概要
世界初の仮面ライダー。オートバイレーサーの本郷猛がバッタを素体に改造された改造人間。
ヒーロー然とした新1号とは異なり、黒に近い濃紺のヘルメットに灰色のクラッシャー(牙)、ピンク色の目というどことなく野暮ったい印象を受ける姿で、襟足からは髪の毛がこぼれており、まさに『仮面』のヒーローだった。
手袋とブーツも新1号の煌めくような銀色とは真逆の深緑色であり、『仮面ライダー』放送前まで白や金色などの明るい色合いが多かった特撮ヒーロー(マグマ大使、ウルトラマンなど)としては異例のダークな雰囲気の姿であった。もっとも、ベースとなったバッタ自体保護色を使う生物のため色が黒いのは当たり前であり、没案の「スカルマン」「クロスファイヤー」(没案にしてはカッコいい名前だ)も黒が基調であった。そのくらい仮面ライダーとは革新的なヒーローだったのである。
能力
パンチ力は15.5t、キック力は22tと平成ライダーと比べても遜色ない実力を持ち、バッタの改造人間らしく、ひとたび駆け上がれば15mの高さまでジャンプできる。
必殺技のライダーキックは岩を楽々と砕くほどの破壊力で、幾多の怪人を倒してきた。他にもはさみ蹴り「ライダーシザース」、死神カメレオンを倒した「ライダーパンチ」、相手を掴んで飛び上がり地面に叩きつける「ライダー返し」などが使える。
旧1号編の特徴
物語の導入部となる「旧1号編」は怪奇色が強く、出血などのグロテスクな描写も多かった。また、怪人がやられた後に爆発するのはコブラ男以降であり、それ以前は溶けたりすることが多かった。これは『仮面ライダー』の製作費が安かったというのもあり、チープさを補うためにスリリングな映像美とシナリオの巧みさが求められたからである。
当時は第1次怪獣ブームが過ぎ去ったのもあり、特撮に子供たちを引き付けるにはさまざまな工夫が求められた。ライダーがバカ正直に「今だ! ライダーキーック!!!」などと叫んでいたのも、視聴者に技の名前を覚えてもらうためだったとする説があるほどである。
しかし、怪奇色を前面に出そうと暗いシーンが多くなった事で、旧1号の全体的に暗めのカラーリングが画面の暗さにまぎれてしまうと言う欠点となってしまう。また、第10話の撮影中に本郷猛役の藤岡弘、が事故を起こし重傷を負った為、以降は変身前の本郷の映像を継はぎして声だけを藤岡が当てる(戦闘中のボイスは、ショッカー首領役の納谷悟朗…氏の実の弟である声優・納谷六朗氏が当てていた)という苦肉の策でしのぎ切る事になり、物語は新たなる主役・仮面ライダー2号の到来を迎えることとなる。
そして、藤岡の本格的な復帰を経て明るい配色に変更された新1号の出番となる。