※はたらく細胞に登場するNK細胞は、誘導先タグを推奨の事。→NK細胞(はたらく細胞)
NK細胞とは白血球の一種で、免疫細胞の中でも直接ウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃できるリンパ球の1種。白血球の中では好中球に次いで数が多く、白血球全体の2割弱を占める。
T細胞の研究をする中で発見された細胞で、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)やB細胞が事前にヘルパーT細胞から抗原の情報を受け取って攻撃する獲得免疫であるのに対し、独自の判断で敵を判断・攻撃する、好中球やマクロファージと同じ自然免疫に属しているのが特徴。
T細胞が胸腺で特殊な訓練を受けたり、B細胞が抗原情報から抗体を作成する必要があるのに比べて、ほぼ生まれた状態から前線に投入される特性から、生まれついての殺し屋(natural killer)という意味でNK細胞と名付けられた。
細胞傷害性T細胞とは、同じリンパ球で細胞を殺す力を持つ点では同じだが、もうひとつ大きな相違点がある。それが細胞を攻撃する基準である。
細胞を攻撃する判断基準として関わってくるのが、全身の細胞が持つMHC抗原(主要組織適合遺伝子複合体抗原)と呼ばれるタンパク質。MHC抗原とはほとんどすべての有核細胞と血小板の細胞表面に存在するタンパク質で、詳細は割愛するが、砕けて言えば「自己の細胞」であることを示す「名札プレート」と思っていただければいい。
細胞傷害性T細胞とNK細胞は、どちらもこのMHC抗原を判断材料として細胞に攻撃するが、細胞傷害性T細胞が「MHC抗原が自己のものか否か」で攻撃するのに対し、NK細胞は「MHC抗原を持っているか否か」で判断している。
細胞傷害性T細胞の判断は、MHC抗原の情報が書き換わるウイルス感染細胞には有効だが、自身の遺伝子を持つ細胞が異常な状態となり、MHC抗原をほとんど作らないこともあるがん細胞には気づかないこともある。NK細胞はそうした細胞傷害性T細胞が見逃したMHC抗原を持たない細胞を攻撃する。
敵と認識した細胞に効率よく攻撃が可能な細胞傷害性T細胞と、細胞傷害性T細胞が見逃した異常な細胞を攻撃できるNK細胞は、それぞれ補完しあえる組み合わせと言える。