概要
江戸時代(序文に宝暦12年(1762年)5月と記載)に詳細不明の人物・南谷先生によって書かれた、日本全国の山や川で目撃された異物を記録したという『姫国山海録』に記載されている奇妙な生物の一体。
享保十一年(1726年)に、平太夫という者が筑後国(福岡県)深沢村の谷間で目撃したという、斑模様のある殻を持った青い蝸牛のような怪物。
雉(キジ)を追いかけて食べており、平太夫を見かけると風のような早さで岩窟の中に逃げてしまいその後は現われなかったという。
余談
元々この怪物には名はなかったが、善養寺ススム著の『絵でみる江戸の妖怪図巻』(2015年)でこの名が付けられて紹介された。
2016年に東京都江戸東京博物館で開催された『大妖怪展』では、「筑後 深沢村の怪物」と紹介されている。
挿絵では風のように走れそうな姿では無いが、別のページで紹介される同国に寛延年間に現われたという怪物を描写した文で「その甲は鼈甲に似たり」「蓋し蝸午の成る所か」「甲に大文あり」とあるところから、本文と挿絵が入れ替わっているとの指摘もある。