曖昧さ回避
概要
大井川鐵道が大井川本線で運用する電気機関車。
1949年にE101~E103の3両が製造された。
そのため、連番になってはいるもののE103のみ外観が大きく異なる。
車両自体は当時の私鉄向けの汎用機をローカライズしたもので、類似の機関車が他路線にも存在した。
導入の目的は貨物列車の牽引であり、金谷駅から国鉄の貨車を自社線内に引き入れて運用していた。
しかし、後に貨物需要が減退すると同時に、1976年7月9日に運行を開始したSL急行の補機の任務に就くようになる。
1983年に貨物列車が廃止されてからは、ほぼSLの補機専用として扱われるようになった。
E103は2003年3月から休車となった後、2016年6月に廃車・解体されたものの、残るE101とE102は製造後70年以上を経た2020年時点でも現役である。
長年裏方に徹してきた本機であるが、2010年代になると、国鉄の旧型電気機関車に似たデッキ付きの古風なスタイルから、鉄道ファンの人気を集めるようになる。
時折イベントやSLの代走で見せる、旧型客車を牽引する姿は、昭和中期の客車列車を彷彿とさせる。
尚、上記3両とは全く無関係のE105が一時期在籍していた(後述)。
E101
最も古風かつあっさりとしたスタイルをしている。
長年の酷使が祟って老朽化が著しくなり、2011年から運用を離脱していたが、神戸電鉄で廃車になった同型機のモーターおよび台車に換装し、2014年に運用を再開。
この際警笛をホーンからホイッスルに交換している。
イベント列車の牽引に抜擢されることが多い。
E102
E101と同型だが、運用中に正面窓へのヒサシの追加やヘッドライトのシールドビーム化を受け、独自のスタイルへと変化していった。
警笛はオリジナルのホーンのままである。
E101と違い、リフレッシュ工事を受けていないため老朽化が激しく、度々廃車説が出るものの、何だかんだでいまだに現役である。
E103
唯一の日立製作所製。
1970年9月に岳南鉄道に譲渡され、同社の貨物輸送を支えたが、1986年3月4日に大鉄に再入線し、里帰りを果たした。
その後は上記2両とともにSLの補機として活躍し、2003年3月から休車となった後、2016年6月に廃車・解体された。
なお、元々ホーンだった警笛は岳南時代にホイッスルに変更され、さらに大鐵への帰任時に片方のみホーンに戻されたため、両側で警笛が異なるという中途半端な形態で運用されていた。
E105
1930年に日本車輌と東洋電機で製造された、阪和電気鉄道向けの電気機関車。
製造時の車番はロコ1002。同鉄道が国鉄に吸収されてからはED38 2を名乗った。
外観はデッキ無しの箱型車体であり、E101~E103とは似ても似つかないスタイルである。
大井川のダム建設に伴う貨物列車の増発に対応するため、1960年に大鉄に譲渡され、E105として運用開始。
7年後の1967年に秩父鉄道に再譲渡され消滅した。