するなどの意外な姿を見せる場面もある。
スカジャンを着用したビジュアルの似合いぶりとキャッチーさから上映前に告知画像が投稿された時点でTumblerやTwitterをはじめとしたSNSやpixiv内でも多くの部屋着ムーランのファンアートが投稿された。