正式名称は「マニトバ・ベーシックインカム実験(MINCOME)」。
概要
1974~79年までの5年間、「MINCOME」という社会実験プログラムがカナダマニトバ州ドーフィンで実施された。
カナダでは当時から「年間所得保障制度(guaranteed annual income program)」が検討されており、この制度の利用対象者に対しては最低所得水準が設定されていた。そのため、マニトバ州全体では保障の対象となる人が限られていた。
しかし、「MINCOME」ではそのような条件はなく、住民全員が参加できた。収入源がない世帯には、困窮レベルにあることを示す年収額「Low-Income Cut Off(LICO)」(基準額は世帯人数によって異なる)の60%が支給された。収入がある世帯は、1ドルの収入につき50セント減額された。
このプログラムの政府の目的は、貧困の削減だった。生活困難な状況をなくす事で国民の健康状態が良くなり、健康保険などの社会保障コストを下げられると政府は考えた。
MINCOMEの結果
・病院訪問者が平均して8.5%減少
・労働に関したケガの減少
・緊急治療室使用頻度の低下
・精神疾患やメンタルヘルスの減少
・労働時間は男性で1%、既婚女性で3%、未婚女性で5%減少
・若い母親の出生率がやや低下
などの実験結果が得られた。このことはベーシックインカムを支持する人から例として取り上げられることがある。
ただし当時と現代では考え、産業構造が違うので現代でやっても結果が違う可能性も指摘されている。