概要
2015年10月より始動している『刀剣乱舞-ONLINE-』を原案としたミュージカル作品、ミュージカル『刀剣乱舞』(通称:刀ミュ)の第7作目にあたる作品。
通称「パライソ」。
本作では鶴丸国永を中心に、大倶利伽羅、豊前江、松井江、浦島虎徹、日向正宗の6振が正しい歴史を守る戦いに身を投じていく物語が描かれている。
2020年3月に上演となったが、新型コロナウイルス流行に伴う規制により、3月21日~26日の東京のみの公演をもって中止となった。
「幕末天狼傳2020」「東京心覚」の後、「静かの海のパライソ2021」として上演。
あらすじ
平和で穏やかな海辺で、童らと共に唄を口ずさむ老人。
しかし俄かに周囲は不穏な雰囲気に変わり、この地におけるおぞましい記憶が再現される。
それはキリスト教を奉じたキリシタンが時の為政者から迫害され、あまたの涙と血を流した記憶だった。
老人から若返った男は、一心不乱に絵を描きながら叫ぶ。
「これより10年の後、神の子が現れて我らをお救いくださるであろう!」
その言葉に呼ばれたかのように、一人の少年が顕現。
「天国」を意味する「パライソ」を唱え、結集した一揆軍の指導者として先頭に立つ少年の下、戦いが始まろうとしていた。
本丸では鶴丸国永が審神者と対面し、ある任務について話し合っていた。
ためらう審神者に対し、鶴丸は一切を自分に任せてほしいと要請。部隊編成を自らが決めるが、その中には先頃顕現したばかりの刀剣男士、松井江もいた。
過去の記憶に苦しみ、「血」にとらわれ続ける彼を、同じ江の刀である豊前江は明るく迎え、また気遣う。
出陣先は寛永14年、島原。
何故か鶴丸は任務の詳細を告げる事なく、「正しい歴史を守る」という使命を帯びて出陣するのであった。
時を遡り到達した時と場所を理解し、顔を強張らせる松井。だがその直後、時間遡行軍の襲撃を受けている少年と男を発見する。
助けようとしたが間に合わず、目の前で少年は死亡する。それこそが「神の子」とうたわれ、キリシタンの指導者にまつり上げられた天草四郎だった。
亡骸を抱いて嘆き悲しむ男をよそに、鶴丸は少年が首にかけていた十字架を自らにかけ、「天草四郎」を名乗った。そして「これから人を集めるのに手が足りない」として、浦島虎徹と日向正宗も「天草四郎」と名乗らせ、本来の歴史通りに一揆軍三万七千人を集め始める。
一揆軍の総大将。
慈悲深き神の子。
太閤様の御落胤。
それぞれの「天草四郎」が「パライソ」と歌う事で、一揆軍に参加する者は続々と増えてゆく。
その中で人が見せる業を目の当たりにした刀剣男士は困惑するが、最早その流れは止められるものではなかった。
遂に三万七千人が集結し、「島原の乱」は成った。
そして史実通りに、原城を舞台とした■■■■が始まる……
部隊編成
歴史人物/その他
- 山田右衛門作(中村誠治郎)
有馬家旧臣にして南蛮絵師。キリシタン弾圧に耐え兼ね、予言の通り現れた少年・四郎を総大将として反乱を起こし、その結末を見届けさせられる。
神の子とされ、一揆軍の指導者となった少年。序盤で時間遡行軍に殺害され、歴史は改変されたと思われたが、鶴丸達がその名を継いだことで流れは再び正しき歴史へと戻る。しかし……
- 松平信綱(吉川純広)
幕府軍総大将。先見の明を誇り「知恵伊豆」の異名を取る。反乱の報を聞いて色めき立ち、遂には非情な判断を下す。終盤で鶴丸と対峙し、その真意を語った。
- 兄弟(横山賀三・中村琉葦)
名前は不明。浦島虎徹が扮した天草四郎に従い、一揆軍に参加する。いなくなった母を恋しがり探し続ける弟だったが、その身を深く案じる兄はある悲しい秘密を抱えていた。
- ???
信綱に仕える神出鬼没の忍。信綱の部下達を翻弄しつつ、一揆軍の情報を逐一報告する。終盤である役割を果たす。
余談
本作に出陣する遠征部隊6人目のキャスティングはギリギリまで伏せられており、『歌合2019』でサプライズ登場した松井江の情報解禁とともに彼が最後のメンバーである事が発表された。
また「正しい歴史を守る」為とはいえ、時間遡行軍によって一度は断たれた島原の乱への道を辿り、行き着いた先の凄惨な結末に、観客からは「パライソじゃなくてインフェルノ」と呼ばれ、おおいに呻吟の声を集めた。
しかしラストにおける「飢える事なく、身分の別なく、笑って生きていける世」の描写に、文字通りの「パライソ」を見出した観客は涙を誘われた。
「天草四郎」という実在すら疑われる人物に一つの解を出し、一揆軍による寺社焼き討ちや虐殺といった蛮行も描いており、「島原の乱」の解像度が上がる内容となっている。
そして「正しい歴史を守れなかった場合どうなるか」は、後に「江水散花雪」で描かれる……
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前作→葵咲本紀
次回作→東京心覚