「命を 大切に」
「変わるから怖いんだよ、人間は」
プロフィール
概要
神龍の臣下である四君子の一人で、春夏秋冬の四季の中で「秋」を象徴する。 その正体は梅蘭菊竹の「菊」で、代表的な価値は「仁義礼智」の中で事物の是非を区別できる「智」と推定される。後に神龍の理性を担い、限りなく知識に対する渇望のある知性であることが明らかになった。
シルエットと夏蘭(ハナン)の言及で初登場。イソギンチャクのような天然パーマの金色の長髪に碧色の瞳、菊が刺繍された赤紫色の服を着ている。金髪は菊の中の黄色い菊の品種から取ったようで、実際にチュグクの本来の姿も黄色い菊の花だった。大菊をモチーフにデザインされている。
作者のブログには「風流を楽しみ、自然を愛し、芸術に造詣が深く、駅馬のような厄運を持つキャラクター」と紹介されている。
能力
刻印が8つも刻まれた刀を振り下ろされても傷一つない。86話では体全体に結界をコーティングさせていることが判明。四君子のうち防御力が強く、作中で壮士が秋菊を殴りつけたものの、秋菊にはノーダメージだった。そのため壮士では、秋菊に勝つ方法が通常ないに等しい。
秋菊の真価は各種結界を巧みに扱うことにあるが、結界は「言葉の力」で生成し、「言葉の力」で解除することもまた可能な一種のエネルギー障壁である。秋菊は断面だけの結界を立てて攻撃を防いだり、同時に複数を展開して相手を包み込み捕獲したり、鋭く速く動かして斬ることも可能。初めて虚像結界を披露した人物も秋菊であった。また、結界師の技量によって扱える結界の量は限られている。しかし、一軒の家を虚像結界で塞いだ状態で5年以上維持させ、ソブを拘束するために数百の結界で串刺しにして約10年封じ込めておいても、外で平然と結界を使っている。それでも結界の量があり余っているため、普段の生活では薄い結界を身に纏っている。そして、最高の刻印士であるユ・ホソンが刻んだと推定される8つの刻印が刻まれた剣でも、身に付いている結界一枚を破ることができない。技量が飛び抜けたミョンヨンですら結界一枚では防げず、複数枚で防いだことを考えれば、秋菊の結界がどれほど強いかが分かる。また夏蘭を引き離す時は、巨大な防御結界で夏蘭を閉じ込め、そこに虚像結界を加えるやり方で、時間感覚を完全に欺いてしまった。
攻撃力も高く、結界を生成して相手を吹き飛ばすことも、結界で押しつぶすこともできる。壮士であるホンファも、適当に力を調節した秋菊の結界一発で血だらけになり、息もできない谷の底で、岩ほど重いハンソルに拘束され、得意な結界を使うのが困難になると、結界を造形することをあきらめ、手当たり次第に撃った言葉の力で絶壁を崩し、自分を襲ったハンソルを山崩れで攻撃した。
虚像結界の中で隠遁生活をしていたシム・ヨンホは家の近くの結界が消えると、当惑して「国内にこれほどの結界を解除できる人は、秋菊一人だけ」と言及したが、実際に夏蘭がシム・ヨンホを訪ねる時、秋菊に結界を解くよう頼んでいた。四君子側が5王子の乱に加担した各人士を裏切り、情報を与えたシム・ヨンホを隠していたのだ。
秋菊が地図を結界に浮かべる能力は、結界を扱うすべての人々ができる付加能力なのか、あるいは秋菊だけの能力なのかは不明だが、そのような結界の運用が可能だということを示している。また、逆に言えば、人は自分が運用できる結界の量が限られているが、秋菊は全身に結界を纏い、ソブの全身に結界を刺し、その他の様々なものに結界を運用していても、あらゆるところで結界を運用できるということになる。
派手な身なりと外貌、豊かな表情と明るい言葉遣いなどから、一見軽い人物と間違えられるが、実は四君子の中で最も冷徹。神龍の理性/知性を司るため、機転が利き聡明。白梅の意図に一目で気づき、夏蘭に適切な助言とアドバイスを与えた。また、詩と風流に長け、話術が巧みで論理的。ジョンギュ(ホンファの婚約者)の母親を始末する際にハンソルが止めようと乱入した時も一つ一つ彼の言葉を聞き、夏蘭と神龍が対立した際は途中で、巧妙に仲裁するなどさまざまな面で四君子の中で最も融通性のある姿を見せる。神龍の知性であるゆえ、結界だけではなく頭脳もまた、秋菊の武器と言える。最も良心的な正しい行動をしながらも、結局神龍の怒りを買う夏蘭や、最初から神龍の命以外での思考を放棄した冬竹(ドンジュク)比較される部分。
