概要
戦争において、降伏し敗戦した国で、負けたことによって逆に利益を得た者たちのこと。
この言葉は渡部昇一により提唱され、保守界隈にて使われる(当然ネトウヨも使用する)。その時点では日本にのみ適用されているが、実際には戦争における敗戦国においてはどの国においても発生しうる状況である。
この概念はまだ正式に研究されている状況にないため、一部では陰謀論扱いされることがある。
概説
戦争の終結においては一般的に講和条約や平和条約が締結される。また戦後処理として敗戦国側の政府の解体、あるいは主要人物の追放や処刑などの変革がなされる場合が存在する。
その結果それ以前の政府により弾圧されていたり抑圧されていたりする人種および思想の持ち主が相対的に地位を高めることとなり、場合によっては一定の権力を持つことになる。
また、戦争終結による混乱により特にアウトローが資産などを手に入れることがある。
実例
イタリアの事例
第二次世界大戦以前、ムッソリーニ率いるイタリアのファシスト政権はマフィアを弾圧し、ほぼ壊滅状況に持ち込んでいたとされる。
ところが第二次世界大戦が始まるとアメリカ合衆国はマフィアの残党を利用し、イタリアを攻略しようとした。
結果イタリアのマフィアは再上陸する形で復活、さらにはアメリカ本土にもマフィアの拠点が成立し、逆にアメリカを悩ませることとなった。
日本の事例
戦後にGHQによって行われた公職追放令などの政策により、多くの敗戦利得者が生まれたとされる。
GHQの政策
公職追放は「日本人民を戦争に導いた軍国主義者の権力および影響力を永遠に排除する」という建前で日本を占領下に置いたGHQにより行われたが、実際には追放の選別はGHQなどにより恣意的に行われ、当初は『戦争犯罪人』『陸海軍人』『超国家主義者』『愛国者』『政治指導者』といった範囲で追放を行った、そして「日本の軍国主義再建を阻止するため」という建前のため『経済界』『言論界』さらには地方にまで及び、本来の意味で公職ではない民間企業・民間団体の追放まで行われた。逆に日本を統治するために必要とされた官僚には追放はほとんど及ばなかった。
ただしその後の世界状況の変化(例えば中華人民共和国の成立や朝鮮戦争など)により、アメリカ本国の指示により昭和22年以降今度は左翼側を追放する、いわゆる逆コースということが行われたものの、もはや手遅れであった。
また、農地改革(農地解放)により地主と小作を大幅に減少させた(これにより共産党の勢力をそぐことが出来た)まではよかったものの、遊休地を農地として利用していた土地まで没収したり、戦前では嫌われていた農業の小規模化が進み、結果的には競争力の低下が発生した。また、山林に関しては開放されなかった点も問題がある。
このほか、GHQが日本を統治するために必要な資源等の徴発、言論規制などの各種規制を行った。
公職追放における左翼
公職追放の結果戦前・戦中は追放、あるいは日陰にいた左翼的思想を持つ人物、特に『大学教授』や『社会活動家』などが入り込んでいき、彼らは敗戦利得者として大きな利益を手にしていたとされる。一方官僚においては実際には公職追放は徹底されず戦前の仕組みをそのまま引きずるという状況となった。
特に大学教授の場合は教え子達に左翼的自虐教育を行い、中央や地方自治体の官僚や法曹界(裁判官、検事、弁護士)、教育の現場、メディアや出版社にまで送り込んでいったといわれ、折からの大学増設ブームや教育制度改革により、弟子達を地方大学や学校に送り込んだと主張されている(実際には大学教授の場合公職追放が解除された時点で復帰した人物も複数存在しているのだが)。
更にその弟子達は、今度は自分の教え子に左翼自虐教育を行い、自虐史観左翼日本人の拡大再生産を続け、その影響を受けた人物が新たに自らの受けた教育を施すといったことが行われている。
農地解放における小作人および無法者としての農民
小作人は農地解放により土地を手に入れることが出来た。これにより生まれた自作農は保守階層となることが期待されたものの、その後の日本における農業の没落により土地を手放したものも多く存在した。
また戦後の食糧不足において闇物資の売買などの不法行為にて財力を得た無法者も存在したといわれている。
都市部無法者の動き
また、終戦後一部の人々が戦後の混乱の中物資の横流しなどの不正行為により財を成したり、不在地主の土地を占有により取得したりしている(この中には在日外国人などが含まれているといわれるが不詳である点も多い)。
問題点
日本の場合問題とされるのは、一部敗戦利得者の思想が日本の繁栄とは相容れないものであり、その影響は現代まで続いている、と保守(あるいはその思想を生半可にかじったネトウヨ)は主張している。
陰謀論
なお、この件に関しては提唱されてからの研究が進んでおらず、また一部が民主党や日本共産党などの政党を批判する際に使用することがある。
一部(特に左翼方面)からはネトウヨの主張する陰謀論に過ぎないという意見が存在していると思われる。