概要
年の暮の12月31日(大晦日)の晩から元日を跨いで、寺院の鐘を108回鳴らすもの。仏教では108は人間の煩悩(ぼんのう)の数とされる。寺によっては参拝者につかせるところもあり、この場合、108回という数に拘らないこともある。除夜に鐘をつく理由は、人の心にある煩悩を祓うためと言われている。
なお、除夜とは、除日(じょじつ)の夜のことを指す。「除」には、古いものを捨てて新しいものに移るという意味があり、すなわち除日とは、一年の最後の日であり、よって大晦日(おおみそか)のことである。
そもそも仏教寺院にある鐘は、梵鐘(ぼんしょう)と呼ばれるもので、仏具(仏教の儀式で用いる用具)のうちの重要な一つである。
お寺の梵鐘は普段は朝夕の時報として用いられる他、法要の開始を知らせる際などにも使われる。しかしながら、こうした用途だけでなく、鐘の音そのものには、苦しみや悩みを断ち切る力が宿っていると考えられており、鐘の銘の部分にはまず梵鐘の力(=功徳)が記載されている。鐘の回りに突起があるが、これは「乳(ち)」と言われるもので、ほとんどの鐘についており、この乳の数も108である。
(『はてなキーワード』『日本文化いろは事典』等より抜粋、編集)
近年、夜中に鐘を鳴らすことが「安眠妨害である」との苦情が多数寄せられるため、(大晦日の)昼のうちに「除夜の鐘」を鳴らす寺院が増加しつつある。