登場作品『仮面ライダー』
第9話『恐怖コブラ男』登場
「しかし、私にはあの牙がないと……」
概要
CV:水島晋 スーツアクター:岡田勝
恐怖コブラ男の異名を持つコブラの能力を移植して製造されたショッカーの改造人間。
身長220㎝、体重125㎏。出身地は南アメリカ(コブラは生息していない)。
その使命はショッカーの資金源確保のため、全世界の金塊を強奪することであり、手始めとして日本全国の金塊が保管されている大蔵省(現:財務省)銀行の金庫を襲撃した。
鳴き声は「クワックワックワッ」。
主な戦力としては最大5m伸びる伸縮自在のコブラ状の右腕を伸ばして相手を締め上げ殺すほか、地中移動で神出鬼没に現れることが出来る。
金塊強奪のための金庫破りに必要な新たな装備として耳で生成される『物質B』、それと化合するとあらゆるものを溶かしてしまう腐食性の毒ガスを生成する『物質A』を生成する牙を口内に装着している。
使命遂行のため大蔵省金庫保管庫を襲撃している際、怪人の気配を感じてやって来た守衛の近藤和雄の一人息子である武彦少年が飼っている犬のダミーに驚いた拍子に使命遂行のために無くてはならない必須アイテムの牙を誤って紛失するというアクシデントが起こり、騒ぎが大きくなったため止むを得ずその場から撤退する。
その後、映像では描かれていなかったが設定では犬のダミーは落ちた牙の毒で死んでしまう。コブラ男自体に殺害する気はなかったとはいえ、近藤家にとっては家族を奪った仇敵同然である。
その経過報告を首領に報告するが「お前の牙を作るには半年間必要だ!それまで待てん!!」(だったら最初から分割方式にしないでシステムを怪人に組み込んでおけばいいのでは?という意見が出るところだが、この段階では技術的に難しかったのか、もしくはピラザウルスの時のように毒に耐えきれずにせっかく制作した怪人が死んでしまうリスクを低く抑えたかったのかもしれない)との一言で仕方なく現場に戻り、犬の飼い主である近藤の部屋へ赴き屋内を物色。夜勤明けで帰って来た近藤守衛を脅し、息子の武彦が犬と一緒に持って行ったのではないのかという情報を聞き出した。
そして愛犬ダミーの墓で一人悲しみに打ちひしがれる武彦少年が紛失した牙の所在の在りかを知っていると思い込み彼を襲撃した所、事件を調べていた本郷猛=仮面ライダーと戦闘になる。
しかし牙が無ければ殆ど戦力を持たないため分が悪いと判断し、とりあえず子供を人質として捕えてその場を撤退、追いかけてきたライダーに対して人質を盾にし、再び脳改造を受けるよう迫り、ライダーを捕えることに成功した。
そして彼を脳改造するべく手術台に彼を拘束するが、万が一のことを考え本郷に発信器を取り付けていたおやっさんの活躍により失敗してしまい、人質も救出されてしまった。
牙の行方を尋ねる怪人にライダーは「既に牙は破壊して海に捨てた」という真っ赤なウソを述べ、その言葉を聞いた怪人は激昂。ライダーを殺そうと襲い掛かるが、牙が無く本来の力を発揮できない彼に勝ち目はなく、最期はライダーキックの直撃を受けアジトの高台から転落、爆死した。
ちなみに肝心要の牙の行方だがダミーの墓の前に供えられて(置かれて?)おり、怪人の先入観からその存在に気がつかなかった模様。なお、ライダーも本当は牙の行方を知らず、終盤にてダミーの墓参りに来た時に、供えられた牙を見て初めて牙の存在を知った。
改造コブラ男
登場作品『仮面ライダー』
第10話『よみがえるコブラ男』登場
先の戦いでライダーに敗れ散っていったコブラ男をショッカー所属の生物化学者「綾小路律子」が蘇生、再強化改造(再生怪人ではなく、再生アポロガイストと同じく強化改)を施した姿。
再生直後はまだエネルギーを充てんされていなかったため眠りに就いていたが、エネルギーとなる大量の動物の血液を与えられ復活を遂げる。
改造前との相違は体色が灰色へと変わった他、後頭部に2枚の羽根が付き、口から鋼鉄をも容易く溶かしてしまう程の高熱火炎を吐く機能が新たに装備されている。書籍等では「言語能力を失った」という設定があるが、物語後半にて言葉を喋った描写があった。
その使命は引き続きショッカーの資金源確保のため、世界各国の金塊を乗せた輸送船「プレジデント号」を襲撃し、金塊を強奪することである。
また、当初は自身の能力に使い慣れていないため、なかなかターゲットに照準が定まらない場面や綾小路博士の従僕、或いは奴隷の如く従うような姿も見受けられた。