あれこれ論議されていたが冬竹を追い詰めたアムジュを圧倒する姿を見せた。但し、これは相対的な戦闘力が冬竹とアムジュを上回るというよりは相性によるものである。秋菊は常に防御結界と虚像結界を融合した結界を全身に巡らしているため、この結界を突破する特殊な手段がなければいくら物理力が強くても解くことはできない。そのためアムジュは(ユ・ホソン、ミョンヨンなどトップクラスの人間が強化した武器や、イ・チョン、ベク・サンヒョン、ミョンヨンなどトップクラスの結界師の補助がないという条件では)砲弾級の矢が通り抜けようが、体化した医術で再生しながら、一人で冬竹を倒すことはできても、寝ている秋菊を一日中殴り続けても、傷一つつけることができない。
神龍さえ、いくら力を尽くしても殺すことができなかった最強の医術師のソブも結局は結界に一生捕らわれることとなった。さらに、男性の寺堂牌(歌舞の芸人集団)も防御結界一つで壮士を簡単に閉じ込め、連れていくことが普通で、高い技術を持った医術師イム・チュンボクを制圧したのも結界師の花童であることなど結界師が医術師や壮士の天敵とされる描写が作中にかなり多かったことを考慮すると、医術師と壮士のハイブリッドであるアムジュが、結界師の中で最強とされる秋菊によって身動きが取れなくなるのは至極当然とも言える。
参考までに読眼を開眼し、防御結界と虚像結界の両方を破ることができるようになったホンファが、アムジュVS秋菊の戦いに乱入すれば、有利>不利の図式で、ホンファ>秋菊>アムジュ>ホンファというじゃんけん方式の相性関係が成立する。
四君子として
公私をきわめて明確に分けている。人間に情を寄せる姿も見られ、公的なことでなければ度量が広く優しい姿を見せる。その代わり、任務を引き受けたら手加減しない。
実際、ホンファの姑を殺そうとしたのも、自分が守らなければならない天命が神龍に服し、神龍が下した命令を必ず遂行しなければならなかったため。任務の邪魔をする主人公一行にはなるべく手を出さず、自己防衛だけして対話で説得しようとしたことを見ても、秋菊の立場からしたら最大限配慮していたと言える。ホンファの姑も死刑の対象だったが、最大限の礼儀をもって死刑を執行した。前述の状況のように、神龍が直接殺傷を命じておらず、対象がいくら自分と敵対していても非殺傷手段で制圧しようと努力する一方、神龍が直接殺傷を命令した対象は徹底的に害を与える。
ホンファの立場では、最初に神龍が下した命からして正気な内容ではないため、半強制的な要素があったことを知っても、秋菊を理解することは不可能。一般的な観点から見ても、秋菊の行動は理解できないだろうが、秋菊の立場では天命もあるが、神龍の命に背くこと自体が不可能。直ちに命に従う冬竹も、冷酷ではあるが人間性が悪いわけではない。最も正常な夏蘭が神龍の命に逆らったという理由で、どれほど惨い待遇を受けているかを考えれば、ホンファの姑を殺害するしかない。秋菊が処理しなかったら、神龍は他の四君子を送るか、本人が直接乗り出して、これを妨害するホンファを殺して被害が大きくなることは明白であった。
しかし、夏蘭の死後は罪のない人まで容赦なく殺すなど、仁愛と原則を失った理性の姿が露わとなった。
時折見える身の毛がよだつような表情や、前述のホンファの義母の首を切る直前の時に言った「死は納得できることがあってこそ起こるものではない。合理的でも正当でもない。ただ起こるだけなんだ。だから(君から)お嬢ちゃんにはよろしく伝えといてよ」という場面、そして公私を徹底的に区分する姿を見ると、むしろ四君子の中で最も冷静な方。
また、夏蘭の頼みで宮殿の外へ逃したヅクヨンに忠告するときも「この宮殿の中で一度でも顔を見られた人間と会ったら、死に物狂いで逃げなさい。それは私であっても同じだ」と話し、後に再会した時は遠慮なく攻撃した。
人間関係
お互いに一番仲がいい。71話における「頼むなよ」というのは、以前から夏蘭が秋菊に多くの頼みをしてきたことを暗示する。また、56話でも神龍に知られないよう、子供を逃がすのを手伝うなど結局夏蘭の頼みを聞いてくれる。色々な面で嫌われる夏蘭を一番大事にしてくれる人が秋菊。夏蘭の融通の利かない部分や良心をもって天命を守るための行動を神龍の命に背かない限り仲裁し、夏蘭を助ける関係。特別編を見ると、普段はお互い喧嘩しつつ戯れあって過ごしている様子。本人が公私を明確に分けた性格であるにもかかわらず、173話で夏蘭に「私がお前を殺さなきゃいけないじゃないか」と言いながらも、どうしても殺せずに片方の目を攻撃しながらこれが最善だと泣きそうな顔を見ると、私的には非常に親密な模様。後に作者自ら明かしたところによると、秋菊は夏蘭が大好きだという。
