가담항설(用語)
がだむはんそるようご
人間
両班【양반】
朝鮮時代の身分階級であり上流階級。いわば貴族にあたる存在であり、貧しい庶民と違い教育を受け、科挙試験に合格すると宮廷の官僚になったりなど、相応の財と地位を持っている家柄に当たる。作中では両班の嫡庶差別について言及されている。
- 嫡子
正室が生んだ子供。家督を相続できる。
- 庶子
側室や妾が生んだ子供。財産相続権はない。『経国大典』によれば、父親が両班であっても、庶子は出世の道である文科挙を受験することが出来ない。武科挙と、専門職の官吏を選ぶ試験は受験することができたが、朝鮮では武官の身分は文官に比べて低く、また専門職の官吏は中人という両班と良人(常民)の中間の身分の人間がなるものだとされていた。この中人と庶子を合わせて「中庶」という表現があったほど、庶子の身分は制限されていた。(Wikipedia/庶子/朝鮮より引用)
また『洪吉童傳』によると、父親のことは「旦那様」と呼ばなければならなかった。
壮士【장사】
普通の人間よりも遥かに力を持つ人々。圧倒的なパワーと身体能力、強靭な肉体を持つ特殊体質の人間。壮士の血筋を持つ家系にだけ生まれその中でも壮士として生まれる人間はごく少数。少々の怪我では死なず身体の全てが特異に発達している。剣を片手で掴み粉々にしたり、超人的な脚力を持って地割れを起こしたり、崖と崖の間を飛び越える。
女性の壮士もいるが能力もあってか、後ろめたく思うことが一般的なようで、あまり知られていない。そして、女性壮士のほとんどは殺されたり、사당패/寺堂牌(歌舞の芸人集団)に売られるため、男性壮士よりも数が少ない。壮士のほとんどが持って生まれた体質を持って武科試験を楽に通過し、武人として生きていくが、ある事件を発端として壮士は死に絶え、朝鮮には居ない存在……と思われていた。
常に彼らは、一般人が武器を持とうが何をしようが、それらを凌駕する圧倒的な力を持って制圧する。 ただし、自分が圧倒的な攻撃力と防御力を持っているせいか、自信に溢れすぎて不意をつかれることもしばしばある。
花童【화동】
たった一人の後継者のために伝承者たちが全国各地から厳格に選び、連れてきた子供たち。聡明で、肝が据わっており、縁故もない者が選ばれる。後継者が決定すれば、残りすべての者が殺害される運命と花のような子どもたちという意味から、花童と呼ぶ。
宮殿では神龍と四君子らのために、千年近く祈祷しながら、あらゆる町から有名な秘法やただの噂だけだった奇異で特別な様々な能力など全国各地にある多くの秘笈【비급】を集めた。これは祈りが終わって目覚める四君子にそれぞれ適当な秘笈を伝授するためであり、その過程で秘笈の元の持ち主たちは粛清される。結局、長年の間、この秘笈は宮殿内で保管されて伝承者と呼ばれる一人にのみ継承される。これは秘笈が外部に漏れるのを食い止めるためのものであり、たった一人の師匠が、たった一人の弟子に継承を行うのが原則。
伝承者【전승자】
前述の通り、後継者が決定されれば、伝承者はすべての秘笈と伝承者の座をその後継者に伝達して自殺し、その後継者は伝承者になるが、伝承者は代々虚像結界を利用して、30年ごとに国で下賜した名前を用いたために宮殿内のその誰も今の伝承者が何代か、そしていつ変わったのか、その伝承者の年齢や性別、本名が何なのか分からない。 また、四君子が目覚めたら伝承者はそれぞれの四君子に適した秘笈を伝授するため、伝承者は自殺してこれ以降の伝承者は必要でなくなる。そして最後の伝承者がユ•ホソンである。
四君子が生まれる何年か前、伝承者が유호선に変わった。つまり、万に一つでも何か起こらなければ、ユ•ホソンが最後の伝承者になることがはっきりしたが、その万が一に備えるため、次の伝承者のための、子供を選抜したという。
作られし存在
人間ではない何か(対象)に祈りをした時、 |
“100年”経て「人」となり、 |
“500年”経て「不老」となり、 |
“1000年”経て「不老不死」となる。 |
※正確には人になるまでとそれ以降は別で年数が必要とされるため、「完全な不老不死の人間を作る」には“1100年”の時を要する。
- 祈りにより人間となった彼らはそれぞれが果たすべき役割、目的、本能を持って生まれる。
- 人間になる以前の記憶は無い。
- 四君子は元が花(植物)であるため身体から微かにその香りがするという。
四君子【사군자】
そもそも四君子とは梅蘭菊竹のことであり、春夏秋冬を表すものでもある。
作中ではそれらにちなみ、春梅【춘매】、夏蘭【하난】、秋菊【추국】、冬竹【동죽】の4人で構成されており、それぞれ祈りの年数が違っている。
約1000年の祈りで龍から人となった神龍【신룡】を主人とし、それぞれが彼の何かしらの役割を受け持つ。つまり彼らが死ぬと神龍はその性質を失うことと同義になり、絶対的な主従関係にありながらもいわば運命共同体のような関係性にある。彼らは自らを神龍の身体の一部として捉えており、神龍が呼べば瞬間移動のように一瞬で傍に来ることが可能である。作られた存在であるため、生殖能力は無い。
