概要
機体の上部と後部についているローター(回転翼)を回転させることで揚力と推進力を生み出し飛行する。
ただし、ローターを回転させるだけでは、機体がローターと反対回りで回転を始めてしまい、飛ぶどころではなくなるので、機体の後端に付けたテイルローターを回転させるか、2つ(まれに3つ以上)のローターを別々の回転方向で回転させるかして、機体の安定を保つ。
方向転換は、各ローターの回転速度を変えることで、機体を(操縦できる範囲で)回転させて行う。
近年では、テイルブーム内から送り込まれた空気を噴射することで回転運動を打ち消すテイルローターを用いないノーターと呼ばれる方式が登場している。
空気を下方に送って浮上するという飛行方法のため、空気の密度が希薄な高空での飛行は困難であり、低空での利用が多くなる。しかし非常に低速で移動できる上、空中の同じ地点に留まる「ホバリング」も可能である。
これらの特性から地上近くでの活動に適した航空機となり、軍用・偵察用・緊急輸送用などに多く利用される。
固定翼を持つ航空機と異なり、飛行中のエンジンの停止は即墜落に繋がると思われがちだが、十分な高度や前進速度があればオートローテーションという技術で比較的安全に降下して着陸できる。(高空では降下する速度をローターの回転に変換して減速し、地表近くで一気にローターの角度を変えて着地のための揚力を生む。極めて高度な操縦技術が要求される)
ただし、テイルローターが破壊された場合はこの限りではない(機体の回転抑制が不可能になる)。
また、高度や前進速度次第でもオートローテーションは働かず、墜落する。(この関係を示す図はH-V線図、またはデッドマンズ・カーブと呼ばれている)
固定翼機の失速からの回復と同様に免許を取得する際には必ず練習する操縦技能である。
もっとも、オートローテーションが働いても安全に着陸できるとは限らず、機体が大破した例は多く存在している。
ヘリコプターのアイデア自体は、かのレオナルド・ダ・ヴィンチも考案しているほどに歴史は古いが、飛行機と同様に「適切な動力がない」というだけでなく、「複数のローターで機体の回転を防ぐ」という案がなかったせいで、長年に渡り日の目を見なかった。まともに飛べるようになったのは、第一次世界大戦よりも後である。
ヘリコプターの種類
民間ヘリコプター
民生用(軍用ではない)ヘリコプター。
前述の特徴のため、離着陸に広いスペースを取れない用途(救急、山岳地帯への搬送など)で主に使われる。
軍用ヘリコプター
第二次世界大戦中にヘリコプターの原型である「オートジャイロ」が現れた。
この頃は実験機のような扱いで目立たない存在であった。
朝鮮戦争が勃発すると、人員輸送や偵察、救難に用いられるようになった。
ベトナム戦争においてアメリカ軍はベルUH-1イロコイをはじめとしたヘリコプターを大量投入する。
兵員を空中輸送し、前線で展開するヘリボーン戦術が生まれた。
べトコンの攻撃が激しくなってくると被害を受ける機体も増加し、対処するために重武装を施したUH-1を投入した。
ヘリコプターで偵察し、敵を発見すると共に殲滅するサーチアンドデストロイ戦法もこの頃に生まれた。
しかし、UH-1は前方投影面積が大きく、無駄も多かったために対地攻撃専用のいヘリコプターが要求された。
そして試作競争の結果、AH-1コブラが繋ぎの攻撃ヘリコプターとして選定された。
これが想定していたよりも良い出来だったので、改修されて現在まで使い続けられることになろうとは・・・・・・
現在のヘリコプター戦術及び軍用ヘリコプター思想はここから継承されたものである。
海上においても、対潜装備を搭載した対潜ヘリコプターやレーダーを搭載したASW仕様が活躍している。
汎用ヘリコプター
様々な用途に使えるヘリコプター
攻撃ヘリコプター
対地攻撃を行い、地上部隊を支援するヘリコプター
偵察・観測ヘリコプター
偵察を主目的としたヘリコプター
対潜哨戒ヘリコプター
対潜水艦戦に用いられるヘリコプター
輸送ヘリコプター
輸送を主目的としたヘリコプター
救難ヘリコプター
友軍兵士の救難を目的としたヘリコプター
特殊作戦ヘリコプター
特殊作戦に用いられるヘリコプター
加筆をお願いします。
それ以外は「Wikipedia「ヘリコプターの一覧」」などを参照。
ラジコン
人が搭乗するのではなく、外部から無線操縦するヘリコプター(ラジコン)もあり、趣味だけでなく、産業用(農薬の散布、空撮など)にも使われる。
現在この分野ではマルチコプター(ドローン)が急速な勢いで伸張している。
従来のラジコンヘリと異なり姿勢が安定しており空撮能力等様々な点で優れており、警備、輸送等様々な分野における利用の研究が盛んに行われている。