概要
1985年に貫通、1988年に営業開始した、日本で一番長いトンネルである。
開業当時は世界一の長さを持つ交通用トンネルであったが、英仏海峡トンネル(ユーロトンネル)に鉄道トンネル海底部分の世界一(海底部37.9km 全長50.5km)を奪われ、現在では全長が世界一である。(全長53.85km 海底部23.3km)
しかし、スイスで建設中のゴッタルドベーストンネル(全長57km 2010年貫通)が完成すると、全長でも世界一の座を奪われることになる。
寝台特急のカシオペア、トワイライトエクスプレス、北斗星や夜行急行はまなすの走行するルートになっていた。その長大さ故、青函トンネルを通行する車両に関しては規制が厳しい。また踏切などの障害物が無いため、トンネル内の最高速度も140km/hと他の在来線を上回っていた。
現在、このトンネルを走行する普通列車は存在せず、昼間は特急白鳥・スーパー白鳥がメインの移動手段となるため、木古内~蟹田駅間では普通乗車券(青春18きっぷなど含む)のみの乗車も認められる。(2002年のダイヤ改正までは、快速海峡が走っていた。)
建設当時、既に東京~北海道圏の移動は航空機が中心となっており、存在意義について明らかに無用であるとの声もあったが、旅客はともかく貨物輸送については航空便や船便より天候に左右されにくいこともあって北海道と本州を結ぶ重要な輸送手段となっている(現在でも旅客列車より本数が多い)。
トンネル自体は新幹線規格で建設されており、2016年春に開業する北海道新幹線の通るルートになっている。開業後は新幹線と、在来線からの貨物列車が走ることになる。普通乗車券(青春18きっぷなど含む)のみの乗車特例は廃止になる。これについて、JR北海道はオプション券発売で対応する。また、貨物列車と共用するために、当面は新幹線側も青函トンネル内は140km/h走行となる。また、クルーズトレイン「トランスイート四季島(TRAIN SUITE 四季島)」の通るルートにも決まっている。
青函トンネル内の制限事項
火災防止および火災報知機の誤報防止のための事項
- 緊急時の救援用機(※)を除き内燃車(ディーゼル機関車、気動車)の自走禁止。(内燃車が通行する時は、電気機関車が牽引して輸送または回送する。)
- トンネル内終日禁煙(開通当初から)
- コンテナ車に積載する冷凍コンテナは、冷凍機駆動用エンジンが機関車の運転室から遠隔操作で停止できるものに限定。
高湿度による事項
- 保安装置にATC-L型を装備していること。(高湿度で霧が出やすいため、地上設置式の信号機では見落とす危険性が高い事が理由。北海道新幹線開業後は新幹線の保安装置に対応するためATC-L型からDS-ATCに変更となる)
- 高湿度に耐える車両構造であること。
その他
※・・・緊急時の救援用機としてDE10形ディーゼル機関車が北海道側と青森県側の最寄の駅にそれぞれ1両ずつ配属されている。