身体能力は神龍よりは劣るものの超越的な強さを持ち、作中でもチートな強さを誇る壮士の更に上をいく。むしろ壮士複数人で掛かっても、四君子1人の前では子犬のように軽くあしらわれて終わりである。
四君子が用いる力「秘笈」は元々は人間が持つ奇想天外な技術を集め、その中から自身に合うものを選び使われているものである。ちなみにその保持者達は全て殺されたため、四君子の強さは他人の犠牲の上に成立していると言える。
物語開始時点では既に神龍の恋人でもある春梅が死亡している。
人物表
天動紙【천동지】
街談巷説の登場する特殊な紙。“天”を“動”かす“紙”として「天動紙」と呼ばれる。
街談巷説の世界観では言葉の力があり、上質な紙にそれを使えば効力が倍になるが、天動紙は上質な紙の頂点にある。死者も蘇らせ、願いを達成できる能力を持つと伝えられている。ミョンヨンとボクアが住む村で作られ保管されており供物として宮殿へ捧げられている。1話で神龍と冬竹が天動紙を直接取りに行くが…。
筆力【필력】
街談巷説の世界観には言葉の力がある。知識量が多くなり言葉への理解が深まれば、言葉が意味する通りの効果を発揮することができる。
最も初歩的な段階だと、質の良い紙に直接意味が深い文章を書くことで効果を得られやすい。初心者の段階を経て覚醒すると、後述する「刻印」を刻むことができる。
刻印【각인】
筆力が鍛えられ初歩段階を経て到達できる。刻印はフレーズではなく漢字のいずれかの意味を理解することに集中される。この段階では筆も紙も不要でどこにでも簡単に刻印を刻むことができる。そのため特定のフレーズに込められた言葉の力を暗記して引用するのが記述の段階で、自分が悟らせた言葉の力をもとに創作するのが「筆耕」の段階。
刻印を武器に留めて強化させることも、人に適用しての治療もできる。一般的に前者を刻印師として後者を医術師としている。ただ、前者はそのまま武器を強化した状態で維持できるが、医術師の治療は言葉のまま治療することはできないものとみられる。
刻印を刻んだ者の筆力の水準によって、さらに高い筆力の所有者に無効化されることもあるが、反対は不可能である。つまり高い筆力を持った者は低い筆力の刻印を拭い去ることができる。 また、高い筆力で刻まれた刻印により強化された武器でつけられた傷も、医術師の筆力が前者より低い場合、治療することはできない。 また、自分の能力値内で刻印の威力を調節することができる。
作中の刻印を刻むために必要な条件は、
- 基礎となる膨大な知識、つまり筆力そのもの。
- 刻印を刻みたいという強い願望。
- 刻印が使用される状況に対する正確な理解。
一つでも条件が不足したら絶対に刻印を刻むことはできない。
以下は作中で刻印を使えるのが確認された人物とその刻印の種類である。
医術【의술】
復(回復の復、再生)の刻印を使って薬や医療道具がなくても傷や病気を治療する能力。正確には怪我や病気の体を元に戻すという意味なため、生来の病気や障害は直る可能性がなく、身体の強化も若返りも不可能である。そのため医術師は怪我や病気だけでなく、人体構造にも博識でなければならない。 医術師の力量によって、医術の実力が差があるが、作中で最高峰の医術師であるソブは、遠隔及び広域治療を可能とするだけでなく、四君子による刻印で受けた攻撃も治療が可能であり、超再生能力を備えている。その次の実力者であるアムジュはソブのように四君子の刻印により受けた攻撃(傷)は治療できないが、四肢が切断されても大した苦労もなく、即座に治療する実力を持つ。一方、平凡な医術師らは前者2人が一瞬で治療した傷を長い時間を掛けて治療する。
結界【결계】
言葉の力で作り上げる一種の具現化物である。 物理力を防ぐ防御結界と相手を惑わしカモフラージュにもなる虚像結界がある。結界を作った言葉の力そのものを読み出して理解して解く、方式で無力化することができる。これを読解という。刻印がそのまま漢字一つの意味の効果を高いレベルで発揮する代わりに、創意的活用はほとんど出てこなかったが、結界でみると、単純な代わりに、創意的活用が頻繁に見られる。
防御結界【방어 결계】
「防ぐ」という目的を言葉の力で具現化した結界。大まかに対象が動くのを食い止めるという意味で具現化すれば対象を拘束して、連結を食い止めるという意味で具現化すれば対象を妨げて断絶させ、危険を防ぐという意味で具現化すれば、攻撃を防御するというように効力を発揮する。
筆力が込められていなければ単純な物理力だけだと、最初から解除や破壊は不可能と考えられる。 何よりも作中で物理力で結界を破壊した存在は四君子の冬竹と夏蘭だけである。
最強の結界師である秋菊は本人の身体に防御結界をコーティングしている。おかげで普通の物理的な攻撃は全て相殺してしまう防御力を持つ。
