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概要編集


2020年に新設された、1着賞金1000万ドルの世界最高賞金レースサウジカップ。日本馬とサウジの馬場は相性が良いのか、日本馬が出られるサウジカップのアンダーカードは2022年までに全て勝利。しかし、サウジカップに関しては当時のダートの国内トップクラスのクリソベリルや、テーオーケインズ、そしてBC勝ち馬マルシュロレーヌ等が挑戦するも、これまでの最高着順は6着と厳しい結果だった。

毎年日本勢の遠征がある中、4回目となる23年は大挙6頭が遠征することとなった。

・前年の皐月賞馬、ダート替わりジオグリフ

・芝の名門・友道厩舎が送り込む女帝の血族ジュンライトボルト

・世界的伯楽・矢作厩舎が誇る逃走者パンサラッサ

・関東の名門が送り込むワンターンの鬼、米国三冠馬の血が騒ぐカフェファラオ(USA)

・中東で好勝負、ダート挑戦ヴァンドギャルド

・ケンタッキーダービーにも挑んだ砂の気鋭クラウンプライド


迎え撃つのは昨年覇者で地元のエースエンブレムロードや、前哨戦を10馬身1/2差で圧勝した新星スコットランドヤード、米国からは名門バファート厩舎から前年2着馬カントリーグラマー前年BCクラシック3着テイバが参戦。


出馬表編集

番号ゲート番馬名・生産国性齢騎手調教師
113カフェファラオ(USA)牡6J.モレイラ(BRZ)堀宣行(JPN)
210カントリーグラマー(USA)牡6L.デットーリ(GB)B.バファート(USA)
33クラウンプライド(JPN)牡4D.レーン(AUS)新谷功一(JPN)
48エンブレムロード(USA)牡5A.モレノ(SAU)(SAU)
512ジオグリフ(JPN)牡4C.ルメール(JPN)木村哲也(JPN)
66ジュンライトボルト(JPN)牡6R.ムーア(IRE)友道康夫(JPN)
71パンサラッサ(JPN)牡6吉田豊(JPN)矢作芳人(JPN)
87リモース(IRE)セ6T.オシェア(SAU)
94スコットランドヤード(USA)牡4V.グティエレス(SAU)
102テイバ(USA)牡4M.スミス(USA)B.バファート(USA)
119ヴァンドギャルド(JPN)牡7M.バルザローナ(FR)藤原英昭(JPN)
1211ラゲルタライム(IRE)牝5N.アルマンディール(SAU)
135サンセットフラッシュ(IRE)牝7N.アルマンディール(SAU)

レース前評価編集

イスラム国家故に現地の馬券販売はないうえ、JRAからも対象レースでは無いゆえに馬券販売は行われなかったが、海外のブックメーカーによるトトカルチョは行われていた。

主なブックメーカーによる単勝オッズはこちら


人気は米国2頭が分け合う形に。

日本馬は現地では「Japanese Six」と呼ばれるなど話題になっていたが、ブックメーカーからしたらダート未経験の馬も含めた出走は数撃ちゃ当たる物量作戦とみられていた。

アメリカの競馬専門メディア『ブラッドホース』も「日本から出走する6頭はいずれも実績こそあれど、馬場や距離の適性に疑問符が付く馬ばかりだ」という評価をしていた。



レース結果編集

最内枠のパンサラッサがハナを切ると、外枠のジオグリフが内に寄せて前に行こうとするテイバを牽制して先行。パンサラッサは200m11秒台を維持する、芝の如きハイペースを展開。ここにジオグリフとテイバがピッタリ張り付きつつ後方もハイペースに乗っていく流れに。(とはいってもパンサラッサと誰も先頭争いをしなかったので、パンサラッサにとっては若干ペースを落とした走りだった

集団中央のラチ沿いがガラ空きだったのを見たカフェファラオがインコースに入ったところでコーナーに入る。

ホームストレッチに入るとテイバは早々に脱落。パンサラッサが先頭を保ったまま先行勢が粘り込もうとするが、ハイペースで足が溜められなかったためにパンサラッサとの距離が縮まらない。

その中で唯一、中団で溜めていたカントリーグラマーが猛追にかかり、日本馬を次々と飲み込みパンサラッサも間合いへ。まるで天皇賞秋のイクイノックスの如くパンサラッサを差しきろうとするが、このレースは秋天より200m短い1800m。パンサラッサがカントリーグラマーからも逃げ切ろうと粘りに粘り込んで3/4馬身差でゴール板を駆け抜けフィニッシュ。

本格化前以来の久々のダートだったものの、自らのレースに徹して、日本調教馬としては初のサウジカップ優勝となり、海外芝ダート両G1制覇を果たした。カントリーグラマーは差し届かず2年連続2着、3着は中団からじりじりと伸びてきたカフェファラオが入り、初ダートのジオグリフは4着に粘り込んだ。前年覇者エンブレムロードは直線で脚伸ばすも6着まで、人気を分け合ったテイバは8着と大敗した。


タイム・着差
1パンサラッサ1:50.80
2カントリーグラマー3/4
3カフェファラオ1/2
4ジオグリフアタマ
5クラウンプライド1
6エンブレムロード1.3/4
7ジュンライトボルト3.1/4
8テイバアタマ
9リモースクビ
10ラゲルタライム4
11ヴァンドギャルド6
12サンセットフラッシュ6
13スコットランドヤード5.1/2

パンサラッサの食らいつくか放置するか判断が難しい絶妙なハイペースな逃げが決まり、後続の足が溜まらず摺り潰されてスパートを掛けられないというパンサラッサの勝ちパターンが見事に決まった。そんな中で末脚を発揮してあと一歩まで食らいついたカントリーグラマーの走りも見事と言わざるを得ない。

そして上位5着の内に4頭が日本馬が占める快挙となり、特にパンサラッサとジオグリフという芝レースをメインとしている馬がダートの猛者を相手に結果を出したというのも特徴的だった。


レース後編集

  • 1着となったパンサラッサは賞金1000万ドルを獲得したことで日本馬の歴代獲得賞金額で第3位、さらに海外レースの芝・ダート双方のGⅠを勝利した初の日本競走馬となった。
  • 『ブラッドホース』はこの日本馬が掲示板に並ぶ圧勝ぶりから「事実上、中東版のジャパンカップと化していた」と報じ、レース前の評価をひっくり返す事となった。

余談編集

  • グリーンチャンネルの日本語実況ではパンサラッサについてゴール後に「初ダートで!初ダートで!サウジカップを制覇しました!」と述べているが、実際には本格化前の3歳シーズン中に師走ステークスでダートを経験している。とはいえ結果は11着な上にこの頃は賞金不足で重賞出走すらままならない中で道を模索している時期だった。
  • 翌月のドバイワールドカップにはヴァンドギャルド以外の日本馬5頭とカントリーグラマーの計6頭が出走。ヴァンドギャルドは芝のドバイターフへ転戦した。

(当初はパンサラッサもヴァンドギャルドと同様にドバイターフへの出走も検討していたが、3/8にドバイワールドカップへの出走が発表された)


レース動画編集


現地実況


日本実況


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