この項目では“ゲームのキャラクター”である「ナース」を扱う。
概要
『Dead by Daylight』に登場するキラー(殺人鬼)の一人。
2016年8月19日にリリースされたDLC『Chapter I: "The Last Breath Chapter"』にて追加された。本作で初めて登場した女性の殺人鬼でもある。
その名に違わぬ服装をしているが、劣悪な職場環境で看護師としての教育はまともに受けておらず、資格を持っているかすら怪しい。
人物
本名 | サリー・スミッソン(Sally Smithson)」 |
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性別 | 女 |
出身地 | アメリカ(アングロアメリカ) |
声優 | Anais Renevey |
ロングスカートスタイルのボロボロの白衣に、顔全体を白い布で覆い隠した女性。左腕はボロボロに渇きってひび割れており、その隙間からかすかな炎がゆらめいている。そして彼女は浮いている(当然、物理的に)。白くヒラヒラとした出で立ちと相まって、まるで幽霊のようにも見える。
背景
夢の崩壊
サリーは元々、木材加工の現場で働く夫アンドリューとの人生を謳歌する、どこにでもいる主婦であった。いつか夫との間に子供を授かり、彼の建てた木造の家で愛を育みながら暮らすことを夢見ていたが、その夫が危険な伐採作業中に起こった事故で死亡してしまい、彼女の夢は永遠に閉ざされることになる。
悲嘆する間もなく、生活基盤を失ったサリーは仕事を求め、精神病棟「クロータス・プレン・アサイラム」で働くことになる。その精神病棟は重度の精神病患者を多く収容する劣悪な環境として当時から有名であり、彼女のように余程逼迫した事情でもなければここで働きたいという人はいないとまで言われるほどであった。そして奇しくもこの選択が、後に彼女をNURSEへと変貌させる最初の過ちとなってしまう。
サリーは看護師としての教育も、職務についてのまともな説明すらされないまま、一番下っ端として働き始めた。どれだけ努力しても昇格も昇給もされず、ひたすら上司の仕事を押し付けられ、精神病患者たちの肉体的・精神的虐待を受ける日々により彼女の心はどんどんと衰弱していき、勤務を始めて20年目に差し掛かる頃にはとうとう限界を迎えつつあった。
「壊れた女」との出会い
あるとき、一人の精神病患者である通称「壊れた女」から、彼女自身の身の上話を語られる。元々は彼女もサリーと同じように精神病患者を相手に働く看護師であったが、「恥ずべき遺伝子を“浄化”する」という名目で患者に薬物を注射して殺害した過去を持っていた。彼女は続け様に、その際に使用した薬物の詳細を説明し「もう彼らに奉仕しなくてもよくなる」と悪魔の言葉を囁いた。
最後まで抗い続けていたサリーであったが、結局彼女のこの言葉が、これまで多くの負担で押し潰されてきたサリーの理性を破壊する決定打となった。決意を固めたサリーはその晩、注射器と薬物の材料を手に「壊れた女」の病室に向かい、一夜のうちに50人以上の患者と、所長を含む4人の職員ら、病棟に存在する全ての穢れを“浄化”した。
翌朝、病棟に出勤してきた朝番の職員は、死屍累々の病棟の真ん中で、ただ一人ユラユラと揺らめきながら立ち尽くすサリーの姿を見て戦慄。この異様な「集団自殺」の中、唯一の生き残りである彼女を救急車で運ぼうとするも、移動中に事故を起こして車は大破。サリーはそのまま消息を絶つことになる。
性能
※以下は全て2024年9月現在の性能や効果であり、調整やリワークが入っている可能性に注意。
基本情報
移動速度 | 3.8m/s(通常)、13.33m/s(ブリンク) |
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心音範囲 | 32m |
視点 | 普通(低身長+浮遊) |
