概要
陸上における戦闘(特に近接戦闘)の手法のひとつで、文字通り銃剣を携えた(主として)歩兵による一斉突撃のこと。
歩兵による突撃戦術は、機関銃等の自動火器兵器や陣地構築技術が発達した20世紀(特に第一次世界大戦)以降は状況を選ぶようになり、頻度こそ下がることになったが、現代でも歩兵の基本戦術であり続けている。
敵陣地を完全制圧するためには、味方の支援の下に行われる一斉突撃が最も効果的である。
しかしながらこれに銃剣を使うかとなると組織によって好みがわかれるところ。
現代使われているアサルトライフルの多くは近接戦闘にも配慮しており、接近戦においても有用な兵器である。
これに銃剣を装着すれば、確かに接近戦への対応力は向上するし、味方の士気向上や敵の威圧効果も得られる。
しかしながら、重心変化や発射ガスへの影響で射撃に悪影響を及ぼすことになり、ごく短時間とは言え着剣作業の手間も加わり、事前の訓練も増えることになる。
現代においては、歩兵戦レベルで戦術が大きく変化した事から実用的とは言えず、幾つかの軍(主に中小国)では銃剣格闘が基礎教練から廃止されるなど、廃れた戦術とされつつある。
しかし、アメリカを始めとした主要各国においては未だ基礎教練プログラムに含まれており、事実イギリス軍がイラクにて銃剣突撃を敢行した記録があることや、現時点で自衛隊の最新小銃である20式小銃に着剣機能が残されている等、状況次第では(最後の手段として)充分有用な戦術とされている。
またアメリカ海兵隊は新兵教育に古タイヤを敵に見立てて繰り返し銃剣を突く訓練を行なっている。これは敵と遭遇したら反射的に攻撃が出来る様にする…有り体に言ってしまえば「昨日まで殺し合いとは無縁だった者を短期間で殺人マシーンに作り変える」という目的で特に重要視される訓練なのである。