概要
作中で広く信仰されている宗教であり、ドマナ聖王国を本拠地としている。
かつて世界に存在したとされる「女神」を崇め奉り、教えや暦を作った。その為、ほとんどの人が生活においてその教えに影響を受けている。
貴族の多くは名前と姓の他に洗礼名を与えられている。(リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーの場合は「イルムガルド」」)
その影響力の強さから、通常は大国やその王族が相手でも一切の優遇をせず、教会もどの国も同じ規模になるよう作られている。しかし、ガルクハイン国に対しては、世界で2番目の規模の教会を建てることや街道から大神殿のすぐ近くに来るのを許すなど違う態度をとっている。
過去の人生においては、5年後に皇帝となったアルノルトが、各地の教会を焼き払い、司教を殺し、経典を焼き払い、信仰のシンボルを徹底的に破壊している。
重要な用語
女神
かつてこの世界に存在したとされ、女神の言葉である「クルシェード語」を話したという。結婚は女神に愛を誓い、女神の誕生日は家族で祝うとされている。
巫女姫
女神の血を引く一族の女性が代々務めており、祭典などの祭祀を行っている。作中では、22年前に先代の巫女姫が事故で死亡し、その妹も10年前に死亡したため、嫡流は途絶えたとされる。ただし、男性は数名生まれているとのこと。万一巫女姫がいない場合、ドマナ聖王国の貴族の姫君から代理を立てることになっている。
大司教
司教の中から選ばれ、祭典の進行をしたり、各国の王族との公務の相手をしている。
元老院
教団における最高意思決定機関で、枢機卿達によって運営されている。
聖詩
元来クルシェード語で書かれているが、作中では現在の言語に翻訳された物を使用している。「美しい言葉で作られた芸術」と大多数の人が考えている。しかし、7度目の人生を生きているリーシェによると、神々の冒険譚でクアルク諸島の伝承と関連しているとのことである。その中でも『花すらも凍てつき』は海面が凍り白い花畑に見える現象であり、かつてミシェルと共に観測していた。
クルシェード語
元来の聖詩に使用されている言語であり、女神が話していたとされる言葉である。言語体系が他の言語とは違うとされている。作中では、大神殿のバルコニーにある女神の壁画に使われている。「クルシェード文字」という不思議な文字で書かれており、読むことができるのは一握りの人だけである。習得するのはかなり難しく、大司教の補佐をしている司教が10年かかったほどである。その為、専門の学者が存在している。その他に、アルノルトが独学で、リーシェは4度目の人生でミリアから教えてもらい習得している。作者によると、文字のモデルとなったのはルーン文字で、法則性は一から作り、架空言語を作成したとのことである。
儀式
祭典
女神に祈りを捧げる儀式であり、進行は大司教が行う。一方、「身廊から祭壇まで歩き、女神へ最敬礼」「聖詩を暗唱」などの儀式は巫女姫が行う。儀式の中では神具として弓矢が使用され、季節それぞれの力がこもった矢を射る。一般の信者は参加できない。会場は大神殿の大聖堂が使用されるが、本当に神聖な儀式は別の場所でするとされる。
作中では22年前に巫女姫がいなくなったことで、長らく行われていなかった。しかし、信者から抗議の声が上がったことで、ミリアを巫女姫の代理として作中の年から復活された。
婚約の儀
政略結婚など長い期間を掛けて行われる契約を軽々しく破棄できないよう行われる儀式。政略結婚の場合は、許嫁同士である子供を連れ出して行う。古い儀式で今時はどこの国の王族もしないことが多いとされている。リーシェの場合は、彼女の両親が国王に願い出て結ばれている。この儀式をした場合、「大神殿に行き破棄の手続きをしない限り他の者と結婚できない」という制約があり、リーシェは4度目の人生で知り慌てて手続きをしている。
破棄するためには、司教が読み上げる聖詩を聞くことで、穢れから魂を清める必要があるという。かなり時間がかかるため、リーシェは司教達から同情されていた。
本編で、リーシェはこの契約の破棄を目的として大神殿に向かっている。