概要
2015年10月より始動している『刀剣乱舞-ONLINE-』を原案としたミュージカル作品、ミュージカル『刀剣乱舞』(通称:刀ミュ)の第1作目にあたる作品。
3つのバージョンが存在する。
- トライアル公演
東京:2015年10月30日~11月8日
パイロット版。
- 阿津賀志山異聞
東京:2016年5月27日~6月12日
大阪:2016年6月17日~19日
京都:2016年6月23日~26日
演出・楽曲を調整して行われた本公演。
- 阿津賀志山異聞2018 巴里
パリ:2018年7月15日
東京:2018年8月3日~19日
ジャポニスム2018公式企画としてパリのパレ・デ・コングレ・ド・パリ大劇場にて上演。その後東京にて凱旋公演が上演。
「つはものどもがゆめのあと」は本作の続編となっており、歴史人物も全員再登場している。
2019年7月、戯曲本が発行。
2021年9月、WEB COMICサイト「となりのヤングジャンプ」にてコミカライズ。作画は山崎京。
あらすじ
文治5年、陸奥国衣川館。
同盟関係にあった藤原泰衡に裏切られ、源義経、武蔵坊弁慶の主従は500騎の軍勢に包囲される。
共に奮戦するも遂に進退窮まり、義経は自刃を決意。主の最期を守る為に弁慶は押し寄せる軍勢の前に立ちはだかり、義経は幼少の頃より守り刀としていた短刀を手にすると、二人は辞世の句を高らかに謳った。
「六道の 道のちまたに 待てよ君 遅れ先立ち 習ひありとも」
「後の世も また後の世も めぐりあへ 染む紫の 雲の上まで」
(……よしつねこう……よしつねこう……これは、なに?)
本丸では、加州清光が審神者に呼ばれていた。
そこで部隊長を任命されて喜ぶ清光だったが、部隊編成はいずれも癖の強い三条の刀剣──今剣、石切丸、小狐丸、三日月宗近、岩融。
刀種から見て戦術的に意味はないと困惑する清光に、審神者は「戦術だけで選んだわけではありません」と告げる。かくして凸凹にも程のある部隊を率いる事に不安を感じつつ、主からの期待に応えようと気合を入れる清光であった。
出陣先は、文治5年、陸奥国阿津賀志山。それを知った今剣は動揺する。
狙われた歴史の中心にあるのは、かつての主である源義経。そして彼の死後に起きた因縁の戦い、阿津賀志山の戦いであった。
過去へと飛んだ刀剣男士達は、そこで本来であれば死んでいる筈の義経と弁慶が生きており、更には裏切った筈の泰衡と結託。鎌倉に座している筈の兄・源頼朝が率いる軍勢と戦っている状況だった。
戦の天才である義経に翻弄され、奇襲を受けて頼朝は捕らわれの身とをなってしまう。
義経が健在である事を無邪気に喜ぶ今剣だったが、それを仲間から諫められて不満と疑問を口にする。
「れきしをかえては、なぜいけないの?」
それに応じる岩融。
「悲しい事があっても、その先に我らがいるからだ」
隊長の責を全うし、審神者に戦果を持ち帰る事を強く願う清光だったが、負傷した今剣を心配して撤退を進言した石切丸と言い争いになってしまう。
それぞれの持論を持つ両者を小狐丸がなだめ、また使命と今剣の間で揺れる岩融には三日月が助言する。
そんな中、今剣は義経を想うあまりに単独行動を取り、彼の許へ赴く。そこで義経と弁慶と会話をし、捕らわれとなっている頼朝と和解することを提案。
義経も本心ではいまだ兄を慕っており、彼を許そうとするが、そこへ歴史修正主義者が介入。
義経の持つ刀を媒介とし、彼を乗っ取ってしまった。
わだかまりを超え、今剣を追いかけてきた仲間達は、正面突破で義経の陣営に乗り込む。
そこへ登場した義経は最早異形と化しており、人の身でありながら刀剣男士を圧倒。
変わり果てた主を止めようとした弁慶もその手にかかり、それまで両者の間で迷い続けていた今剣は、遂に心を決める。
「あなたは、よしつねこうなんかじゃない!」
正しき歴史を守る。
その戦いの行き着く先は……
部隊編成
歴史人物
- 武蔵坊弁慶(田中しげ美)
豪放磊落の荒法師。元服前の義経と戦い敗れ、以後は主従の契りを結んだ。
義経を「我が君」と呼び、改変された歴史にあっても覇道を共に歩まんとするが……
- 源義経(荒木健太朗)
九郎判官義経。源平の戦いにおいて活躍した、戦の天才。しかし戦後は兄・頼朝に疎んじられ、奥州藤原氏を頼って落ち延びた。
本来の歴史であれば泰衡の裏切りによって死亡している筈が、歴史修正主義者の介入によって改変された歴史にて生存。しかし後に憑依されて異形と成り果ててしまう。
- 源頼朝(奥野正明/冨田昌則(2018年版))
義経の兄。鎌倉幕府初代将軍。
義経の手により捕らわれるが、後に弟の赤心を知る事となる。しかし……
- 藤原泰衡(加古臨王)
奥州藤原氏最後の棟梁。かつて義経とは義兄弟の契りを結んでいた。
勢力を拡大する頼朝からの圧力により変節。義経を自刃に追い込むも、改変された歴史では結託して頼朝軍と戦う。
余談
人気作品のミュージカル化ということもあり、トライアル版は賛否両論となった。
キャストも第一部で力を使いきってしまい、第二部ではまともに歌えなかったなど、今では信じられないような話もある。
しかしこれ以降、衣装やウィッグ、メイクや演出が大幅に改善。粗削りな部分が見える初期から現在に至るまでの努力が窺える。
本公演大千秋楽ではラストに次回作「幕末天狼傳」のキャストがサプライズで登場し、「ユメひとつ」を披露。客席からは歓声と拍手が上がった。
2018年版では、現地入り後上演直近になって小狐丸役の北園涼が網膜剥離と診断されて欠演。
声のみの出演となり、東京公演についてはアンサンブルキャストの岩崎大輔による代演が行われた。以後、非公式ながら「岩崎丸」と呼ばれる事となる。
その後「歌合乱舞狂乱2019」の「小狐幻影抄」にて、二振の小狐丸が顕現。この時狐面を被ってもう一振の小狐丸を演じたのが岩崎氏であり、上演後にSNSにアップされた小狐丸・岩崎丸のツーショットで話題を呼んだ。
関連動画
関連項目
次回作→幕末天狼傳