概要
2015年10月より始動している『刀剣乱舞-ONLINE-』を原案としたミュージカル作品、ミュージカル『刀剣乱舞』(通称:刀ミュ)の第5作目にあたる作品。
通称「むすはじ」。
「幕末天狼傳」の続編に当たる。
本作では巴形薙刀を隊長とし、大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、長曽祢虎徹、陸奥守吉行の6振による「刀の時代の終わり」の物語が描かれる。
あらすじ
慶応3年11月15日、京都・近江屋。
坂本龍馬と中岡慎太郎が逗留する部屋を刺客が急襲。不意を突かれた龍馬は即死し、中岡も致命傷を負った。刺客が立ち去った後に姿を見せたのは、この時代に派遣された陸奥守吉行、和泉守兼定、巴形薙刀。
元の主が目の前で殺され、その朋友が死んでいくというのに全く悲しむそぶりを見せない陸奥守に、和泉守は「心がない」と不快感をあらわにする。先の遠征で陸奥守の心情を知っている長曽祢は和泉守をたしなめるが、承服しかねる和泉守はいら立ちを隠さない。
いまいちその機微を理解できず、首をかしげる巴形薙刀。
慶応4年、会津。
土方歳三は、幕臣として新選組隊士を率い、新政府軍との戦いにその身を投じていた。
宇都宮の戦いで足を撃たれて負傷したもののその意気は衰えず、共に行動する島田魁は心配を見せる。そんな二人の元に、新選組隊士・中島登が姿を現す。
江戸に残された沖田総司は病で亡くなり、先に投降した近藤勇も処刑されたという報告。更に中島が密かに三条河原から持ち去った近藤の首級と対面し、土方は号泣。
密かに首を供養すると、先に逝った者達から託された想いを胸に、再び戦場へと向かう。
本丸では、新たな時間遡行軍の動きを察知した審神者により、緊急招集がかけられた。
新たに編成された部隊を率いる隊長に任じられたのは、顕現して程ない巴形薙刀。
戸惑いながらも役を引き受け、一癖も二癖もある刀剣男士らと共に、目指すは幕末──会津戦争の真っ只中だった。
時間遡行軍との交戦を経て、新選組が新たに隊士を募集している事を知った和泉守と堀川は偵察に出る。だがそこで、江戸表から土方が連れ帰った隊士を見た二振は驚愕する。
人の目にはただの人としか見えないが、それはまごうかたなき、三体の時間遡行軍だった。
集めた情報から、新選組は時間遡行軍を取り込む形で政府と対峙している事を知った一同は、そこで恐ろしい事に気がつく。
敵の狙いは土方歳三の暗殺などではなく、史実に反して彼を生き延びさせる事にあると。
そして刀剣男士は歴史を守る為に、史実通りに土方歳三を殺さなければならないのだと。
会津戦争では刀や槍が銃や大砲に駆逐されてゆくさまが、枯れ落ちる大樹になぞらえて惨たらしく描かれる。
銃火に傷つき、会津から仙台へと追いやられていく土方達を、新たなる地・蝦夷へと導く男、榎本武揚。
物語は遂に箱館戦争へ──土方歳三が最期を迎える地へと至る。
そこで和泉守兼定が下した、最後の選択は……。
部隊編成
歴史人物・その他
- 土方歳三(高木トモユキ)
本作では彼の戦い、そして最期が描かれる。作中では和泉守と会話を持ち、彼の正体を知らないままに進むべき道を示唆。後に榎本武揚の人となりを知り、自分の「命の使い道」を見出して腹をくくる。終盤に和泉守と一対一で戦うが、その決着は……
- 島田魁(辰巳智秋)
新選組伍長。巨漢で力持ちな事から土方からは「力(りき)さん」と呼ばれ、一緒に句をひねり、軽口を叩き合うなど気の置けない仲。郷里に残した妻・お里を心配しつつ、土方に最後までつき従った。
- 中島登(新原武)
新選組伍長。沖田と近藤の死を土方に伝え、さらし首だった近藤の首級を密かに持ち去り届けた。島田と共に最後まで土方につき従った。絵が堪能という特技を持つ。
- 榎本武揚(藤田玲)
幕臣。蝦夷共和国を宣言し、明治政府との最後の戦い「箱館戦争」に挑む。若干ウザい所があるが語学や学問に堪能で「これから生まれる新しい日本を、一方的な思惑で作り変えられる事は見過ごせない」という一心で抵抗。しかしそこで生じた犠牲に強く心を痛めるなど繊細な一面も持つ。
- 三体の時間遡行軍
土方が江戸から連れ帰った新たな新選組隊士として、土方の身辺の警護を行う。知性は高く、堀川を罠にかけて生け捕りにし、尋問の場に引き据えている。一方で土方の言う事はきちんと聞き、飲まされた酒を気に入っておかわりを要求し、イッキ飲みの手拍子にもつきあい、酔っぱらって寝こけるなど、妙に可愛い所も見せる。中島からは「犬」「猫」「蝸牛」とあだ名をつけられ、寝ている所の似顔絵を描かれた。その真なる願いは終盤で明らかとなり、土方を守る為に身を挺して銃弾を受け、逃がす為に最後まで戦い抜いた。
余談
それまで単なる敵としてしか描かれなかった時間遡行軍に踏み込んだ描写がなされ、終盤における展開では多くの観客が涙を絞る事となった。
また真剣乱舞祭2018にもある場面で登場しており、「祭」の本質について悩む巴形薙刀に一つの解を示す。
陸奥守吉行として初陣となった田村心は「幕末天狼傳」初演時にはスタッフとして参加していた。
今回刀剣男士となって表舞台に立った事から、シンデレラボーイとして注目。その後も様々な作品に出演をし、キャリアを積む事となる。
中盤で登場する榎本武揚は、グランドミュージカルばりの「To The North」で観客の度肝を抜き、アドリブで流暢なフランス語を披露して居合わせた土方を翻弄するなど、非情に濃ゆい存在として注目を集めた。
「真剣乱舞祭2018」では、この世とあの世の狭間で迷子になった歴史人物達の前に、「レッツゴー!」の掛け声とともにポップアップから派手に登場。一同で「To The North」を披露し、会場の大歓声を浴びた。
あまりのキャラの濃さに、Twitterトレンドに「榎本武揚単騎出陣」なるワードまで登場したが、それが4年後の「真剣乱舞祭2022」で実現する事になろうとは……
第2部では刀剣男士の衣装変えに合わせて一定の時間を取る事になっているが、ここで披露された「白刃の月」は、歴史人物の為に書き下ろされた初めての楽曲となった。
関連動画
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前作→つはものどもがゆめのあと
次回作→葵咲本紀