概要
『スレイヤーズ』における魔族とはいわゆる精神生命体であり、ドラゴンなどのモンスターや亜人族とはまるっきり別種の存在である。スレイヤーズの世界は「柱」の上に立った宇宙の上に存在しており、その「柱」を支配するのが赤龍神スィーフィード、それに巣食うのが大魔王ルビーアイ・シャブラニグドゥである。
シャブラニグドゥは全ての神と魔族の生みの親であるロード・オブ・ナイトメアの四大配下の一人で、スレイヤーズ世界に存在する魔族全てを支配している。
魔族は精神世界と呼ばれる異次元の生まれであり、相手の憎しみ、哀しみ、恐怖などの心を糧に成長する。現実世界に姿を現すと、物理的に肉体は存在する(槍衾にしてバリケードを創れば一瞬動きが止まる、など)ものの、それを物理的エネルギーで傷つけることは不可能となる。物理的エネルギーというのは雷、熱、冷気などといった精霊魔術(後述)も含む概念であり、魔族は特殊なアイテムか白魔法or黒魔法、もしくは超強力な上級精霊魔法を使わねば傷一つ付けることはできない。
魔族たちは生産的な活動よりも破壊を好み、いずれ自分たちも含めた全てを破壊しつくすことを目的としている。そのためか、魔族同士で利害の対立により殺し合いを行うこともしばしば存在する。
魔族と魔術
世界観上魔族と密接な関わりがある概念であるため、魔術についても若干解説する。詳細な世界観については原典を参照されたし。
本世界における「魔術」とは、混沌の言葉(カオスワーズ)と呼ばれる独特の言語を使用して対象となる高次存在に祈りを捧げ、その結果として何らかの効果を引き出す、という機序によって発動する。カテゴリとしては精霊魔術、白魔術、黒魔術の3種類に大別されており、このうち黒魔術は(名のある)魔族を対象としている。
例えば、最も著名な黒魔術である竜破斬の詠唱冒頭には「黄昏よりも昏きもの、血の流れより赤きもの」という一節があるが、これは魔王シャブラニグドゥのことを示している。黒魔術に限らずすべての魔術は、このように対象となる存在への呼びかけが含まれている。
このため、以下の様な制限が存在する。
- 攻撃魔術の場合、対象当人(例えば竜破斬であれば魔王シャブラニグドゥ)に対しては効果が無い。「お前を倒すのを手伝ってくれ」という馬鹿げた呼びかけをするのに等しいため。
- 当たり前であるが、カオスワーズを捧げる相手が存在しない場合は何も起こらない。作中では魔竜王と冥王が死んだため、以降は「魔竜烈火咆」や「冥王降魔陣」などは使用できなくなった。
- 魔族は黒魔術を使用できない。他の存在に対して助力を依頼する行為は、直接的に当人の存在を脅かすため。
なお余談であるが、「黒魔術」が魔族を対象とするのであれば、「白魔術」は神々を対象とするのであろうか、と考える人も多いと思われる。ただしこの世界においては、後述する五大魔族が構築した結界によって神の力が届かないようになっているため、「神の力」を使用した白魔術というものは使用できない。本作中で「白魔術」と呼ばれているものは、治癒や浄化などのそれっぽいものを精霊魔術から分離して扱っているだけで、事実上の精霊魔術である。
種族のヒエラルキー
大魔王
「柱」に巣食う、その宇宙の全魔族を統括する魔族の王。
スレイヤーズ世界の魔族を支配するシャブラニグドゥの他、闇を撒くもの(ダーク・スター)デュグラディグドゥ(同作者の別作品『ロスト・ユニバース』のラスボス)、蒼穹の王(カオティック・ブルー)、白霧(デス・フォッグ)がそれぞれ別の宇宙に巣食っている。
シャブラニグドゥは体を七つに断たれているのもあり、全盛期の実力は出せないらしい。
五人の腹心
シャブラニグドゥの創り出した5大幹部。
魔竜王ガーヴ、冥王フィブリゾ、獣王ゼラス=メタリオム、海王ダルフィン、覇王グラウシェラーが該当。
将軍、神官
5大幹部直属の上級魔族。
獣王は将軍を作らず、獣神官ゼロスのみを擁立させたため、ゼロスは他の将軍や神官を上回る実力を有する。
中位魔族
中位魔族より上になると、常時人間の姿を保つことが出来る。
下位魔族
人間の姿を保つことのできない魔族。最も数が多い。
亜魔族
最下級の種族。現実世界で物理的な肉体を保持してしまう(=物理攻撃で殺せる)ほど実力の低い魔族。知能もサルかカラスくらいのレベル。レッサーデーモン、ブラスデーモンなどと呼ばれる。最も、コイツらでも並大抵の物理攻撃や精霊魔法はレジストするので厄介な存在である。