CV:(英語)David Bateson/(日本語吹き替え)てらそままさき
概要
海外ゲーム「HITMAN」シリーズ(開発元:IO Interactive)の主人公。
過去の記録が一切なく、どこで生まれ、どこでどんなふうに育ったのかは殆ど誰も知らない。
様々な暗殺技法を熟知し、「沈黙の暗殺者(サイレントアサシン)」の異名を持つ伝説的エージェント。その圧倒的な殺しの技量から、リブート版においては「究極の捕食者(エイペックスプレデター)」と呼ばれることもある。
特徴
スキンヘッド(日本人プレイヤー間での愛称が「ハゲ」になる程)の後頭部にバーコードが打たれ、殺しの普段着が黒スーツ・赤ネクタイという特徴的な姿だが、様々な暗殺技法や潜入技法に長けた人物であり、「『人の記憶に残らない』殺し」、つまり異名通りの「サイレントキリング」を遂行することを得意とする。
その腕前を示す例として、裏社会や一部界隈にはエージェント47の名が轟いているのだが、実際に殺害現場=本来あり得ない事故や毒死の瞬間を己の目で見たボディガードや警備担当、迷信深い者以外は「良くある陰謀論」「不幸な事故や責任者の怠慢を架空の暗殺者に押し付けた責任転嫁」と実在すら信じられていない。
あらゆる要素からの中立を堅持し、様々な階層からの暗殺任務を請け負う国際秘密組織「ICA(International Contract Agency/ザ・エージェンシー)」に所属し、基本的にそこからターゲット暗殺の指示を受けて行動している。
ターゲットとなるのは警察の手のかかっていない犯罪者で、殺人の依頼があり、組織が独自の調査で犯罪の確たる証拠を掴んだ者に限られるらしい、そのためなんの罪もない人間の暗殺を請け負うことは(少なくとも47は)ないが依頼主の前科は問わないため、とある強盗団の元首領から「ヤバいマフィアの金に手をつけてしまったため、"引退してほとぼりが覚めるまで金を隠し、掘り出す時生き残ってたメンバーで山分け"という約束を結んだが、もうすぐ掘り出す予定だから他のメンバーを皆殺しにしてくれ」というどう見ても隠した金の独り占めが目的の依頼であっても47は問題なく依頼を受け、遂行する。
稀に会社の金を湯水の如く使い続けるが、契約の都合上解雇出来ないでいる映画監督(横領などでは無くこだわり過ぎて必要以上に金が掛かりまくっている、具体的にはこの映画一本で会社の経営を傾けるほど)という、厳密に言えば犯罪者ではない者の殺害を請け負うこともある。
基本的にゲーム内では「47」または「Agent 47」としか呼ばれないが、任務の都合上ホテルで予約を取る時などは「トバイアス・リーパー(トビアス・リーパー)」という偽名を主に用いる。リーパーは日本語で「死神」の意。
様々な武器を使いこなすが、特にサイレンサー付シルバーボーラー(AMTハードボーラー)・ピアノ線・WA2000を愛用しており、その中でもシルバーボーラーは47のトレードマークと化している。
因みに「アブソリューション」などで彼の詳細な人物像が判明している。そちらについてはこちらの記事を参照。
変装
変装の腕前は相当なモノであり、顔を知らない人間はともかく、警備責任者等の「仲間の顔を完璧に覚えている人間」や、様々な事情で47の顔を知っている人間でもなければスルーしてしまうほど堂に入った立ち振る舞いが可能。場合によっては長年の付き合いのはずの人間にすら(二日酔いで調子が悪いとはいえ)「髪剃ったのか?」としか言われない事もある程。
しかも数々の役職に必要なスキルも身につけており、モデルに扮してキャットウォークを堂々と歩いたり、人気バンドの録音現場に入り込んではプロ顔負けのドラム演奏や現場監督を唸らせるミキシングも披露する。ウェイターになって殺害対象の好みのカクテルを作ったり、板前になって寿司を握ることもお手の物。挙句の果てにそれが必要なことならばフラミンゴの着ぐるみを着て応援ダンスなんてこともしてくれる。
また47個人としては感情表現が薄い、あるいは表に出さないタイプであり、決して口数が多い方ではない(平たく言うと日本のこの方のような御人)。しかし変装において必要とあらば巧みな口上を述べることもでき、不動産物件の紹介からヴィンテージワインの解説、探偵としての推理披露までなんでもこなす。しかも、それが殺害に関わる場合は死を想起させるキリング・ジョークすら織り交ぜている。
かように卓越した変装の腕前を持つ47だが、時として愛用のスーツそのままで全てをこなすこともある。
HITMANのゲームプレイにおいてほぼ常時存在するクラシック・チャレンジのサイレントアサシン・スーツオンリー(「誰にも怪しまれず、ターゲット以外殺さず、監視カメラに映らず、映ってしまった場合は記録を削除し、ターゲットの死体を発見されない、或いは事故か毒で処理する」というチャレンジのサイレントアサシンを一度も変装せず、初期衣装のみ(選択出来るコスチュームなら忍者服でも着ぐるみでも"スーツ")で行うというモノ。その性質上スタート時点で既に変装状態になるスポーン地点を使用できない)は、決して47が変装頼りの男ではなく、潜入・察知・殺害の基本的な素養においても非凡な才を持つことの証明である。