目的が一つで解釈も一つなのでたやすく解くことができる。また、構造が単純であるため伝達力だけあっても簡単に作れるが、特定の対象だけを防いで他は防がないようにするなど細かい設定は不可能である。つまり 対象を誘引して閉じ込める罠や敵の攻撃は阻止しながらも、自分だけが攻撃可能な要塞のように作るのは難しい。
足場として作ったり、クッションのように具現化して矢を跳ね返すことも可能であり、相手の動きを結ぶことにも使うことができる。
秋菊は防御だけでなく、結界を直接動かして対象を退けたり、圧迫するやり方で攻撃にも活用し、威力も絶大である。これが可能な結界師は彼一人だが、その理由は以下でも説明する秘笈【비급】を体得したため。一般的な防御結界は生成された位置にそのまま固定されるものとみられる。
虚像結界【허상 결계】
本物のようにリアルに描写した虚像を見せ、“ない”ものが“ある”ように見せる結界。 何でも入ることも出ることもないように防ぐ防御結界と異なり、結界を解除しなければその誰も入れなかったが、自由に行くことはできる。
人にだけ通じてその他の自然物とハンソルのように完全な人間でない存在には通じない。人だけが入ることができず、人の目にだけその中が見えない。
このような特徴は'防ぐ'という意味だけを伝達する防御結界とは違って、すべてのことを表現して伝えるという違いのためである。 伝達する目的も解釈も無数、作る方法も解く方法も防御結界とは次元が違うレベルで複雑になっている。 描写力として多様な虚像結界を作るためには、多様に物事を知らなければならず、実感できる虚像結界を作るためには、感じたことが多くなければならない。 そのため結界師たちはは読書で'知識'を積み、直接見たり聞いて'見聞'を広げ、つまり、'見識'を積む。 また、知って感じたことが多くなければならないだけでなく、その知って感じたことをきちんと表現しなければならないので執筆経験も豊富でなければならない。 したがって、結界師たちは詩を作ることも非常に重要な修練である。
読眼【독안】
虚像結界を見るための能力で、読眼で結界を読むのを「読力」、これを解決するのは「解力」、その両方を合わせて「読解力」と呼ぶ。前述の通り'見識'をある程度高めたら、開眼は難しくない。ちなみにこの開眼法とは、箸やスプーンなどの単純な物を観察して姿、匂い、手触り、重さなどを記憶してそのことを見たことのないものにも見たように描写して、物だけでなく、風景、刹那の雰囲気、気運、自分の感情なども全てにその見方を身につけることで、その後、見識が急速に深く広くなって文章を、簡単に理解して、文章の中に込められた意味を直感的に受け入れて読眼が得られるものである。
歌【노래】
大衆を感銘させて、自分が望むうわさを作って流すのに利用すると思われる。
作中では、言葉を口で表現し、他人の心を動かすことで間接的に対象の精神攻撃も可能としている。
余談に主人公ハンソルの名前が'世間に根拠もなく流れるデマ'という意味の街談巷説から由来し「自分が悟ったり、得たことを王に伝える」と明言にしていることを考慮すると歌とハンソルが後に深く関わっていると分かる。
体化【체화】
頭の中の理解が完成されて作られる力が刻印なら、理解をもとに、肉体の無数の訓練の繰り返しを経て、元々あった身体機能の一部のような境地に至ることを、行動する知性、'体化'という。もっと分かりやすくいうと各々が得意とする特定の能力をその身に纏い、自在に操るような感覚である。
体化の正確な定義
- 数多くの練習の繰り返しで付けた技術を本来自分の身体と一つだったように操ること。
体化の発現条件
- 生死を分ける極限の状況。
この体化の段階まで辿り着いた人間は154話まででソブとイ•チョンとアムジュだが、ソブは医術を全身に体化することができる。ソブは神龍と四君子が(高度な医術でも治療できない程の)強力な刻印の力をもって、その体を破壊しても再生する不死身、イ•チョンは読眼が身体の一部になるレベルまで体化され、見ただけでも直接触るように遠隔で防衛結界も一度に解除することができる。そのレベルも最強の結界師である秋菊とほぼ同速度で結界を展開し、壊して、いつも体を覆っている結界まで、遠隔から解除できるほどである。四君子は基本的に体化と同様の能力を持っていると予想される。
秘笈【비급】
四君子が生まれる前より宮殿で、千年の祈祷後、目覚めること四君子たちのために全国各地に伝わる技術を集めたもの。この技術を知っている者たちは全員粛正され、宮殿で伝承者の一人だけが技術を伝授される。一種類の技術ではなく、あらゆる奇想天外な技術が全て含まれる。
四君子たちは自分たちに見合う秘笈を伝授してもらった。参考として最後の伝承者はユ・ホソンである。 つまり彼は一人で四君子たち全員の技術を使用可能であると考えることができる。