まあまあ。命令に忠実な硬い性格でぶつかることもないため、大きな対立もない。ただ過去には、悪戯する秋菊を見た神龍の「ちょっとあいつを殴れ」という言葉によって、冬竹に殴られながらも絶えずからかって笑っていた姿から、四君子の間の絆はある様子。特別編では、秋菊が冬竹に喧嘩を売るケースが多い。
秋菊は夏蘭と冬竹の中間の位置に属し、命令にも背かずそのまま従う。秋菊が外を歩き回っても特に憚ることはなく「これぐらいのことで秋菊を呼ぶか」というニュアンスの言葉を夏蘭に言ったことがあるのを見ると高く評価されている模様。神龍に殴られた際も、秋菊は殴られたのが初めてで、普段から暴力を振るわれることはない。特別編で神龍に迫られ、逆さまに吊られたことはあっても反省して泣くフリ、解放されるや否や冷やかして逃げた。
険悪な仲。57話だけでも仲の悪さが見て取れる。白梅は秋菊が認めるだけの才能も持っておらず、しかも自分を押さえつけることを狙っている白梅は気に障る存在。お互いを目の敵にしているものと推定。後に秋菊と春梅の仲が非常に良かったことが明らかになり「春梅にそっくりな外見で、春梅の席に居座り神龍とともに暴政に明け暮れ、四君子を手なずけようとしていることが春梅を侮辱する行為に見えた」という推測も出ている。
ホンファの義母を殺しホンファから仇として復讐を誓われる。秋菊はホンファを「お嬢ちゃん(난자/ナンジャ)」と呼びながら、詩人として彼女の才能を高く評価。SICAF街談巷説展で明かされたホンファに対する秋菊の感情は愛憎だという。
ハンソル曰く名前は教えてくれないが良い人とのこと。ハンソルとはそれなりに和やかで微笑ましい仲だったが、後にホンファの影響であまり良好ではなくなる。秋菊はハンソルによって水で溺れかけるなど以降、頻繁に対立構造を見せるものと予想された。131話ではハンソルが秋菊を見るや否やいきなり暴力を振るっていることから見て、少なくともハンソルの立場では、秋菊は敵になった模様。
ユ・ホソンが死ぬことが決まった時、知性の宝庫であるあなたがどうして死ななければならないかと秋菊が泣いたことから、知っていることが多いユ・ホソンに秋菊は懐いていた様子。しかし、再会してからは、彼に非常に冷たく接する。
132話からの宮殿の過去編で、春梅とは非常に仲が良かったことが明らかになった。かつては皆親しく、一緒に愛嬌なるものを学ぼうとするなど和気あいあいとした関係性だった。春梅の不在による影響として神龍と同様、描かれることが多く、かなり親しかった模様。そのためか、イ・チョンと対立する時「我々は春梅が死んだ」と言うなど春梅を強く意識する行動を見せた。
台詞
38 | そもそも最も感情的になる瞬間こそ、最も理性的でなければ、自分の命に生きられないものです。 |
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39 | 良い詩は、この世に残り永劫の歳月を生きますが、矛盾するように、その詩を作る人間は寿命が非常に短い、だから生きている間だけでも大切にしようと思うのです。 |
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そう。君の言う通り。死んだら無になる。だからこそ人生が大切で、生きていることの重さを感じることができるんだ。けれど、死は皆に公平だ。死というのは納得する理由があって起こることではない。合理的でも正当でもない。ただ起こるだけなんだ。だからお嬢ちゃんにはよろしく伝えといてよ。 |
71 | 何を言ってるんだ。人がどれほど簡単に悪人になるか。変わるから怖いんだよ、人間は。 |
