概要
1979年7月10日に発表したシングル曲。
この曲が誕生したきっかけは当時通っていたスナックのママに「最近の男は駄目になった。だから若い娘も駄目になった」「男はんしっかりしとくれや、そういう歌を作っとくれやっしゃ」と言われたことがきっかけだという。
約160万枚または169万枚というミリオンセラーを記録する大ヒットとなったが、本人曰く「『一番売れた曲』=『一番良い曲』ではない」と言っている。彼の言う通り意外と人気はそれほど高くはなく、テレビやラジオなどの企画でファンによるさだの楽曲の人気投票をしても上位に入ってこないことが多い。
さだはこの曲で紅白歌合戦に出場したが、当時は出場歌手はそれぞれ持ち時間があり彼の場合は2分半だった。しかし、「削ったら歌の意味が分からなくなる」ということでフルコーラスで歌うことを希望していた。その後スタッフに勧められて歌詞を読んだ美空ひばりが「これは削れないわね」と評価したためフルコーラスで歌うことを認められたという。
この曲は結婚を前にした男が相手の女性に向けて「亭主関白」となることを宣言しつつも、自分のもろさや弱さ、相手への深い依存心をのぞかせ、不器用な愛情を吐露していく、という内容だが、歌詞の内容を真に受けた層や一部の歌詞しか知らない人々から「女性差別」「男尊女卑」と批判された(しかしながら、先述のとおりこの曲はスナックのママ、つまり他ならぬ女性からの要望によって作られた曲である)。題名もよく間違えられ、「亭主関白」や「関白音頭」とも呼ばれてしまったこともあったという。
この曲がリリースされてから15年後の1994年、後日談である「関白失脚」がリリースされた。
こちらは結婚してから月日が流れ、結婚する時には強気な言葉で「関白宣言」してみたものの結局「男が弱くなる」という時代の流れには逆らえず、妻には無視され、陰口をたたかれ、犬のポチしか話す相手がいない…そんな中年男性の悲哀を描き、同時に応援メッセージを送るという流れになっている。
映画『関白宣言』
楽曲の大ヒットを受けて1979年には同名タイトルの映画も公開された。
当初主演もさだまさしが務める予定だったが、当時さだは『翔べイカロスの翼』に出演していたため出演できず、さだまさしの弟であるさだ繁理が主演を務めた。さだまさしも端役として「ひやかし出演」している。
かつて社長シリーズなどサラリーマン喜劇を手掛けた松林宗恵がメガホンを取ったが、それゆえか「内容が往年のサラリーマン喜劇の焼き直し」、「ニューミュージックの包装で新しくなるんでしょうかね」などと揶揄されてしまった。
松林監督は本作の縁で『連合艦隊』の主題歌にさだまさしを起用する構想もあったが、最終的に谷村新司の「群青」が使用された。
スタッフ
製作:荒木正也
協力製作:山田順彦
音楽:渡辺俊幸
チーフ助監督:西川常三郎
監督:松林宗恵
キャスト
宇田まさし:さだ繁理
鈴木久美:名取裕子
鈴木部長:財津一郎
古山みのる:新井康弘
山川浩:丹波義隆
風間好子:佐良直美
岡崎:田中邦衛
相沢あけみ:テレサ野田
野坂めぐみ:亜湖
宇田政子:泉ピン子
祖母:北林谷栄
清子:里見奈保
関連タグ
部屋とYシャツと私…この曲のアンサーソングである。
トリセツ(西野カナ)…35年後に発売された楽曲で、本曲の逆バージョンとも言われている。