ちなみに
ストーリー部分は重く真面目な展開なのだが、殺しのパートではプレイヤーの自由度が高いのと、開発陣がユーモア精神旺盛なのとが相まって、かなりおバカな暗殺手法や全く関係ないところでのお遊びを試みることが可能である。
例えば……
- 殺鼠剤を盛られてトイレでリバースしているターゲットを、ターゲット自身のリバースしたもので溺れさせる(よりによって本ゲームにおける基本的な溺死誘導がコレ)。
- 「ブリーチング」という本来ドアを開けるための低威力爆弾で消火器やスマホ型爆弾、挙句の果てにはトイレの便器などをぶっ飛ばしてぶつけたり、ギミックを発動させる。
- サンタクロース(本人かは不明)から変装を奪い、クリスマスプレゼントを装った爆弾を投げつけて爆死させる。
- ゴルフが趣味のターゲットのゴルフボール入れにゴルフボール爆弾を混ぜ、ボールをナイスショットした直後にターゲットがお空にナイスショットされる。
- 占い師に扮してターゲットを占い、「死も……見えます」と言いながら占い用の水晶玉で撲殺。
- 高音質だが感電する欠陥マイクを回収して高電圧をかけ、ターゲットが録音やスピーチをはじめようとマイクを握った瞬間に感電死させる。
- 換気システムに催吐系毒物を混ぜて誰彼構わずリバースさせた挙句、それを放置してリバースし終わった人間が戻ってきた際に再度吐き気を催させてリバースを無限ループさせる。
- レース中のレーシングカーに攻撃して手当たり次第にクラッシュさせてレースを中止させたり、レース中のターゲットを車ごと破壊する。
- 肉をあげないと出てこなくなってしまったターゲットのペットのカバの沼に護衛を突き落とし、やっと出てきたと喜んで飼育係が呼んだターゲットも突き落として揃ってカバに喰わせる。
- 空いている線路上に拠点を構えたターゲットに対し、在来路線とのレール切り換えを行って列車をターゲットへ突撃させて轢き殺し、そのまま列車に乗ってミッションエリアを去る。
- 雲より高い高層タワーで勝手に非常ベルを鳴らし、スカイダイビングで緊急避難を試みるターゲットのパラシュートを事前に穴を開けておいたり、スナイパーライフルで降下中にパラシュートをブチ抜く。挙句の果てにはダイビング予定地点にバナナの皮を置いてすっ転ばせてそのまま墜死させる。
- ワイン工場の床に漏れた大量のワインに漏電させ、一斉感電死を引き起こす。また一箇所の水たまりでも繰り返し漏電を起こし、無関係の人間を無数にあの世に送る。
- 消費期限切れのスパゲティを食わされて庭でリバースしているターゲットを大量の消火器とプロパンガスボンベの爆発で吹き飛ばし、そのまま井戸にホールインワンして隠ぺい。
- 大砲をぶっ放して轟音と共に砲撃し殺害(サイレントとは……)。
……と、やりたい放題が可能。
しかもこのうちのいくつかは後々のHitmanシリーズ内で登場人物が言及している=正史であり、プレイヤーがやったやらないに関わらず最低一度は同暗殺方法を無表情でやり遂げている。
誰が呼んだか「悪戯坊主」「暗殺以外なんでも出来る男」。
なお、どんなことをしようとも47はほぼほぼ真面目な表情を崩さずアクションを遂行する。ある意味すごい。
ただし、どのようなふざけた手段も取れるということは、どれだけ残酷な手段も取れるという事でもある。
例えば……
- ターゲットのスキャンダル(過去自身の恋人を殺害してしまい、事故に偽装して揉み消した際の「恋人との口論から殺害まで」の一部始終の音声)を録音したモノを回収、建物中に爆音で流した挙句、一人で機材を止めに来たターゲットに銃を突きつけ断罪、命乞いを無視して撃ち殺す。
- 潔癖症のターゲットの周辺物を故意に乱し、さらに落ち着くために吸うであろうタバコに幻覚剤を仕込む。正気を失ったターゲットが狂ったように洗面器で手を洗うところを溺死させる。
- 娘を世界的に有名なカーレースで優勝させるためにライバルの車に爆弾を仕掛けさせようとしていたターゲットに対し、密かに爆弾を回収したうえで娘のチームの整備士に化け、車に爆弾を設置、その上でターゲット本人に爆弾のスイッチを押させ娘の車を爆破させて絶望させる(娘も殺害ターゲット)。
- 燃える彫像の裏から脱出できる構造を使ったセレモニーを行おうとしているターゲットに対し、彫像のシステムに細工して脱出不可能にした上で自ら進行役になりすます。ターゲットは脱出できないまま燃え盛る彫像の中で焼死。
- ターゲットの親族の死の真相を調査している探偵になりすまし、ターゲットの過去の傷をあげつらい、その行為が無駄であったことを指摘した上でそのせいでその親族は死んだ事(実際には違っており、真相を明かすルートや冤罪を被せるルートもある)、親族の死の責任はターゲットにあると突きつけ精神的に追い詰めて自殺に追いやる。
- ターゲットが自らの都合で妻の仕事上の名誉を潰した証拠を見つけ出し、妻自身に提供。仲違いさせた末に妻にターゲットを殺害させるよう仕向ける。
……等、かなりえげつない手法を取ることもある。大抵は自業自得ではあるのだが。
忘れてはいけない。
一流の暗殺者は、誰に対しても冷酷な暗殺者にも、誰よりも魅力的な友人にもなることができるのだ。