凶器 | 骨ノコギリ |
本来は手術で患者の骨を切断するためのノコギリだが、彼女はもっと残忍な用途のために携えている。 | |
固有能力 | スペンサーの最期の一息 |
根城 | クロータス・プレン・アサイラム(Crotus Prenn Asylum) |
暴力的な精神病患者たちを押しこめていたという聞くだけでもヤバい施設。「集団自殺」が起きた後に炎上したため、病院の名残は焼け焦げたベッドというか診察台のようなものくらいしかない。 |
ブリンク(瞬間移動)による移動で障害物を無効化することが最大の特徴。
…なのだが、この能力は非常にクセが強い上扱いが難しく、プレイヤーによる瞬間的な使い所の判断が要求されるという上級者向け。しかし、極めれば相手を一方的に蹂躙する最強のキラーになれるポテンシャルも秘めており、時折マッチングで彼女を使いこなす熟練キラーと遭遇した際にはリアルホラーを体感することになるだろう。
メメント・モリは相手を超能力で仰向けにした後、瞬間移動で相手の上に跨り、首を絞めて窒息させるというもの。抵抗されてもその手を緩めることなく絞め続け、確実に息の根を止めるという強い意志を持って行うが、その後事切れた元生存者に対して慈しむようにエンゼルケアをする。思い出して欲しい。彼女が精神病棟で行った殺戮は「浄化」であった事を。
固有能力
スペンサーの最期の一息(Spencer’s Last Breath)
左腕を掲げる事で、壁もすり抜け、とんでもない速さで動く「瞬間移動」というチート能力を発動できる。ただしこの瞬間移動、とんでもなくクセが強く、ちょっとやそっとで使いこなせる代物ではないが、これを使いこなせれば儀式は虐殺と化す。
基本回数は2回。距離にもある程度制限があるが、アドオンによって強化可能。
また、最大回数のブリンクを行うと、攻撃一回分の猶予を過ぎた後「ヘアッ!」という声と共に反動で下を向いてしまう(ブリンク後攻撃を行った場合は反動時間が更に延びる)。
これによって仕留め損なった生存者を見逃すリスクがある。
また、移動の際はナースの悲鳴なのかうめき声なのか分からない甲高い音が聞こえるため、開始して数秒でキラーの正体がわかってしまう。
この瞬間移動、生存者との距離を詰める事以外にも移動手段としても重用される。
固有パーク
一度発見できれば一瞬で相手との距離を縮めて接近・攻撃できる特性からか、基本的に「負傷させる事で効果が発動するパーク」で構成される。一手でも相手に傷を負わせることに成功すれば強力な効果が発生する。が、逆を言えば誰にもダメージを与えられないままだとパークは全部意味が無くなるため、先手をいかにうまく打てるかが鍵となる。
喘鳴(Stridor)
生存者の息遣いと負傷時のうめき声がよく聞こえるようになる。音による情報が重要なゲームなので、このパークの恩恵はかなり大きい。
ちなみに「喘鳴(ぜんめい)」とは、激しい運動をしてゼェゼェハァハァ言ってる時の呼吸音がそれ。
死恐怖症(Thanatophobia)
通称「タナト」。負傷、這いずり、フック状態のサバイバーがいるとき、その人数に応じて全生存者の作業速度が低下する。呪いのトーテムに依存しない遅延パークの中では扱いやすいほうだが、負傷させなければ何の効果もないうえ全員負傷させたとしても効果幅がそれほど大きくないのが難点。
看護婦の使命(A Nurse's Calling)
通称「ナースコール」。一定範囲内で治療中、または治療を受けている生存者を発見できるパーク。
治療中のサバイバーは無防備なので、ナースはもちろん奇襲が得意なキラーとの相性がいい。
痛みに苦しむサバイバーを楽にしてあげよう。
アドオン
患者と思われる人物の遺物、そして患者の最期の一息という「呼気」がアドオンとなっている。彼女にとってあの場所がどれだけ文字通り「息の詰まる」環境であったのかがよくわかる。ブリンクのリチャージ時間短縮や、距離強化等の効果を持つ。
