フィンランド製の対戦車ライフルについてはラハティL-39を参照
概要
旧チェコスロバキア(現チェコ)のアエロ・ヴォドホディで開発された高等ジェット練習機・軽攻撃機。愛称はアルバトロスである。
前作のL-29は成功作であったが、欠点は残っていた。そこで、1965年にはL-29後継機の試作がアエロ社に一社特命で命じられた。試作機は1968年に初飛行、1972年には1972年にはチェコスロバキア空軍、ソビエト連邦空軍、東ドイツ空軍がL-29の後継機にL-39を選定。1974年から本格生産が開始された。
ジェット機としては凡庸なデザインだが扱いやすさを重視しており、APU(補助動力装置)の搭載により自力でエンジン始動可能、空気取り入れ口を高い位置に設置し異物吸入によるエンジン損傷を防止、頑丈な降着装置で芝地からでも離着陸可能など、設備が不十分な飛行場での運用に配慮された設計になっている。また、計器は東側諸国に普及した戦闘機MiG-21に似せた配置にしている。
1999年までに2800機以上が生産された東側勢力の傑作ジェット練習機であり、冷戦終結後は民間に払い下げられた機体がアメリカを中心とした西側諸国にも広まった。よって世界で最も普及した練習機のひとつとなっている。
日本では馴染みのない機体ではあるが、かつては腕時計メーカー・ブライトリングが有する「ブライトリング・ジェットチーム」の機体(メイン画像)が来日した事もある。
21世紀のL-39
チェコの東欧革命による民主化とNATOへの加盟により西側の機器を装備したモデルも開発され、発展型の軽攻撃機L-159は完全に西側規格の機体となった。
しかし、輸出面では西側化した事が裏目に出てしまう。旧ソ連からの支援を失った上に、アメリカ製の部品を多用した事で対米関係が悪い国には輸出できなくなってしまい、輸出販売が大きく停滞してしまったのだ。
その反省を踏まえ、2010年代には新世代型のL-39NGが開発された。電子機器の近代化はもちろん、新しいエンジンに民生品を選ぶなど輸出制限に引っかからないよう配慮している。
コストの安さが売りとはいえ基本設計は古く、最新のジェット練習機に比べれば性能面で見劣りするのは如何ともしがたいが、既存機の改修にも対応している事もあって、既存のユーザーを中心に少しずつ受注を得ており、2020年代から順次引き渡しを開始する予定。
バリエーション
- L-39C
もっとも多くが生産された基本型。翼下パイロンは2つのみで、武装は一応できる程度しかない。
- L-39ZO
翼下パイロンを4つに増やした武装訓練型。
- L-39ZA
L-39ZOの胴体下に機関砲パックを追加した軽攻撃型。
- L-59(L-39MS)
エンジンを強化し、西側製アビオニクスを導入した改良型。
- L-159
L-59をベースにレーダーを装備し兵装搭載量を強化した単座の軽攻撃機型。
- L-39NG
2010年代に後継機として開発された新世代型。既存の機体のエンジンを換装するアップグレード版「フェーズ1」と、新技術を投入して完全新規製造した「フェーズ2」の二種類が存在。