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98 | しかし、いくら壮士だとしても、限りのない完全な強さを持っているわけではありません。だからお嬢ちゃんの力量がどれくらいか器を把握し、私の実力がどれくらいか相手を把握して、状況がお嬢ちゃんに勝算があるのか周辺を把握して、復讐が優先なのか感情が優先なのか目的を把握しなければなりません。こんなに何も知らない娘っ子が全て知っている私の相手になりますか。命を懸ければ何とかなると思ったらいけません。命を懸けねばならないほど重要なことをそんな無闇に実行してどうするんですか。私がお嬢ちゃんだったらもっと緻密な計画を立て、自分を熾烈に磨き、自分に最も有利な瞬間が来るまで忍耐したでしょう。しかし、私がお嬢ちゃんの立場だったら決して私に襲いかかりはしなかったでしょう。 |
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お嬢ちゃん。あの時も、今も、お嬢ちゃんを生かしたのは私の親切だったのに、その恩返しをどうしてこんなふうにするのですか。お嬢ちゃん、親切というのはとても大切なものです。あえてする必要のないことでも、わざわざ気を遣ってするものでしょう?お互い親切にしながら暮らしやすい世界を作るのです。あたたかな心を交わし、恵みに感謝する美しい世の中。そういうものでしょう。もちろん代価を望んで親切にする浅はかな人間も多かったですが、私が望むのはただそういうことです。親切の価値をちゃんと理解すること。親切にして居直られたら、どんな愚か者が二度目の親切をしますか。お嬢ちゃんのこのような行動が、私を冷静にさせるのです。 | |
今、私がここで皆を殺すことも、生かすこともできるでしょう。それは私にはあまり差のないことです。しかし、お嬢ちゃんには大事なことでしょう。 | |
親切というのは施す者にも義務があるのです。親切にする価値のない人間に親切を施すのは金銀財宝をドブに投げるも同義、だから親切の価値を知らぬ者には二度目の機会を与えないこと。お嬢ちゃん。親切の重みが感じられますか。 |
104 | …お嬢ちゃん、私は900年の祈りで作られた、陛下の理性を守る、陛下の知性です。学んで身につけることができた時から与えられた私の天命で、学ぶことに対する欲望は終わりがありませんが、一連の事件によって今はもう全てを知ることができない身になりました。昔の私は数多くの美しい言葉を心から受け入れてきましたが、今はそうではありません。理解するだけで、感じられません。過去に感じた多くの感情は、時間が経つにつれて忘れ去られ、私は、自分が持っていた感情の残骸が、手の中の砂粒のように落ちていくのを知りつつも、記憶し続けようと、忘れぬように、ゆっくり繰り返しながら、惨めにしがみついています。 |
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知りたいという欲望を天命とする私に、これ以上の全てが分からなくなったというのは、どんなものか、人間であるあなたには理解できないでしょう。お嬢ちゃん、どうして自分が持っているものを貴重に思わないんですか? |
203 | 正しい側に立ちたいのではなく、強者の側に立ちたいと思うし、恐怖と戦うのではなく、恐怖の機嫌を取りたいんだ。だから私たちは可哀想だとは言えない。今ここに人間らしい人間は一人もいないから。 |
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218 | 明瑩:無念の死だとわかっているのに、どうしてこんなことをするんですか!! |
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秋菊:そうだね、理解してるよ。その言葉がどういう意味か。だけど、それが私と何の関係がある? |
220 | お嬢ちゃん、菊は争いを嫌い、他の花が散ってしまった秋に咲くと言います。それは必然的に、秋の寒さに耐えて咲く強い力を持っていることを意味します。 |
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【おまけ】
86 | はいは~い。宮廷の可愛い菊っ子チュグクで~す。ま~た何かつまらぬことでお呼びしましたか~。 |
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