中にはブリンク攻撃を当てると、しばらくブリンクが出来なくなる代わりに移動速度が上がるものや、3回のブリンクが可能になる代わりに視線が通った場所にしかブリンク出来なくなるなど使用感が大きく変わる物も存在する。
特徴
長所
瞬間移動こそが最大の武器かつ彼女を最強たらしめる要因。障害物もすり抜け、ビリーのチェーンソーダッシュ並みの速度で相手に近づく移動はもはやチートという他ない。板や窓枠が意味をなさず、見つかったら最後。そのため、彼女を極めたキラーと当たってしまった生存者はどう逃げようが無駄でしかなく、ただ相手の手元が狂ってたまたま攻撃を外してくれることを祈るしかない状況に立たされる。デッドハード等の瞬間移動強化のパークなどで避ける事も可能だが、ヒトによってはそれすら予測したうえで攻撃できる怪物もいる。まさに相手のヒューマンエラー以外に対処方法が無くなる程の強さを持つ可能性があるのがナースである。
短所
だが、この瞬間移動こそが最大の短所。これがあるからナースは強いのだが、逆を言えばこれしかないのである。これを使いこなせないと最弱キラーとなる。かといって簡単に極められるようなモノでもない。2019年の公式発表の統計によると、全ランク帯合算のキル率では最下位。2020年には全ランクと赤ランク限定のキル率両方で最下位となっており、ナースの難しさを如実に表している。
「相手を発見」し「相手の距離を予測」し「相手に攻撃を当てられる角度に調整」し「相手に寸分の狂いも無く接近」する。追い詰めるためにやることが多過ぎるのである。
移動はビリーのチェーンソーと違って完全な直線。そのため、カクカクとした軌道をうまく描く感覚、壁等の障害物による誤差を修正する知能、目まぐるしい速度について行く動体視力、そして攻撃を当てられる技術を要求される。一回でも外せばスタンによって目線が下がり、次の連続ブリンクまでリチャージ時間が必要となり、その隙に生存者との距離が離される。
こんなのが出来る方がおかしいのである。こんなのが出来れば強くないわけがないのである。この極致に至れるまではひたすら苦汁を舐めるどころか飲み干し続けなければならない……のだが、一度使いこなせば環境の変化に左右されにくいため非常に強力なキラーと言えよう。
弱体化
2019年秋に運営からナースの弱体化について発表されDbDプレイヤーに衝撃を与えた。この際Twitterでは「ナース弱体化」がトレンド入り、一般的な意味のナースと勘違いされちょっとした騒動となってしまった。
弱体化の内容は、ブリンク毎に3秒間のリチャージ時間が設けられた事と、ブリンク後にナースの姿が見えるようになるタイミングの変更とアドオンの見直し。これにより今まで以上のブリンク精度が求められるようになり、以前猛威を奮った5回ブリンクなどは廃止された。
余談
モデル
コナミ発売のホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズに登場するバブルヘッドナースがモチーフとなっている。サイレントヒルに登場するクリーチャーのナースは作品によってデザイン・名前・生誕の背景も違うのだが、一部のタイトルでは病棟で働く看護婦の成れの果て(その意識の具現化)という設定の作品もある。よく見るとこっちのナースもナイスバディ…
また明言はされていないが、実際に大勢の患者を殺害したジェーン・トッパンやチャールズ・エドモンド・カレンなどの実在のシリアルキラーから着想を得ているのではないか?とも推察されている。
素顔
作中での彼女は、デフォルトスキンをはじめ殆どの衣装で完全に顔を覆い隠しており、その素顔を拝むことは出来ない(一部スキンで口元だけ顕にしているものは存在するが、全貌を現しているものは今のところない)が、彼女の過去を描いたムービー内でようやく素顔が公開された。
その素顔は赤色のロングヘアーが印象的な妙齢の美女である。