概要
「八咫烏シリーズ」に登場する東西南北ある四つの領地のうち、西の地を治めている大貴族。
他家同様、金烏宗家に仕えている。
文化芸術に優れ、山内の工芸全般を得意としており、あらゆる分野の職人が住み、絶えず職人同士腕を競い、技術を磨き合う環境が整えられている。
西家は、継続して職人の養成と技術の保護を謳っており、貴族達の愛用する豪奢な反物から精緻なつくりの機器に至るまで、上等なものは殆ど西領産であるとまで言われており、その為か西領の職人達は非常に優遇される。
特に突出した腕の者は西家の「お抱え」となり、作品を宮中に納めることが許される。定期的に「腕比べ」が行われ、長年「お抱え」だった者でも他者に劣れば容赦なくその資格は剥奪される。
西家の屋敷はもはや屋敷という語で言い表せないほど大きく、外伝の「あきのあやぎぬ」では『紅葉の御殿(もみじのおとど)』なる敷地内の別邸が登場しており、あまりに多い側室達のためにわざわざ造られたもので、側室が産んだ、もしくは連れてきた子ども達も多く住んでいる。
当主夫妻が住む主殿はたくさんの楓の木の植わった庭を超えたはるか向こうにあり、真赭の薄もそこに住んでいる。
正式には西本家。他は西家系列の一族からなる分家である。
それ以外の分家については登場していないため詳細は不明。
ちなみに澄尾の出身郷もある。
西家は西家出身の側室から生まれた若宮を推しているが、曰く「敵ではないが味方でもない」。
若宮のことをただの傀儡、自分達の思い通りに動かせればいい存在としか思っておらず、命を守りこそすれ、表立って味方してくれない。
若宮の母親の十六夜や、後ろ足をしてくれた先代が死去したこともあり、後ろ盾がなく西家はその辺りが徹底して抜けている。
かつて若宮は幼い頃に西家の別邸に強引に閉じ込められ、中央から完全に隔離された失敗経験がある。「政治の事など何も考えず、ただ健やかであれさえすればいい」と呪文のように繰り返し言われたらしい。
若宮曰く、「良くも悪くもおめでたい一族」で、矜持が高く調子に乗りやすいため、若干他の三家に馬鹿にされている節もあるという。
その反面、内部は謀略とは無縁であり、家族を慈しむ風潮があるため、顕、顕彦、真赭の薄、明留といった西家出身の登場人物は欠点があれど、善性を持つ者が多い。