概要
当時のSNK(プレイモア)とマーベラスエンターテイメントからゲームボーイアドバンスで展開されたシリーズ。
ちなみに開発は『EX』はアートゥーン]、『EX2』はサン・テックが行っている。
当時のSNKスタッフによるとマーベラスエンターテイメントからの持ち込み企画であるらしい
二頭身にデフォルメされているGB版の『熱闘シリーズ』やネオジオポケット版の『Rシリーズ』と異なり、グラフィックは従来のものとほぼ同じ頭身で表現している。
2作品が発売されており、ゲームシステムは『EX』は『'99』、『EX2』は『2000』がベースだが、『EX』は3人+ストライカー、『EX2』は3人チームで使用しているキャラの次の控えキャラがストライカーになる(つまり3人目はストライカー無し)という異なる方式を取っている。
ストーリー
ストーリーはオロチ編の続編であり、新設定として「三種の神器」を守護する「十種神宝」のキャラを中心とした物語が展開されるネスツ編と比べると前日談のようなパラレルシナリオ。
そのためネスツ関係者はほぼ登場しない。
『EX』でもシナリオライターとして(一応)呼ばれていた嬉野秋彦氏によると『京がネスツの基地から脱出して、「家族やユキに迷惑かかると困るからしばらく日本には戻れねえな」って考えて、アメリカを放浪していた頃』のストーリーとのことで『'97』と『'99』を繋ぐストーリー(になる筈だったらしい。なお、『EX』に関しては嬉野秋彦氏が『招かれた上で村八分にされるという謎の処遇を受けてトラウマになった』と語る程の問題作である)。
一応ネスツ編のキャラであるK'やマキシマ、ヴァネッサも登場はするがストライカー専用キャラとしての登場に留まり、彼らのストーリーも無いので扱いとしては『2000』のアナザーストライカー等に近い(要は作品内で一応使えはするが、ストーリーとしてはいないも同然の扱い)。
『EX』のストーリーは要約すると「オロチの力を見たいと思ったギース・ハワードが八神庵を暴走させるためにKOFを開催し、優勝チームに庵をフルボッコさせて追い詰めることで暴走を促そうと目論んだがうまく行かなかったので優勝チームとギース(ラスボス)が戦う」というものであり、オリジナル要素は薄く、十種神宝云々が深く語られるのは『EX2』になってから。
『EX2』のストーリーは要約すると「オロチが'97で封印されてしまったが、先に'96で死んでいたゲーニッツの魂は封印から免れているため、依り代に憑依させることでゲーニッツを復活させようとオロチ一族の生き残りであるグスタフ・ミュンヒハウゼンが暗躍しているため、それを止める」というもの。十種神宝は主人公チームと庵チームに分かれているためそのふたつでより深く語られる。
また、『EX2』の隠し要素のひとつとして「零児、リョウ、拳崇」の三人でチームを組んだ特殊ストーリーでは、初代『龍虎の拳』の物語を意識したパロディシナリオが観られる(『EX2』のシナリオライターである嬉野秋彦氏が担当したのはメインのチームのストーリーのみであり、この隠しエンディングや「十種神宝エンディング」ですら氏は関与していない→該当の嬉野秋彦氏のtweet)。
『EX』シリーズの続編はその後も発売されず、十種神宝の人物も全員が判明していない等、未完の状態となっている。
だが、2015年12月と2021年3月に、当時のKOFシリーズに関わったシナリオライター嬉野秋彦氏は自身のツイッターにて「KOFEX」シリーズの裏話をツイート。
当時の没キャラクターとして「那智」や「寿福大輔(じゅふくだいすけ)」等、様々なキャラクターがデザインされていたという。
EXシリーズのみのオリジナルキャラ
余談
設定に関して
本作のプロデューサーが「萌が実は草薙柴舟の隠し子」や「零児の連れている幼女は実は零児とちづるの娘」等といったぶっ飛んだ設定を付けようとしていたが、「柴舟はプロフィールの大切なものに妻を挙げている程の人物である」等現行設定と噛み合わないものであるため嬉野秋彦氏によって全力で阻止されている。
現在は「明治維新後にアメリカに渡ったが、向こうで日本人同士の婚姻を続けて血の濃さを保っていた一族の末裔が萌である」ということで柴舟との関係は完全に否定されている。
零児が連れている幼女に関しては、嬉野秋彦氏によると本来氏によって書かれていたシナリオの予定になかった「幼女が皆をテレポートさせるシーン」等が知らぬ間に追加されており、プロデューサー曰く「(僕の中では)この子はちづるの娘だからそういう力がある」等と押し切られてしまったとのこと。
そのため、前述の萌の件と合わせてプロデューサーが付けようとした設定は嬉野秋彦氏によって全力で阻止されているため「(ちづるの娘じゃないならば)ちづるの双子の姉であったマキの忘れ形見ではないか?」と半ば冗談交じりに噂されたこともある。
なお、ちづるには恋人や子供がいるという設定は今のところ無いので、「プロデューサーの言うように零児とちづるとの間の娘」なのか「マキの忘れ形見」なのか、はたまた「ちづるやマキとは関係の無い子供に零児にとって想い人であるちづるっぽい格好をさせているだけ」なのか、現状は一切不明となっている。
ちなみに『EX2』のスタッフロールでは
「EXECUTIVE PRODUCER」に「HARUKI NAKAYAMA」、
「PRODUCER」に「SHIGEKI TAKEUCHI」「YOSHIHISA OHBUCHI」とクレジットされている(氏はプロデューサーとしか言ってないのでこの中の誰のことを指しているのかは不明)。
没キャラ?
嬉野秋彦氏によると、『EX2』において当初京は萌ともうひとり組む予定だった相手は「ちづるの弟子の巫女(名前の案は「大神修理(おおがみしゅり)」)」だったらしいが、京が女性2人と組むということを回避するために設定され直したキャラが零児であるとのこと(該当の氏のtweet)。
逆に『EX2』の庵チームで庵は女性2人と組んでいるが、当初壬羽は「ガリヒョロノッポのオネエの覡(男の巫女)」になる予定だったとのことで、2人とも庵よりも背の高い存在になる予定だったらしい(該当の氏のtweet)。
移植作品
国外向けとして2作目をベースとして移植されたN-Gage(ポータブルゲーム機としての機能もある携帯電話端末)用のゲーム、『The King of Fighters Extreme』が発売されている(開発はハドソン)。
ハードの違いにより、横長の画面である『EX2』と異なり、やや縦長の画面となっている。
なお、こちらはGSM携帯電話であるため、GSM方式に対応しない日本と韓国では発売されていない。