本名	フィリップ・オジョモ（Philip Ojomo）
性別	男
出身地	アフリカ（ナイジェリア）
声優	Filip Ivanović（@hellsbandit）

斜めに三筋走る不思議な模様の入った人面樹のような顔に、丈の短いマントと帯をまとった長身痩躯の男性。右手には鎌や鍬のような形状の武器「アザロフの頭蓋骨」、左手には「悲哀の鐘」を持つその姿は死神を彷彿とさせる。

背景

幼少期

建国から間もないナイジェリア北部の小さな村で生まれ育ち、両親や祖母と共に貧しいながらも幸せに暮らしていた。同じく初期実装の他の二人のキラーとは違い、彼の親は良心的な人々で、将来は自分たちよりも選択肢の多い未来を与えたいという考えから、よく息子と算数を一緒に勉強したりチェスで遊んだりなどしていた。

彼らの村では「危険が見えたら鐘を鳴らすこと」「鐘が聞こえたら隠れること」という取り決めが存在し、鐘の音は虐殺のプロである討伐部隊の接近を周囲に伝える警報であった。ある日、民族浄化を名目にした彼らの大虐殺の被害を受け、家族をはじめ全てを失い天涯孤独の身となる。部隊が去った後、豪から這い出て必死に両親や祖母を探し回ったが、唯一見つかったのは父の遺品である「幸運の鐘」だけだった。

深い絶望感と飢えと渇きで一人死にかけていたが、フナニャという女性に救助され、他の保護された子供たちと共に、虐殺で住人が居なくなった集落跡に隠れ住むようになった。九死に一生を得たフィリップであったが、凄惨な虐殺で負った心の傷が言えることはなく、討伐部隊を激しく憎悪し「彼らの様に殺人で金を貰う者・殺人に金を払う者はいつか皆殺しにしてやる」と復讐心に駆られる。これを見兼ねたフナニャは彼の感情任せの考えを諫め、道徳を説いた。

「目には目をでは誰もが盲目になり、世界は永遠の闇に包まれてしまう」

「赦す者は赦される」

「生き残って、世界に真実を伝える証人になるの」

フィリップは初めこそ、そのような綺麗事など受け入れられるはずもなかったが、恩人たる彼女の熱弁に徐々に圧され、受け入れるべきとも考えるようになっていた。

しかしある日の晩、不寝番を任されたフィリップは日頃の疲労が祟り眠りに落ちてしまう。奇しくもこのとき討伐部隊が現れ、フィリップが眠っていたことで警鐘が鳴らず、フナニャたちは彼ら部隊に蹂躙されてしまう。翌朝に目が覚めたフィリップは、新たな友人たちの凄惨な死体と、最早助かりようのない重傷を負ったフナニャの姿を発見する。討伐部隊は動けなくなるまで彼女を傷めつけた後、その傷口に蜂蜜を塗って蟻に生きたまま捕食される極めて悪趣味な拷問を与えていた。

フィリップはショックと罪悪感に圧し潰されそうになるが、彼女は最後の力を振り絞り、土に指で文字を書き「私は許す」と伝え、そのまま目を閉じ介錯を促した。

奇しくもこれが、後に「殺人鬼レイス」となる彼の初めての殺人となる。

その晩、フィリップは野営中の討伐部隊の一団に出くわした。彼の理性はフナニャの教えと遺志に従い逃げるべきだと告げていたが、焚き火を囲み上機嫌で酒を呷り、虐殺した人々を動物のように扱い嘲笑する姿を前に、爆発的に溢れ出る暗い感情が、先人たちの教えと理性をかき消した。

「目には目を。世界には永遠の夜を」

「赦したくもないし、赦されたくもない」

「みんながされたように、奴らを苦しめてやる」

既にフィリップの脳内は、如何にして彼らを殲滅するかの方程式を組み立て始めていた。そして彼らが家族や友人たちにそうしたように、寝静まった兵士たちの周りに灯油を撒いて火を放った。瞬く間に周囲は激しい炎と煙が立ち込め、燃え盛る兵士たちは断末魔を上げて焼死していった。フィリップはこの際に自らも全身に火傷を負ってしまうが、激痛の走る体を起こして「幸運の鐘」を叩いた。盲目な世界の復讐者、死の天使の到来を告げるかのように……。

解体工時代

その後、フィリップはアメリカに渡り自動車解体業社「オートヘイヴン・レッカーズ」に入社する。その会社は裏社会との繋がりがあることを知りつつも、故郷ナイジェリアがそれ以上に治安が悪い国であったこともありさしたる問題とせず、犯罪に巻き込まれないよう立ち回りながら日々淡々と仕事をこなしていた。

しかしある夜の勤務中、いつものように自動車をプレス機で潰す作業をしていると、ある1台の車のトランクから血が滴っていることに気付く。そこにはまだ息のある男が押し込められており、自動車をプレスする事で死体処理の片棒を担がされていた事を知ってしまう。咄嗟に逃がそうとするが、その場に現れた雇い主のアザロフは、躊躇なくその男を殺害。どういうことだと詰め寄ると、アザロフは悪びれもせず「これは我が社のサービスだ」と答え、フィリップはこれまで知らずの内に、彼の悪辣な金儲けのための殺人に協力させられてきたことを悟り激昂。アザロフを半狂乱のままに惨殺し、その死体から頭蓋骨や脊髄を引きずり出して姿を消した。

以来、彼の姿を見た者はおらず、殺されたアザロフの頭部も発見されることはなかった。しかし今でも「オートヘイヴン・レッカーズ」からは、人もいないのにプレス機が動く音がすると噂されているという。

性能

※以下は全て2024年9月現在の性能や効果であり、調整やリワークが入っている可能性に注意。

基本情報

移動速度	4.6m/s(通常)、5.04m/s(透明化)
心音範囲	32m(通常)、0m(透明化)
視点	高い
凶器	アザロフの頭蓋骨
	元上司であるアザロフの遺体の骨(頭蓋骨と脊髄)を加工して作った武器。
能力	悲哀の鐘
根城	オートヘイヴン・レッカーズ（Autohaven Wreckers）
	過去の職場だった自動車解体工場。青暗い空気の張り詰める荒地に、潰した車の残骸が点在している。