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第38回BCディスタフ

まるしゅろれーぬがおおばんくるわせをねらっている

かつてないハイペース。この消耗戦を制したのは、日の丸を背負った"帯同馬"だった。
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概要編集


西海岸のデルマーで行われた2021年のブリーダーズカップ。この年の牝馬レース・ディスタフはGⅠ4連勝中のレトルースカ・同年のケンタッキーオークス馬マラサート・前年のケンタッキーオークス馬シーデアズザデヴィルアズタイムゴーズバイなど国内の精鋭ぞろいになった。ここに唯一の外国馬として、日本からマルシュロレーヌO.マーフィー騎手で参戦することになった。

欧州からはマーフィー騎手の他にデットーリ騎手がアルゼンチン出身の地元馬ブルーストライプを担当することとなった。


この時のマルシュロレーヌの評価としては大穴扱いだった。それもそのはず、彼女は国際的には重賞未勝利扱い(実績のあった地方重賞は国際的にはリステッド)。さらに、主戦の川田将雅騎手が遠征に帯同しているのにもかかわらず、O.マーフィー騎手に乗り替わった

また、勝機のあるJBCレディスクラシックを捨ててまでBCディスタフに挑んだことに対し、キャロットの一口馬主からの反応は批判的だった。それもそのはず、遠征費用は一口馬主の負担だからである。


ここまで見ると、彼女の挑戦は無謀な挑戦であり、メリットもほぼ無い。では、なぜ遠征したか。言ってしまえば、彼女の役割はBCフィリー&メアターフに挑んだラヴズオンリーユーの帯同馬である。矢作芳人厩舎の僚馬であった彼女とはもともと仲が良く、厩舎も同じだった。

ラヴズオンリーユーは2時間前に行われたBCフィリー&メアターフを勝利し、日本馬史上初のBC制覇を成し遂げた。後は彼女が無事にレースを終えるだけと思われていた。


出走馬編集

米国は日本と同じくゲート番をそのまま馬番とする。

ゲート番年齢騎手調教師
1プライベートミッション3F.プラB.バファート
2ロイヤルフラッグ5J.ロザリオC.ブラウン
3マラサート3J.ヴェラスケスT.プレッチャー
4ブルーストライプ4L.デットーリ(GB)M.ポランコ
5クレリエール3R.サンタナJr.S.アスムッセン
6レトルースカ5I.オルティスJr.F.グティエレス
7ホロロジスト5J.アルバラードW.モット
8シーデアズザデビル4F.ジェルーB.コックス
9アズタイムゴーズバイ4L.サエスB.バファート
10マルシュロレーヌ(JPN)5O.マーフィー(FR)矢作芳人(JPN・栗東)
11ダンバーロード5J.オルティスC.ブラウン

展開・結果編集


まず最内枠のプライベートミッションがハナを奪い、1番人気レトルースカが2番手、アズタイムゴーズバイ、シーデアズザデヴィルという形で縦長の展開に。位置取り争いで400m21秒99、800m44秒97という驚異的なハイペースとなり、プライベートミッションとレトルースカら逃げ先行勢は早々に一杯になって後退、今度は後方待機していたマルシュロレーヌとマラサートがまくって上がってきてマルシュロレーヌが先頭に立ち、内から叩き合いながら伸びてきたダンバーロードの追撃をハナ差振り切ってゴール。ラヴズオンリーユーの帯同馬の扱いをされ9番人気(単勝50.9倍)の伏兵扱いだったマルシュロレーヌが、きつい前傾ラップの消耗戦を制して米国ダート牝馬の頂点に立ったのだ。

上位人気は2番人気マラサートが何とか3着に入ったものの、1番人気レトルースカは失速してブービー10着の大惨敗となった。



着順馬番人気着差
110マルシュロレーヌ(JPN)9
211ダンバーロード7ハナ
33マラサート21/2
45クレリエール5アタマ
52ロイヤルフラッグ31/2
68シーデアズザデヴィル45
74ブルーストライプ10大差
89アズタイムゴーズバイ8ハナ
97ホロロジスト11大差
106レトルースカ12
111プライベートミッション65

備考編集

  • 勝ち馬のマルシュロレーヌはその後、サウジカップに遠征。牡馬相手の紅一点かつ、外枠ながら6着に入り、このレースが完全なフロックではないことを見せた。
  • このレースでマルシュロレーヌにはレーティング116が与えられた。牝馬は4ポンド加算されるというルールに沿えば、プレレーディング上では、同年のチャンピオンズカップを6馬身差で勝利したテーオーケインズと同値である。
  • このマルシュロレーヌの大激走は日本競馬のダート路線の景色を大きく変えた。この翌々年、サウジカップパンサラッサが、ドバイワールドCウシュバテソーロがそれぞれ優勝し、BCクラシックでもデルマソトガケが2着と再びダートの本場アメリカの最高峰で才覚を示した。日本ダート路線が本場の舞台で通用することを示せるようになったのには、まず彼女の存在が不可欠だったのは間違いない。
  • 3着のマラサートは翌年のBCディスタフで3頭が横並びになる大接戦を制し、リベンジを果たした。
  • 21年のエクリプス賞では最優秀芝牝馬をラヴズオンリーユーが受賞したが、帯同馬だったマルシュロレーヌもラヴズオンリーユーとのコンビでモーメント・オブ・ザ・イヤーを受賞。
  • このレースに出ていた馬のうち、
    • 翌年同レースで2着に入ったブルーストライプはセリでナーヴィックインターナショナルがグランド牧場の代理で400万ドル(当時のレートで約5.8億円)で落札。翌23年に輸入され、24年出産の初仔(父フライトライン)はセレクトセール当歳で5000万円で購買された。
    • ホロロジストは21年のセリでノーザンファームが落札。年内にノーザンファームへ輸入されて繁殖入り。23年に初仔として出産したサートゥルナーリア産駒の牡馬は、24年のセレクトセール1歳で2.1億円の高額をつけている。

関連記事編集

BCディスタフ

ラヴズオンリーユー

ステイゴールド 彼女の父父。同じく帯同馬としての扱いながら、当時G2のドバイシーマクラシックでファンタスティックライトら相手に勝利した。

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BCディスタフ ぶりーだーずかっぷでぃすたふ

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