概要
「昔はお前のような冒険者だったのだが、膝に矢を受けてしまってな...」
英語原文="I used to be an adventurer like you. then I took an arrow in the knee... "
(正確なゲーム中の公式版日本語字幕は少し異なり、「昔はお前みたいな冒険者だった。膝に矢を受けてしまって…」なのだが、本項ではネットミームとして流行した先の方の表記に従う)
すぐ通じる者同士の間では「膝矢」と略されることも。
元ネタはベセスダ・ソフトワークス制作のロールプレイングゲーム「The Elder Scrolls V: Skyrim」の衛兵が喋る台詞。
会話の内容としては一見特におかしいところはない普通の会話内容なのだが、問題はそこではない。実はこの台詞、なんとどの街の衛兵も喋る可能性があるのだ。
どうやらスカイリム全土の町々に駐在する衛兵たちは、全員が全員とも膝に矢を受けて引退した元冒険者であるらしい。
思わず「なんでみんな膝に矢なんだよw」とツッコミを入れたくなってしまうそのシュールさが話題を呼び、本作発売の2011年ごろから海外・国内のネット上で流行した。
RPGにおいてモブキャラの台詞の使い回しは珍しい事ではなく、
「こんにちは、良い天気ですね」のような、いかにもモブらしい台詞のコピペは昔からあったが、
引退理由という普通ならそうそう重複しない内容を全員が言うという衝撃、しかもリアルな雰囲気を持つスカイリムでそれをやった事がインパクトの強さに繋がったようだ。
本作の開発ディレクター、トッド・ハワードはインタビューにて「私達のお気に入りのセリフです("It's a line that we liked.")」とコメント。また、「開発プロジェクトの後半ごろ、衛兵たちにもっと個性を持たせるため、シニア・デザイナーのエミル・パグリアルーロにそれっぽい台詞を書くよう頼みました」という開発秘話を明かす一方、このブームには「そんなに頻繁に聞かないと思うけどな(I don't think you hear it that much,)」と驚きを見せた。担当したパグリアルーロも「何百もある衛兵のセリフのなかで、なんでこれだけ注目されたのか」と語るなど、こうしたファンからの反応は制作陣の想定外だったようである。
汎用性の高さからか、冗談めかした言い訳への改変もしやすい。
「昔はお前らのように働いていたのだが、膝に矢を受けてしまってな...」
「俺もダイエットしようと思ったが、膝に矢を受けてしまってな...」
余談
セルフパロディ
スカイリムから12年後の2023年9月に発売された、スカイリムと同じベセスダが開発し同じくトッド・ハワードがディレクターを、エミル・パグリアルーロがデザイナーを務めた、宇宙を冒険するロールプレイングゲーム「Starfield」では、ゲーム中に入植者(いわゆるモブ)が
「昔はお前のような冒険者だったが…いや、やめとこう。長くなるからな」
("I used to be an explorer, but then I… No, never mind. It's a long story.")
というパロディのセリフを喋ってくれる。
また、ゲーム中に習得できる、敵を行動不能に陥らせて戦闘能力を制限できるスキル「重症化」のアイコンイラストは、膝の皿の骨に矢がグッサリ突き刺さっている非常に痛々しい断面図が描かれている。これは冒険者引退もやむなしだろう。
更にいうと衛兵ならぬ警備兵の皆さんはどの勢力でも足にタコがデキているとボヤく。
まぁ膝に矢よりは、警備兵であれば誰も彼もがかかってもおかしくはない職業病なので不自然さはない…ないが、医療は文明レベル相応に発展しているはずなのにタコの特効薬は開発されずじまいだったのだろうか。
誤解
ちなみにスカイリムの舞台モデルとなった北欧の古い言い回しで
”膝に矢を受ける”→”片膝をつく”→”プロポーズする”
という説があったが、実際には出どころ不明の都市伝説である。
最後に
ファンタジー色の強い当ミームだが、史実の戦で使われた弓矢も鉄を軽く貫く威力があったため、実際に当たると上記のような洒落では済まされない事態になる。
笑い話とされているからと言って、間違っても試そうなどとは思わないように!
関連タグ
張郃...膝に矢を受けてしまった実在の人物
八九式重擲弾筒...鹵獲した米兵が膝の上に乗せて撃って大腿骨骨折をしてしまい「膝で迫撃砲を撃ってしまってな...」となった逸話のある迫撃砲