綾小路生物研究所に犬や猫を買い取りに行っていた人たちが次々に蒸発していた事件を捜査していた古賀刑事らを捕獲し、モルモットと化した能力テストの実験中、刑事を救出にやって来たライダーと戦闘になる。その最中、誤って綾小路博士の顔を負傷させ重傷を負わしてしまうというアクシデントが発生したため、一時アジトへ帰還する。
顔に醜い傷跡が残り激昂する博士が振るうムチに従順に打たれるがままの怪人の元へコブラ男の強化蘇生の役目を終え、首領からの“用が無くなった博士の処刑の指令”の勅命を受け、あれほど従順だったのがウソだったかのようにあっさりと博士を焼き殺す(自分をぞんざいに扱っていた博士に対し強い恨みを抱いていた可能性がある)。
そして改めて首領の命により金塊強奪のために輸送船「プレジデント号」の襲撃のために出撃した。
「プレジデント号」の厳重な警戒網を突破し金庫保管庫への潜入し船を破壊、金塊強奪を果たすが、そこへ待ち構えていたライダー遭遇、最後の戦いへと突入する。口からの火炎攻撃などで善戦するものの最後は『ライダー返し』で海面に叩き付けられ爆死した。
その後、仮面ライダーの為に日本占領が他の地域より著しく遅れているという異常事態を打破すべく原子力研究所を破壊し、その際発生する放射能で一気に加速するための計画の人員確保のために、ライダーに破壊された破損個所を修復され、三度の再生復活を遂げる。
その後、バーリアを破壊するために新たに制作させた新型改造人間トカゲロンの指揮のもと、他の再生怪人たちとチームを組んで計画を阻止せんと阻む1号ライダーに戦いを挑むも、あっさりと撃退される。最後はトカゲロンがヤケクソになって放ったバーリア破壊ボールを1号が蹴り返したことでボールは大爆発、巻き込まれた怪人は11人まとめて木端微塵に吹き飛んだ。
なお新・仮面ライダーSPIRITS(の設定では)において後のアンチショッカー同盟のメンバーとなった小暮や木暮たちショッカーの被害者たちの訴えを聴き独自の調査を行っていた一文字隼人を、死神博士の要請を受けて(先の原子力研究所の襲撃作戦と並行して)第二期強化改造人間(ショッカーライダーのプロトタイプ制作)の資材として他の再生怪人たちとの拉致・改造計画に協力していたことが後に発覚した。
その他、映画『仮面ライダーVSショッカー』において再生怪人軍団の1人として登場している。
仮面ライダー(漫画)版
第3話『よみがえるコブラ男』登場
晴彦という名の男性にコブラの能力を移植して制作された改造人間。TV版よりもより生物的なデザインとなっており、モチーフとなったコブラの姿に近い姿をしている。また首が伸びる。
鳴き声は「ヒュ、ヒュ、ヒュ、ヒュ、ヒュ」。
漫画版のショッカー戦闘員は直属の怪人や基地ごとに服が違うために、配下の戦闘員はヘビ柄の戦闘服を着ており、ムチを武器としている。
改造前の元恋人である「蛇姫メドウサ」と共にショッカーの資金源確保のために銀行などの金保管庫から金塊を強奪する「G計画」の遂行を任務とする。
ショッカーの資金源の1つとなっている、傘下の工場の公害闘争を闇に葬るべく、その中心人物を暗殺する。さらにその現場を目撃した闘争中心人物の1人の男性の息子である透少年を抹殺すべく、行動を開始する。
口、及びコブラの頭の形をした左腕の牙や武器とするムチには人間を溶かすほどの強力な猛毒が仕込まれており、牙で噛みついたり、ムチで締め上げた人間を溶かしてしまう。
好戦的な性格の持ち主で、首領の命令を無視して本郷亭に赴き、透少年を拉致した後、本郷=仮面ライダー1号と対決するが返り討ちに遭って海へと叩き落とされた挙句、左腕を失ってしまうという大失態を犯してしまう。
その後、アジトに収容され、メドウサの弁明と「G計画」の遂行任務を最優先するという方針から特別にもう一度だけチャンスを与えられ、再改造を受けた結果、失った左腕を金属をも瞬時に溶かす超強力バーナー「メカ・コブラハンド」へと強化された。
しかし、自身に屈辱を与えたライダーへの復讐心から再び命令違反を犯し、本郷に挑戦状を送り付けおびき出し、再戦を挑む。
最期は戦いの最中、メドウサにライダーと誤認されてビーム砲で狙撃されてしまい、かつての恋人の名を呟きながら絶命した。
映画「仮面ライダーTheFirst」
「コブラ」という名前で登場。蛇姫メドウサが元ネタである怪人スネークと行動を共にする。
飛び道具は使わず強靭な筋力と後頭部から延びた尻尾を使った格闘戦を得意とする。
尻尾は切り離してムチとして使う事も可能であり、スネークが使用する場面もあった。
その正体は三田村晴彦という少年であり、かつて重い病でいつ終わるとも知れぬ入院生活に絶望し、自殺未遂を企てるほど自暴自棄になっていた。
