概要
1990年に長島ダム建設に伴う井川線の線路付け替えが行われ、この時にアプトいちしろ-長島ダム間の90‰という急勾配を難なく安全に通過するためにアプト式鉄道が建設され、この区間専用の補助機関車として開発されたのがED90である。
3両が日立製作所で製造された。同社の電気機関車としては、JR貨物のEF200と共に最末期の作品である。
抵抗制御で発電ブレーキを常用。万が一の場合に備えて自動空気ブレーキ・保安空気ブレーキ・ラックホイール用ばねブレーキ・非常短絡発電ブレーキなどを装備し、過速度検知装置も搭載している。
車幅が狭い割に車高が高く、馬面とも称される。
車両の搬入は新金谷駅まではメーカーからの陸送となったが、新金谷-アプトいちしろ間は道路条件が劣悪(当時はまだ県道77号線が整備されていなかった)なために鉄道輸送が行われ、小径車輪を用いた仮台車で車高を下げた状態でアプトいちしろまで牽引された。この仮台車は、現在でもアプトいちしろ駅構内の検修庫で車両整備用に使用されている。
余談
- 3両でそれぞれ異なるホイッスルが装着されている。1号機は山岳鉄道の本場であるスイス国鉄から寄贈されたもの、2号機は名古屋鉄道で使用されていたドイツ製、3号機は日本製である。
- 現在の日本で唯一のアプト式機関車である。かつては国鉄の碓氷峠でもアプト式機関車が存在したが、遥か昔の話である。