概要
その色から赤色硫化水銀とも呼ばれ、他にも朱砂(しゅしゃ)、丹砂(たんしゃ)、丹(に)などの呼び方がある(「朱」も「丹」も赤系の色の名前)。辰砂というのは中国の地名「辰州」から取られた名で、辰州がこの鉱物を多く産出したことにちなむ。英語では現在シナバー(cinnabar)と呼ばれるが、これは「赤いもの」または「赤い絵の具」という意味のキナバリ(κιννάβαρι / kinnabari)というギリシャ語からきている。
水銀と硫黄の化合物(HgS)であり、酸素(O2)を含んだ空気の中で熱すると水銀蒸気(Hg)と亜硫酸ガス(SO2)が発生し、その水銀蒸気を冷やせば液体の水銀を得られる。
不老不死の妙薬を求めた古代中国の錬丹術では、辰砂から得た水銀を丹薬作りに用いた。しかし水銀の有害性から逆に命を縮めることにしかならなかったようで、それで死んだ皇帝が何人かいるという記録がある。
ヨーロッパの錬金術でも水銀や硫黄を重要な要素とする説があり、辰砂が賢者の石と呼ばれたりもしたようだ。また、その色からドラゴンの血が固まったものであるともされた。
日本では塗料や顔料の原料とされ、神社の鳥居、漆器、戦国時代の甲冑などに用いられた。
戦国時代最強の騎馬集団「赤備え」の真っ赤な鎧兜は、この辰砂で塗装されたものである。
Pixivでは
2021年現在「辰砂」で検索すると、なんらかの辰砂の擬人化キャラクターを描いたものが多くヒットする。そのほとんどを占めるのが漫画『宝石の国』のキャラクターのシンシャのイラストで、それらには中国語圏で使われている作品名の「宝石之国」または「寶石之國」タグが付けられていることが多い。その他にゲーム『宝石姫』にも辰砂というそのままの名前のキャラクターがいる。これらのキャラクターを検索結果から除きたい場合はマイナス検索が有効(「辰砂 -宝石の国 -宝石之国 -寶石之國 -宝石姫」の検索結果)。
別表記である「辰沙」は、小説『屍鬼』のキャラクター辰巳と桐敷沙子のカップリングタグとして使用されていることが多い。