そんな時、原田美代子という少女がボランティアと称して晴彦の前に現れ、孤独を感じていた彼に話しかけるようになる。晴彦は当初そんな彼女を邪険に扱っていたが、それでも甲斐甲斐しく彼の病室に花を活けたりする美代子の姿に次第に心を開き始め、病院を抜け出して美代子とデートに出かけるまでになった。
しかし、美代子はデート中に突然苦しみ始め、その場に倒れこんでしまう。実は彼女も晴彦と同じ病院に入院している患者で、しかも晴彦以上に病状は重く余命いくばくもない状態だったのだ。
そんな二人の前にショッカーの怪人スパイダーが現れ、ショッカーのサイボーグ技術を使えば二人の病を治すこともできると話を持ち掛けた。こうして晴彦と美代子は怪人コブラ・スネークとなったのである。
晴彦は改造手術によって自分と美代子の病状が快方に向かっていくことを喜び、ショッカー基地の庭に花を植えた。それは以前美代子が晴彦の病室に活けた物と同じ種類の花であった。
それからおよそ一年、二人は怪人コブラ・スネークとしてショッカーに忠誠を誓い、ショッカーの意に反したと見做された二体目の怪人ホッパーこと一文字隼人抹殺の命を受けることになる。
そして本郷、一文字がショッカー基地を襲撃した際には怪人バットも加わり三人で迎え撃ち、一度は一文字を戦意喪失に追い込むほどの戦いぶりを見せた。
しかし、それでもなお戦う本郷の姿に一文字も戦意を取り戻した事から、二体のホッパーによる息の合った連係を前に三人は次第に圧倒され始め、とうとう本郷によるバッタの跳躍力を活かした跳び蹴りを受け致命傷を負ってしまう。
薄れ行く意識の中、彼が最期に目にしたのは同じく致命傷を受けたスネークこと美代子の亡骸と、一年前に植えた花が一輪だけ咲いた姿であった。
ちなみに本作のコブラはデザイン面ではTVドラマ版のコブラ男に近いが、上記の通り設定はどちらかというと漫画版をイメージしたものになっている。
島本版スカルマン
こちらでも公害を引き起こす工場の防衛に携わっており、人型の姿とコブラが巨大化したかのような第2形態二つの姿を併せ持つ。他の怪人は自分と似通った姿の量産型を配下にしているが、彼のみ、初期のショッカー戦闘員に相当する配下を引き連れているのが特徴。
最期はスカルマンの発火能力で大火傷を負い、用済みと見なされて女ライダーに粛清された。
シン・仮面ライダー
余談
仮面ライダーシリーズ、と言うより特撮史上初めて敗北して爆死した怪人であり、その後の「怪人と言えば負けたら爆発」というある種の「原型」とまで化した様式美の始まりと言える重要な存在である。
ちなみに第9話と第10話の撮影中に本郷猛を演じた藤岡弘、がバイク事故で左大腿部を複雑骨折したのは有名な話で、奇しくもこの9話に登場していた怪人が藤岡氏の苦手な蛇をモチーフにしたコブラ男だった(それ以降も蛇モチーフの怪人が次々に登場する)。なお、藤岡氏が蛇を嫌う理由は幼少期に蛇がカエルを丸飲みする姿がトラウマになったかららしい。実際、藤岡氏の事務所裏にはマムシ注意の立て札が立てられるほど(タチの悪いことに本当によく出る)。
ちなみにこれは全く関係ないが、藤岡氏が『仮面ライダー龍騎』の設定に難色を示した理由の一つに凶悪殺人犯「浅倉威」がある。これまた奇しくも浅倉の変身する仮面ライダー王蛇のモチーフはコブラ=蛇(というか、王蛇のデザイン自体コブラ男へのオマージュ)だった。
なお、『龍騎』内で浅倉に殺された正義のライダー=仮面ライダーライア/手塚海之を演じたのも、リメイク版一文字を演じた高野八誠氏である。
『仮面ライダーセイバー』に登場するメデューサメギドは初代コブラ男がモチーフであると、『仮面ライダーセイバー公式完全読本』にて酉澤安施氏が語っている。
関連項目
コブラ仲間
太字は幹部怪人
昭和ライダー
カナリコブラ マシンガンスネーク ヘビ獣人 コブランジン スネークコブラン コブラ怪人 ガライ
平成一期
アングィス・マスクルス:(相棒もメドウサがモデル)
ベノスネーカー コブラアンデッド コブライマジン ククルカン
平成二期
ロイミュード(コブラ型):001、006、009のシングルナンバー3名が幹部
令和ライダー
コブランダー:一応コブラモチーフ繋がり
コブラモチーフの仮面ライダー
怪人の場合は序盤でやられる雑魚キャラ的な扱いが多いが、意外にも仮面ライダーとなるとラスボスや強敵になることが多い。
敗北後に強化されたライダー怪人
昭和ライダー
平成一期
ズ・ゴオマ・グ 水のエル 地のエル ディスパイダー クロコダイルオルフェノク カッシスワーム
平成二期
フェニックス デェムシュ シュートロイミュード フリーズロイミュード バグスター アナザージオウ